看護師の病棟勤務から高齢者施設への転職。「医療現場とは」の価値観の変化|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 総合病院
- 職種
- 看護師
- 従業員規模
- 約50名
- 年収
- 500万円
転職後
- 職業
- 居住型介護施設
- 職種
- 看護師
- 従業員規模
- 60名
- 年収
- 530万円
目次
たけぼうさんの転職ストーリー
1これまでの私
元気でさえあれば、大抵のことは何とかなるものだ

家族構成は、私、妻、中学生の長男、小学生の長女の4人家族です。
6年前の36歳のときに、念願の戸建てをローン購入しました。
これまで、看護師をしていました。転職前は総合病院の病棟勤務でした。
妻との共働きで、妻も看護師としてクリニックで働いています。
住宅ローンのほかにも自動車ローン、それから子どもたちの教育費のこともあり、毎日「とにかく、お金を稼がないと…!」という想いでいました。
ただ、2020年の新型コロナ感染拡大の影響を受けて、そうした考え方は少しずつ変わってきたように思います。
それは、「とにかく、健康であること」。そして、そのために家族を守ること。
病院勤務でしたので、新型コロナはもちろん、その他にも様々な病気の感染リスクは高くなります。
そして、実際に感染された患者さんとそのご家族の方を何度も目の当たりにしました。
私自身が感染しない、そして家に持ち込まないようにしなければならないこと、そして、「元気でさえあれば、大抵のことは何とかなるものだ」の精神で、今は毎日を過ごしています。
2転職のきっかけ
病院の経営改革。その対策の大部分は、私たち従業員の給与カット。

聞いたことがあるという人も多いでしょうが、国内の多くの総合病院は「赤字経営」です。
そして、私の働いていた病院もそうでした。
私が転職する4年前のことです。
- 経営層
-
「現在の赤字体質を改善するために、様々な対策に取り組んでまいります」
そうして最初に行われたのが、私たち従業員の給与カットでした。──人件費が圧迫しているということだったのです。
はじめは毎月付く手当てのカットでした。
額にして20,000円。そして年に2回のボーナスも1割カットとなりました。
この時点で、私の年収は35万円程減りました。
年間35万円の削減は、我が家の家計からすれば大打撃です。
それでも、病院には愛着がありましたし、仕方がないと思い我慢して働いていました。
ですが、その後も3年かけてボーナスカットが立て続けに行われました。
そして2020年の新型コロナの感染拡大で、外来患者数が減ったことによって月収をもっと減らされることになってしまったのです。
- 私
-
(──これはいよいよ、生活をやっていけなくなってしまう)
そうして、私は転職を決めました。
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3転職活動中
条件に見合った求人が、見つからない!

転職活動は、ハローワークや転職サイトを活用しました。
私の転職の条件は、「看護師の病院勤務であること、そして正社員として以前同様の年収が得られること」です。
ハローワークには何度も通いました。
転職サイトからエージェントの連絡がきた際にも、同様の条件を伝えて探してもらいました。
ですが、なかなか私の条件に見合う求人は見つかりませんでした。
求人は割と出ているのですが、ほとんどが給与面で折り合いが合わなかったのです。
ハローワークの相談員から、
- 相談員
-
「もう少し、条件を広げてみてはどうでしょうか」
と言われて、私は病院勤務にこだわらず、老人介護施設なども視野に入れて探すようにしました。
また、妻にも良い口コミがあれば教えもらう様に協力をしてもらいました。
それからまた2ヶ月間ほど転職活動をして、ようやく条件に当てはまる老人介護施設の職場を見つけて、そこで転職が決まりました。
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4転職後
新しい職場で、待ち受けていた環境は。

私の新しい職場は、これまでの総合病院ではなく、居住型の老人介護施設です。
入職してまず感じたのが、「人間関係の良さ」でした。
病棟とは全くタイプの違うアットホームさがあって、その雰囲気がまず気に入りました。
そこで働く先輩方もとても人柄が良く、業務も親切・丁寧に教えてくれました。
特にありがたかったことが、給与面についてはじめに自分が提示した条件より多く頂けたことです。
施設の経営状態も良く、昇給も毎年あって、賞与の減額も今のところは無いとのことでした。
そして、実際の仕事内容について。
正直、私は病棟勤務ではなく老人介護施設勤務になったことを、ひとつの「妥協」だと思っていました。
ですが、それはまったく浅はかな考えであったことを思い知らされました。
施設を利用される方は、実に様々な人たちがいました。
認知症の人、妻や夫に先立たれ居場所がなくなった人、あとは残りの余生を全うするだけの人など──。
そうした方々と接して、段々と「自分は、この人たちに何が出来るか」を考えるようになりました。
ここで私は、本来の看護師の在り方について、新たな認識を持つようになったのです。
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5その後、どうなったか。
「本来の看護師の在り方」とは。そして、これから目指していきたいこと

自分は今まで病院で急性期の患者様を見て来ました。
誇りを持って勤務をしていて、これが「医療現場だ」と自負してきました。
ですが、医療そして看護とは、「どの環境においても、発揮できるもの」なのです。
今回の転職で、そのことに気付かされました。
そして、高齢者介護の現場の大変さも、身に染みて感じました。
本人ももちろんですが、それを支える家族の方々もです。
それは、自分や家族の今後の人生についても考えるきっかけになりました。
◇ ◇ ◇
現状、国内の老人施設の数は不足しています。
施設の空きを待つのに順番待ちの方々も多くいらっしゃり、なかには病院での入院をしながら施設入所を待っている人もいるそうです。
そういった状態を改善するためには、もっと施設を増やしていく必要があるでしょう。また、施設で働く人材不足の問題もあります。
看護師、介護士、ケアマネージャー、その他介護に関わる多くの従事者が必要です。
一方で、介護士については低賃金の問題が以前からよく取り上げられています。
実際、私の職場においても月収20万円にも満たない給与でやっている介護士の方も多く見えます。
そうした現状を見ていく中で、「将来、施設の立ち上げをしたい」と思うようになりました。
「少しでも多くの高齢者の方が、不安を抱くことなく安心して生活していける場を提供したい」という想いが日に日に強まっています。
そして、そこで働く職員も、満足いく賃金で満足いく仕事をする、そんな職場を実現したい。これが私の理想です。
──いきなり大きなチャレンジになりましたが笑、いつの日か実現したいです。