SDGs・サスティナビリティに関わる仕事がしたい!求められるスキル・知識、未経験で転職可の職種・ポジションは?
[最終更新日]2023/05/20

2019年5月、経済産業省は「SDGs経営ガイド 」を公表しました。ガイドの冒頭では、SDGsに関わる取り組みを「現代社会において、『企業』の存在価値を問い直し、再定義し続ける試み」と定義しています。
今後ますます注目されていくと考えられるSDGs・サスティナビリティ経営。これらの分野に携わる仕事をしていきたいと考えている人も多いことでしょう。
目次
1)まずは、SDGs、サスティナビリティの本来の目的についておさらいしておこう
SDGsとは
SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」と表記されます。2015年に国連サミットで採択され、2030年までに達成するべき目標として17のゴールと169のターゲットを掲げられました。

(国際連合広報センターWebサイトより)
上図にある通り、SDGsには環境問題や貧困問題だけでなく、「ジェンダー平等」「働きがい」「技術革新」なども含まれています。
SDGsの目的は、あらゆる手段を講じて全ての国と地域が17のゴールを実現することです。
サスティナビリティとは
サスティナビリティとは「持続可能性」のことです。
SDGsの考え方を根底に、「環境」「社会」「経済(ビジネス)」の3つの観点それぞれにおいて生産性を損なうことなく、長期的に持続できる能力・状態のことを指します。
これらを実現するための企業経営を「サスティナビリティ経営」と呼びます。
これまでの企業経営とサスティナビリティ経営とでどう違うかは、以下の図を見ると分かりやすいでしょう。
企業経営の価値基準の変化

これまでの企業経営は、「経済(ビジネス)の成功」を主目的とした価値基準のもと行われてきました。
ですが、その行き過ぎた活動の結果として社会や環境への不利益が生じていたことはご存じのとおりです。
サスティナビリティ経営は「環境・社会・経済すべてが、この先の未来において成長・繁栄を持続できること」を価値基準としているのです。
2)SDGs、サスティナビリティに関わる仕事は、どんなものがある?
SDGsやサスティナビリティに関わる仕事として、主に次の職種が挙げられます。
一見するとSDGsやサスティナビリティとの関連が見えにくい職種も含まれているため、注意が必要です。
具体的にどのような仕事をするのか、詳しく見ていきましょう。
コンサルタント(SDGS/ESGコンサルタント)

起業のサスティナビリティ経営に向けての活動をサポートするのが、コンサルタント(SDGs/ESGコンサルタント)です。
サスティナビリティ経営の課題を分析・抽出し、それらの解決方法を提案するのが主な仕事内容です。
現在コンサル業界においては、どの分野においてもSDGs・サスティナビリティへの取り組みは必須要件とされています。
コンサルティングファームによっては、SDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)に関する課題解決の専門チームを立ち上げたケースもあります。
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コンサルタント(SDGS/ESGコンサルタント)への転職を目指すには
コンサルタントとして働く場合、コンサルティングファームに所属するのが一般的です。
コンサルティングファームは「事業戦略」や「IT」、「人事」等、各社で得意とする事業領域や担う役割が異なります(細かくは、業界・業種ごとに専門を持つファームもあります)。
ファームごとの会社情報や過去の実績をリサーチし、SDGs・ESGへの取り組みについて知っておく必要があるでしょう。
また、コンサルティングファームは、採用選考のハードルが高いことで知られています。
複数回にわたって筆記試験が実施され、高い論理的思考力や地頭の良さが問われることが多いです。
面接においてもフェルミ推定やケース面接といった独特な手法で能力を判断することが多いため、入念な対策が欠かせません。
コンサルタント(SDGS/ESGコンサルタント)を目指す場合は、その領域に強い転職サイト(転職エージェント)の活用が欠かせません。上記のような中途採用対策に対して、目指す会社ごとにしっかりとアドバイス・サポートをしてもらえるからです。
コンサルタント(SDGS/ESGコンサルタント)への転職におすすめの転職サイト
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経営企画・事業戦略

