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転職体験談:大学で研究員として働くことの「暗黙ルール」、そして「しがらみ」とは。

T.T さん(男性 37歳 大阪府)
まあまあ成功、
ちょっと失敗

転職前

BEFORE
職業
教育機関(大学)
職種
研究員
従業員規模
約7,000名
年収
500万円

転職後

AFTER
職業
医療機関
職種
研究員(パート)
従業員規模
約1,800名
年収
100万円

目次

T.Tさんの転職ストーリー

1これまでの私

大学院まで進み、その後も研究一筋で過ごしてきた私。

イメージ図:大学研究員として働く人。

転職前の2年前、私は大学で研究員として務めていました。

学会の委員会活動にも参加していましたので、昼間は学生の指導、夕方から学会の委員会活動の雑務、夜ごろから自分の研究に充てる──といった、せわしない毎日でした。

結婚はしておらず、一人暮らしです。

元々人の役に立つ研究がしたいと考え、研究が行いたいと考えて大学院まで進み、そのまま研究を続けていくために大学に残りました。

私の担当する分野は「基礎研究」でしたが、いつか臨床の研究まで昇華させて、自身の技術で患者さんの治療を行いたいという夢がありました。
そして、その夢自体が私の生きがいでもありました。

基礎研究とは

基礎研究とは、自然またはその他の現象をより良く理解または予測するための科学的理論を向上させることを目指した科学研究を指します。

基礎研究は直接的な商業利益を生み出すことを目的としていません。ですが、長期的には商業的な利益や応用研究の基礎になり、それが「基礎研究」といわれる所以です。

2転職のきっかけ

大学で研究員として働くことでの「暗黙のルール」、そして「しがらみ」。

イメージ図:学会に提出する論文。

当時の研究を続けていく中で、大学というフィールドを超えて他の分野の学問に関しても勉強する必要があると考えるようになりました。

ただ、大学で働くということはそこでの「しがらみ」もあります。すべてがわたしのやりたいように研究できるということはなく、様々な「暗黙のルール」に従う必要がありました。

そしてそれは私が研究を進めるごとに色濃くなっていき、少なからずのストレスを感じるようになりました。

あるとき、別の研究を行っていた准教授Aが、私の上司の様な形でチームに入ることになりました。

その准教授Aは、あろうことか私の研究内容を自分の論文として学会に投稿しようとしたのです。

論文における名前の順番というのはとても重要なもので、一番上に名前がある人が「その研究をメインに行っている人」と見られます。

肝心の私の名前は、「共著者」の位置づけになっていました。
もちろんあまりにも横暴なやりかたでしたので反対をしましたが、准教授Aは

准教授A

「でもね、論文の投稿期限があるからね…」

──というよく分からない理由で、その論文は強制的に投稿され、結局掲載されてしまったのです。

この出来事は、私の「大学での研究員」という仕事への信頼を大きく崩すものでした。

(このまま、今の職場で仕事を続けてはいけない)

いつしか、そう思うようになりました。

3転職活動中

30代後半にして、私はまた「受験生」になった。

イメージ図:転職活動中の30代男性。

転職の理由は他にもありましたが、私は一旦職場を離れることにしました。

精神的にとても参ってしまっていたのです。今になって思えば、当時は自身が軽い鬱状態だったのだと思います。前の職場での経験や環境の為に心理的なストレスはとても高く、また睡眠もほとんど取れませんでした。

怖いもので、鬱状態というのは自分では気が付かないものです。
ただただ日々が辛いな、程度にしか自覚症状はありませんでした。

退職後は別の学問に行こうと予定しておりました。その際はある試験をパスする必要があり、30代後半にして私はまた受験生という立場となりました。

無職の期間は一切の収入がなくなります。
貯金を切り崩していくだけの日々になってしまうため、パート職としてその受験に参考になりそうな職を探すことにしました。

仕事探しは、ハローワークを利用しました。

ハローワークでは担当者の方が、私が追いかけている夢や追いかけるきっかけを聞いてくださって、色々と親身になってアドバイスをくださった点はとても良かったです。

ただ、私自身の準備不足もあって、転職活動はなかなか大変でした。

たとえばハローワークを利用するにあたってこれまでの研究実績などの書類を提出しないといけないのですが、一度提出したら返却されない書類があり、しかも、その書類は企業応募時に再度必要となるものでした。
予めコピーを取っておけばよかったものの、同じ書類を二度作成する手間などを被ってしまったのです。

