働くなら裏側か、表側か。50歳での、客室清掃員から販売職への転職。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- ホテルチェーン
- 職種
- 清掃作業員
- 従業員規模
- 1,000名
- 年収
- 180万円
転職後
- 職業
- 百貨店
- 職種
- 販売員
- 従業員規模
- 300名
- 年収
- 250名
目次
ラヴ78さんの転職ストーリー
1これまでの私
50歳、客室清掃員の仕事

転職したのは、5年前の2017年。
当時私は50歳になったばかりで、宮城にあるホテルの客室清掃員の仕事をしていました。
客室清掃員の仕事を選んだ理由は、人手不足の業界だったこと、そして時間の調整を付けやすかったことが挙げられます。
長い間母の介護をしており、フルタイムの仕事が難しい状況でした。
客室清掃員としての主な仕事は、ホテル客室の清掃、リネン交換、アメニティの確認・交換・補充、そしてベッドメイク。
私の職場では外国人労働者が多く、日本人では高齢の方で、かつ性格に癖のある方が多かったです。
家族構成は、母と私、娘、息子の4人です。
客室清掃員の給料はとても低かったですが、なんとかやりくりして年に一度は旅行に行くようにしていて。それが私の生きがいでした。
仕事の方で生きがいがあったかというと…、難しいですね。
部屋を綺麗にしたりベッドメイクでシーツをピンとさせたりはたしかに気持ちいいのですが、誰からも褒められず、認められずでしたから。
上司は私と同世代の女性の方でしたが、やや高圧的なタイプで私とは合いませんでした。
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2転職のきっかけ
様々なタイミングが重なって。

転職しようと思ったいちばんの理由は、「人付き合いの無さ」によるものでした。
私は人と話すのが好きだったのですが、ベッドメイクではそれもありません。
また、ホテルに泊まった人は一時でもそこが生活の場になるわけで、私が清掃委はいるときはその生活の残骸の後始末。
加えて、上司の女性はいつも私に対して「仕事が遅い」と文句を言いました。
また、母の老人ホームへの入所が決まったことも理由の1つでした。
自宅での母の介護が必要なくなったため、他のことに時間を使うことができるようになったのです。
職場では新しいスタッフが入社することになり、上司ともうまく付き合っているようでしたので、(ここで私が抜けても、あまり迷惑は掛からないだろう)という感覚もありました。
今考えると、様々なタイミングが重なって、きっかけができたのだと思います。
次の仕事については、「販売職にしよう」と前々から考えていました。
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3転職活動中
皆が、私の転職活動を助けてくれた。

次の転職が決まるまで収入が途切れることは不安でしたが、娘と息子が支援をしてくれたおかげで、進めることができました。
ただ、それでも貯金はぎりぎりの状態でしたので、前払いの利用ができる派遣会社を利用して、そこから仕事探しをしました。
派遣会社の担当の方に販売職を希望していることを伝え、何度もやり取りを重ねました。
初回の面談の際は、「なかなか希望する仕事は出てこないかもしれない」と言われたのですが、大変幸運だったことに、その3週間後に百貨店で販売員の募集が出たのです。
さっそく応募したところ、採用の通知を頂くことができました。
派遣会社の担当の方にはその間も細かく調整をいただき、大変助けてもらいました。
今回の転職活動で感じたことは、周囲の人たちから助けられたと実感を持てたことです。
娘と息子もそうですし、派遣会社の担当の方も。
老人ホームに入所した母も、私の再就職を喜んでくれました。
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4転職後
新しい職場で、待ち受けていた環境は。

転職後の新しい職場は店長と私、そしてもう一人の派遣スタッフの3人でした。
皆50代の同年代です。
2人ともさすが販売スタッフといいますか、一つ一つの行動に親切心が感じられるといいますか、以前の客室清掃員の職場ではほとんど感じてこなかった職場雰囲気でした。
仕事はその分忙しくなりました。
お客様相手ですので気を抜く暇はありませんし、あっという間に就業時間になるくらいのせわしなさです。
とうぜん疲れはありましたが、身体の不調は以前の方がよっぽど大きいくらいでした。
これまでの仕事が辛かったのは、もしかしたら人間関係に関する疲れだったのかもしれません。
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5その後、どうなったか。
裏側で働くか、表側で働くか。

裏側で働くか、表側で働くか。
今回の転職を経て、よくそんなことを想うようになりました。
前職の客室清掃員の仕事は、どちらかというと「裏側の仕事」です。
お客様と面と向かうことはありませんし、ホテルを気持ちよく利用してもらうための黒子に徹します。
一方の今の仕事は、お客さまとの直接のやり取りの多い「表側の仕事」。
そこでは、「商品」だけでなく、「感情」の受け渡しもあります。
ときに代わったお客さまがいらっしゃることもありますが、不快に感じることは殆どありません。
お互いに気持ちよい感情のやりとりがなければ、販売は成立しませんから。
こうした裏側と表側の仕事の両方を体験して思うことは、働く私自身のコンディションも非常に影響されるんだなということです。
少なくとも、私の場合は裏側の仕事は合わなかった。
どんどん気持ちが荒んでいきましたし、あるときには軽い人間不信になってしまったこともありました。
今は、気持ちに張りが出て、仕事中のちょっとした会話で気持ちが救われるような感覚になることがあります。
私のお店が扱っているのは衣料品ですが、じっくりとお客様と会話して、求めている洋服を一緒に探り当てて行って、そしてそれを購入してもらったときの満足感。
じつは若い頃も衣料品販売を経験したことがあるのですが、そのときは今ほど満たされた気持ちを感じることはありませんでした。
もしかしたら、裏側の仕事を知ったからこそ、感じ取れる気持ちになのかもしれません。
◇ ◇ ◇
販売スタッフになって5年が経ちました。
転職をして、正解だったと思っております。
50代後半の年齢となりましたが、今後も、できるだけ長い期間、今の職場で務めていきたいと思っております。
しかし、ご存じのとおり百貨店はどこも経営が厳しく、私のお店も例外ではありません。
近い将来、閉店や派遣切りといったことが起きるかもしれません。
そうした可能性を少しでも少なくしていけるよう、まずは仕事を今以上に取り組んでいくこと、私自身のスキルも高めていくことを考えています。
もし、何らかの理由で今のお店を務められなくなったとしても、やはり販売職として、私は「表側の仕事」をしていきたいです。
どんな状況になっても、私自身が世の中を肯定して前向きに生きていけるように。
そのために、頑張っていきたいと思います。
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