コンサルタントが社内から事業戦略に関わるのに対して、経営企画や事業戦略といった職種は自社の企画・戦略の立案に携わります。
中長期の経営計画策定や経営管理、新規事業の創出といった役割を担うことから、企業の将来を大きく左右することも十分にあり得る重要なポジションです。
経営企画・事業戦略において、SDGsやサスティナビリティの視点を持つことは非常に重要なポイントといえます。30年・50年といった長期的な視点に立ったとき、持続可能なビジネスモデルが実現できているかどうかは事業の明暗を分ける要因となるからです。
たとえば、サプライチェーンの仕組みが今後も無理なく持続できるのかを検証し、脱炭素シフトを見据えて今から動いておく必要があるでしょう。このように、長期的な視点が求められる経営企画・事業戦略において、SDGs・サスティナビリティの視点が欠かせないのです。
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経営企画・事業戦略でSDGs・サスティナビリティに関わるポジションへの転職を目指すには
経営企画・事業戦略は自社のビジネスモデルを左右する可能性のあるポジションです。
関わる業界や事業の深い知見と豊富な実務経験が求められるでしょう。これまでのキャリアで生かせる知識・経験を総動員して、企業活動や事業全体を俯瞰する視点を持つ必要があります。
さらに、SDGs・サスティナビリティの実現に向けたプロジェクトや事業に携わった経験があれば、経営企画・事業戦略を担当するにあたって知見を生かせる確率が高くなるでしょう。
経営企画・事業戦略の担当者を外部から採用する企業の多くは、「新たな視点で事業を立ち上げてほしい」「既存事業の課題を客観的に分析してほしい」といったニーズを抱えています。
転職エージェントやヘッドハンターを活用し、各社の採用ニーズをできるだけ詳細に把握しておくことが重要です。
経営企画・事業戦略のポジションへの転職におすすめの転職サイト
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管理部門(総務・労務・人事、サスティナビリティ推進本部等)

総務や人事といった管理部門とSDGs・サスティナビリティの関連性がイメージできないと感じる人も多いでしょう。しかし、実は管理部門こそSDGs・サスティナビリティと深く関わっている部門といえます。
SDGsには「ジェンダー平等」「不平等をなくす」「働きがい」といった目標が掲げられています。
職場のダイバーシティを推進し、性別や年齢による差別をなくしていくには、人事部門が重要な役割を果たすはずです。
あるいは、従業員の介護離職を防ぐには多様な働き方を推奨する必要があります。
労務管理部門は、どのようにして多様な働き方を実現していくのか、実務レベルで戦略を考えていく必要があるでしょう。
また、企業によっては従来のCSR部門がサスティナビリティ対策部門を兼ねていることもあります。
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管理部門でSDGs・サスティナビリティに関わるポジションへの転職を目指すには
企業がSDGs・サスティナビリティに取り組む目的の1つに、企業価値の向上があります。将来的な持続可能性を阻むリスクを未然に察知し、しかるべき対策を講じていくことで、自社のあらゆるステークホルダーにポジティブなイメージを与えられるはずです。
SDGs・サスティナビリティを実現するためのアプローチは、企業によって大きく異なります。自社が強みとする領域で企業価値の向上を目指すのか、あるいはリスクヘッジによって持続可能性を高めるのかによって、方針や取り組みも変わるからです。
よって、管理部門でSDGs・サスティナビリティに携わることを目指して転職するのであれば、企業研究が非常に重要なカギを握ります。事業の特徴や企業文化に踏み込んだ情報を集めるためにも、転職エージェントやヘッドハンターにサポートしてもらうのが得策でしょう。
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DX推進に関わるポジション