時間差で同様の研究情報が他の研究者の名前で公開されていたりと、ここでももどかしさを味わうことになりました。

そんな紆余曲折もありましたが、とある医療機関の研究職として、仕事を決めることができました。

幸運だったことといえば、偶然、今の職場の上司も同様の私が受験中の試験を過去に受けられておられたことです。
私の夢に共感してくださったことが、採用を後押しされたのではと思っています。

4転職後

新しい職場環境であった、良かったことと悪かったこと。

イメージ図:雨の日に同僚女性からかかってきた電話とは‥‥。

新しい職場環境(パート)は前職と同じ研究職でしたが、私が元々行っていたものとは全く異なる分野でした。

その為、新しく学ぶことが多いことが大きな刺激になりました。

前職では生命の個体レベルの大きさが研究対象でした。
しかし、現職では研究の対象が個体から分子レベルに変わりました。

対象レベルのスケールが小さくなったことから、個体内での分子レベルでの現象を評価する様になり、扱っていた内容が全く異なりましたし、分子レベルですので、さまざまな分子を追う様になり、やることも多くなりました。

得られた結果を組み合わせて個体の中で起こっていることを推察する事は創造的でとても面白く感じています。

直接的に指導してくださっている上司も私の研究に共感をしてくださり、こうした良い出会いがあったことはとてもありがたかったと思っています。

ですが、ここでも少なからずのトラブルがありました。

とくに頭を悩ませたのは、50代のある独身の女性にアタックされたことです。

仕事の都合上、緊急の呼び出しとして私のプライベートの携帯番号をお渡ししたのですが、それが向こうの方にとっては好意があると捉えられてしまったらしいのです。

ある雨の日のことでした。

私はその日は勤務日ではなかったのですが、突然その方から電話が掛かってきて、何かあったのかと思い電話に出たところ、その女性から「自転車で帰宅している途中で今雨やどりをしている」との内容でした。

私は理解ができずに「そうなんですか、お気をつけて帰ってください」とお返事しました。

どうもそれが良くなかったようで、それ以降、その女性からの職場内でのあたりが厳しくなってしまったのです。

あるときは私が同僚の別の既婚の女性と話していたところ、私のことを「セクハラしている」と上司に訴えられてしまいました。

5その後、どうなったか。

働くうえで大切なのは、「自身の精神状態」と「職場環境」

イメージ図:研究職としての、これからの夢。

転職して感じたことは、「自身の精神状態」と「職場環境」はとても大事、ということです。

とくに精神状態は転職や仕事に限らず、生活のすべてに影響します。
そして怖いのは、自身の精神状態は自分ではなかなか気が付きにくい、ということです。

あれから2年経った今現在も受験勉強を続けていますが、当時と比べて物事の理解しやすさや物覚えは格段に今の方がよいです(つまり、今の方が精神状態は良好です)。

今になって、当時は鬱状態で認識力や記憶力に障害が生じていたのだ、ということに気がつきました。

そして、精神状態が悪化すると思考力は落ちる──というより「崩壊する」という表現が適切であるように思います。なぜなら、一度崩壊した思考力は一晩や一週間程度では元に戻らないからです。

鬱の症状が出た場合、回復するまでには少なくとも年単位の期間が必要でしょう。
しかも、その間はこれまで通りの生活は困難です。環境自体もガラッと変えないといけなくなります。

もし、環境を変えられずに転職がうまくいかず十分な収入が得られなかったら、恐らく、鬱状態のまま、自分が鬱ということも気づかないまま、ただただ毎日をもがいていたのだと思います。

それは、とても恐ろしいことです。

もし今後同じような状況になりそうだと思ったら、即座に上司に相談するなり、それでも変わらないのであれば即座に転職することを考えた方がいいのだと知りました。

◇ ◇ ◇

今はコロナ禍で社会は不安定です。社会心理学的にも経済が不安定で就職率が低下すると犯罪率も上昇することがわかっています。

今の状態が続けば、恐らく日本の状況は加速度的に悪化していくと思います。

そのようななか、私は何ができるのか──そんなことを、よく考えます。

まずは、自分自身の環境を安定させることが大切でしょう。
自身のための時間を持つこと。そして、毎月の固定収入を確保し、かつ副業もして収入を上げていく必要があります。

そしてもしも職場環境が悪化したときは、すぐに環境を変える行動を取れるようにします。
転職活動を効果的に行い、転職期間中は副収入で衣食住を代償し、そして新しい環境を構築して順応する、ということがうまくできるようになりたいです。

そして、私の夢は変わらずあります。
それは、自身の研究成果で新しい治療技術を開発すること。

その夢を実現するために自分のための時間をきちんと確保して勉強し、ちかいうちにしっかりとした研究職に復帰することを目指しています。

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