転職体験談:頑張りすぎでうつになって、何も手が付けられなくなって。エンジニアから事務職に転職。
転職前
- 職業
- システムエンジニア
- 職種
- IT
- 従業員規模
- 50人
- 年収
- 350万円
転職後
- 職業
- 卸売業者
- 職種
- 事務職
- 従業員規模
- 30人
- 年収
- 300万円
目次
月子さんの転職ストーリー
1これまでの私
気力はあるけれど、体力が追いつかない。

大学進学を機に上京し、都内で新卒入社、システムエンジニアとして働き始めました。
昔から体調を崩すことが多く、病弱な人間でしたので、たとえば外に出回るような営業職など、体力勝負的な仕事は避け、この仕事を選びました。
しかし私のいた会社は勤務が不規則で、急な対応で深夜までの残業になることも少なくありませんでした。
そうした日が続くと、気力はあるのですが、体力の方は追いつかない……といった感じで。
ちょうどその頃、実家の両親が相次いで倒れたこともあり、
「とにかく一人で生活できるようになって、安心させてあげないと!」という焦りもありました。
体調が悪くても無理を押して出社して、業後はほとんど抜け殻のようになっている──、そんな毎日でした。
2転職のきっかけ
きちんと考えることが、できない。

性格的には、とてもストイックな人間だと思っています。
その性格も相まって、より仕事にのめり込むようになっていきました。
急なトラブル対応では、率先して居残るようにしていました。
- 私
-
(お客様も夜遅くに仕事をしていて困っているのだし、助けてあげないと)
そんな想いがありました。
それに、人に頼られることは私の自信にもなっていました。
しかし、それが体調をさらに悪化させる一番の要因だったのでしょう。
ある時、いつものように夜勤対応に追われて終電で帰るという生活が続き、家に歩いて帰るのもつらく、夜の公園で座り込んでしまったことがありました。
立ち上がろうとしましたが、無理でした。
そのたびに地面が揺れるくらいの眩暈がして、また座り込んで。
そこで1時間以上じっとして、ようやく眩暈が収まりました。
色々な思いが、頭の中をぐるぐると巡って、しかし具体的な解決策はなにも出てこない。きちんと考えることができなくなっていたんです。
病院に行くと、初期のうつ病と診断されました。
それから3ヵ月ほどは頑張って仕事に行っていたのですが、それ以来私のパフォーマンスはがくんと落ちました。 頭が働かないのですから、当然でしょう。ほとんど何も手につかないような時が続いてしまうこともありました。
両親に心配をかけたくないという思いはありましたが、自分も倒れてしまっては元も子もないと思い、とうとう私は仕事を辞めました。
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3転職活動中
困った時には、誰かに頼ることの大切さ。

仕事を辞めたのはいいけれど、結局はまた働かなければなりません。
転職エージェントを通じて転職活動を始めようとも思いましたが、体力的・精神的にも自分のペースで進めた方がよいという結論に至りました。
そのため、週に何度かハローワークに通い、いくつか面接を受けることにしました。
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前職の経験を活かして、エンジニア関連の仕事の面接を受けましたが、結果は全滅でした。
エンジニアの仕事がきっかけで病気になったわけですから、それは当たり前のことだとも思います。
- 面接官
-
「まだ働かない方がいいんじゃない?」
面接官の方は口をそろえてそう言いました。
たまに「どんな症状が出るの?死にたいって思ったりする?」など、不躾な質問をしてくる面接官の方もいたりして、現代においてもまだまだ精神疾患の理解は進んでいないのだと悲しくもなりました。
そのような状況に加え、受ける企業受ける企業どこでも不採用とされてしまうと、自分は本当に無価値な人間だと思えてきました。
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私は泣く泣く、最終手段に講じました。もう限界だったんです。
あれほど心配をかけまいとしていた父に連絡し、今の状況を話しました。
父は地元で卸売市場の仕事をしており「口利きができないか掛け合ってみる」と言ってくれました。
努めて明るく振る舞っていましたが、父の優しい声を聞くたびに涙がこみ上げてきました。
4転職後
新しい職場で、待ち受けていた状況は。

現在は父の知り合いの卸売業者で、事務の仕事をしています。
今回もデスクワーク中心になるものの、パソコンの利用はほとんどなく、文字を書いたり、たまにパソコンで文書を作る程度です。
なにより、地域の方とのふれあいがとても増えました。
地元の方がとれたての野菜を出荷しに来て、そのついでに話して帰っていく。
野菜や花などを運搬する方が窓口に来て、飲み物やお菓子を置いて、話して帰っていく。
そんな方々との触れ合いを通して、疲れ切っていた心が、徐々に回復していった気がします。
職場の方は私の病状にも深い理解を示してくれ、とても好意的に接してくれています。
給料は減ったものの、精神的にも体調的にも安定した日々が続いています。
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5その後、どうなったか。
転職を振り返って、今思うこと。これから、目指したいこと。

私は自分のことをストイックで真面目な性格と思っており、それは良いことだとも思っていました。
ですが、そうとも言い切れないのでしょう。
今回はその性格が災いして精神的に参ってしまったのですから。
「誰にも迷惑をかけたくない」という気持ちは、裏を返せば「誰にも頼らずに生きれる人間でありたい」というプライドでもあったのかな、と思います。
転職によって、新たに芽生えた気持ちもありました。
これまでは「都会で暮らしたい」とずっと思っていましたが、地元のことが大好きになりました。
地域の方々のやさしさと触れ合うことは、都会のデスクワークでは絶対にできません。
体調が悪いときは「休んでいいよ、無理しないで」と言ってくださり、「たまには休んでもいいんだ」と、これまでよりも物事を前向きに捉えることができるようになりました。
人々とのふれあいから、「人間として豊かになった」と感じています。
◇ ◇ ◇
仕事を通じて、地元の農業や水産業に課題がたくさんあることを知りました。
後継ぎがいない、少子高齢化、東日本大震災の影響など、多岐にわたります。
そのことを目にしてきたからこそ、今後どういった働きかけができるのか考えるようになりました。
自分も、今後農業を体験したり、地元への恩返しをしていきたいと考えています。
先輩や現場の方々のネットワークの広さには驚きを隠せません。
今後は私も、様々なネットワークを広げ、今ある問題や課題を知り、解決していくお手伝いをさせていただきたいと思っています。
今、目の前で起きている問題に対し、自分のできることを精いっぱいやりたい、そう考えています。