DX推進に関わる部門では、主にテクニカルな面でSDGs・サスティナビリティに携わるケースが多いでしょう。
DXの目的は既存業務のデジタル化ではなく、その先にあるビジネスモデルや組織文化の変革です。今後はサスティナビリティを織り込んだDX推進がますます重要視されていくと考えられます。
一例として、知財分野でのDX推進が挙げられます。
米国の上場企業のうち主要500社を例に取ると、企業価値に占める無形資産の割合は2015年時点で87%に達しています。(参考: 特許庁「経営戦略を成功に導く知財戦略」)
企業経営が持続可能なものとなるには、無形資産への投資を積極的に推進していくことが欠かせません。
知財情報を解析し、知財経営に生かす戦略を「IPランドスケープ」といい、「知財分野のDX」とも呼ばれています。IPランドスケープを技術的な側面から支えるエンジニアは、DX推進において今後いっそう需要が高まっていくでしょう。
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DX推進に関わるエンジニア職への転職を目指すには
DX推進に関わるエンジニア職へ転職するには、一般的なSEやプログラマーとして転職する場合とは異なる意識が必要です。
前述のIPランドスケープに携わりたい場合、エンジニアとしてのスキルに加えて知財関連の知識が求められるでしょう。このように、複合的な知識・スキルを身につけていく視点を持つことが大切です。
DXを前面に打ち出した資格が知識の裏付けとなることもあります。
たとえば、DX検定やデジタルトランスフォーメーション検定といった試験に合格することで、DXに関する基礎的な知見が身についていることを証明できるはずです。
DXは近年急速に注目されつつある分野であり、求められるスキルや経験は企業によって大きく異なります。ITエンジニアの転職支援に強いサービスを活用し、プロによるアドバイスを受けるのが得策でしょう。
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DX推進に関わるエンジニア職への転職におすすめの転職サイト
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3)未経験からSDGs・サスティナビリティに関わる仕事に転職するには
SDGs・サスティナビリティに関わる仕事は比較的新しい職種のため、十分な知見や経験を持つ人材はまだ少ないのが実情です。こうした職種に未経験から転職することも十分可能でしょう。
未経験からSDGs・サスティナビリティに関わる仕事に転職するには、次に挙げる3つのポイントを押さえておくことが大切です。
転職サイト・転職エージェント経由で、どんな求人があるかをチェック

多くの転職サービスでは、掲載されている求人情報を登録前にチェックできます。希望する業種・職種に加えて、「サスティナビリティ」「SDGs」といったキーワードで検索することにより、どのような求人が掲載されているのか確認できるのです。
複数の求人をチェックする中で、応募要件や歓迎スキルなどが見えてくるでしょう。求人をチェックしておくことにより、具体的な業務内容をイメージしやすくなるだけでなく、どの転職サービスに希望条件と合致する求人が多く掲載されているのか、おおよその傾向をつかめます。
転職サイト・転職エージェントの掲載求人をチェックして、求人の傾向を把握しておきましょう。
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これまでのキャリア(経験や知識・スキル)との掛け合わせで、どんな働き方ができるかイメージする

SDGs・サスティナビリティに関わる仕事に就くとしたら、これまでの経験のうちどの領域が生かせるのかイメージを深めておくことが重要です。
直接的にSDGs・サスティナビリティに関わる業務を経験していない場合でも、関連度の高い業務や生かせる見込みの高いスキルがあれば強みになります。
もしイメージが湧かない・生かせるスキルが見当たらない場合は、SDGs・サスティナビリティへの理解が十分に深まっていないか、キャリアの振り返りが未消化の段階に留まっている可能性があります。
具体的な働き方がイメージできるまで、情報収集とキャリアの棚卸しを続けましょう。
目指す分野で、今後どのような知識・スキルの蓄積が必要かを確認する

SDGs・サスティナビリティの仕事に携わるにあたって、現状のスキル・経験だけで十分に通用するとは限りません。
今後どのような知識・スキルを身につけていく必要があるのかを確認し、ゴールから逆算して知識・スキルをブラッシュアップしていく必要があるでしょう。
今後身につけていくべき知識・スキルが明確になれば、情報収集や資格取得といった具体的な行動に移しやすくなるはずです。
結果的に、希望する分野で求められる知識・スキルをより短期間で習得できるでしょう。目指すべき地点と現状との差を把握し、ギャップを埋めるための努力を重ねていくことが大切です。
まとめ)SDGs・サスティナビリティ関連の仕事はチャンスが豊富
SDGs・サスティナビリティは一過性のブームではなく、世界規模で進行している大きな流れの一端といえます。今後ますますSDGs・サスティナビリティ関連の人材ニーズは高まっていくと予想されています。
近年、急速に注目が集まり、多くの企業がさまざまな施策を推進しつつあるSDGs・サスティナビリティ。今後のキャリアを考える上で、有望な選択肢の1つと考えていいでしょう。
ぜひ本記事を参考に、SDGs・サスティナビリティ関連の仕事へのキャリアチェンジを検討してみてください。キャリアの可能性を大きく広げるチャンスを手にできるはずです。