「出版の仕事がしたい!」求められる知識・スキル、未経験から転職する際に準備するポイント
[最終更新日]2023/09/18

小説や雑誌、マンガなどが好きな方の中には、
「本に関われる仕事がしたい」
「この作品を、たくさんの人に知ってもらいたい」
そんな思いを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近年ではインターネットの発展に伴い、「出版不況」が囁かれるようにもなりましたが、多くの人に書籍を届けられる出版の仕事は、まだまだ人気の職業となっています。
目次
1)出版業界の主な仕事内容

そもそも「出版社」とはどんな役割を持つ会社なのでしょうか。
簡単に説明すると、「書籍や雑誌を創り、書店(やインターネットを通して自宅)にお届けする」ことを役割とした会社です。
つまり、書店でたくさん目にする書籍や雑誌は、出版社が制作して売りに出したものです。
ちなみに、書店にある本は読者の希望で寄せられる訳ではなく、「すでにそこに、その本がある」状態です。
これがどういうことかというと、本屋に置かれている書籍や雑誌は、世間の読者が欲しがる活字メディアが何かについて、予想されているということです。
そして、そんな世間の目に見えないニーズ(需要)を形にしていく──それも、出版社の大切な役割の一つです。
出版社にて、企画を練って形にする職務を「編集者」と呼びます。
現在、出版業界への転職を目指す人は、ほとんどが何らかの本や雑誌作りに携わる職務──「編集者」としての働き方をイメージされてのことでしょう。
そこで、ここからは出版社の「編集職」の働き方に焦点を充てて、転職するコツを紹介します。
出版の仕事のやりがい・大変なこと

出版業界で働く大きなやりがい・喜びの一つは、やはり苦労して企画してきた出版物が完成した時ではないでしょうか。
出版の仕事は、各工程でさまざまな人が関わり、協力して一つのものを創り上げていきます。
その結果できあがったものが手元に届いたり、店頭に並んでいる光景を目にすると、大きな達成感に繋がるはずです。
反対に苦労する点は、ハードワークであることです。
常に締め切りを意識して仕事をしなければならなかったり、時代の先端や流行を知るためには、時に業務の時間を越えてでも調査が必要になってきます。
「好きな仕事だから平気」と考える人もいれば、「残業が多くて体力的にも精神的にもしんどい」と考える人もいるようです。
出版業界の年収イメージ

出版社は、誰もが名を知る大企業から、数人規模で経営する小さな会社まで、実にさまざまです。
したがって、年収もピンからキリまで、という側面は拭えません。
たとえば「出版大手3社」と言われる集英社・小学館・講談社の正社員初任給の平均はおよそ26万円。ベテランを含めた平均年収は1,300万円とのデータが出ています。
中小規模の会社では、およそ550万円~600万円/年です。
また、編集プロダクションの仕事は、出版社からの委託業務が中心となるため、年収も出版社に比べると低い傾向が見られます。
出版社には、編集者のほかどんな職種がある?

出版社での編集職以外の主な職種は、広告営業、書店営業と、総務・事務職が挙げられます。
広告営業とは、雑誌に入れる広告を貰ってくる仕事です。
書店営業は、書店を回って注文を取ったり、目立つ棚に自社の出版物を置いてもらったりします。
しかし、上記のような職種が必ずしも出版社にいるのかというと、そうとは限りません。
広告営業や書店営業のスタッフは、社員が50名以下の出版社には大抵おりますが、それよりも小規模の出版社では他の業務との兼任で担われている場合が多いです。
意外かも知れませんが、出版社はそのほとんどが50名以下の小規模企業なのです。趣味系の雑誌出版社は5名前後というところも珍しくありません。
2)未経験で出版業界に転職する人が押さえておきたい、「出版社と編集プロダクションの違い」

出版社の仕事は、大きく以下の3分類に整理できます。
- 1)企画を立てる
- 2)お金を出して制作する
- 3)出版物を書店に搬入する
各出版社には、書籍・雑誌ごとに編集部という部署を用意しており、上記の1)~2)についての企画・制作を進めていきます。
部署には、それぞれ予算が設けられており、その予算の範囲内で、「この企画にこれだけお金を遣おう」「この企画にはいまそんなに予算をかけられない」といった具合に、制作を進めていきます。
また、出版社というのは(相当の第一線の大企業ならともかく、)多くの場合数十名~百数十名規模となっており、「予算はあるけど人が回らない(足りない)」といったこともよく発生します。
そこで登場するのが「編集プロダクション」(通称・編プロといいます)と呼ばれる会社です。
よくみられるパターンは、例えばA雑誌の編集部が特定の編集プロダクションに数十ページの制作をまとめて発注し、その編集プロダクション所属の編集者は、A雑誌の編集者として仕事をすることです。
編プロの編集者の方は、A雑誌編集部に机を借りて、出社から退勤まで常勤で仕事します(その期間内は名刺もA雑誌のものを持ちます)。
「出版社」と「編集プロダクション」、転職するならどっちがおすすめ?

両方とも選べる状況であるなら、「出版社」に転職された方が良いでしょう。
なぜなら、一般的には出版社の社員編集者のほうが給与などの待遇がよいからです。作業自体も「出版社」のほうが「編プロ」よりも上流から下流まで扱う範囲が広いので、より業界の理解も深められるでしょう。
ですが、編プロはその分「編集業務に特化できる」という点、出版社よりも未経験の中途採用の敷居が低い、といったメリットがあります。
「書籍・紙メディアの仕事がしたい」という希望が何よりも強い、という方は、実績を培う意味も兼ね編集プロダクションへの転職を狙うというのはありでしょう。
何より編プロは出版社より会社の数が多く、転職へのハードルは低いです。
逆に出版社による編集職の募集は少なく、競争率は高い傾向にあります。
3)未経験、異業種から出版業界の編集者への転職をする際に、必要となる知識やスキルは?
さて、ここからは実際に、未経験、異業種から出版業界の編集者への転職をする際に、必要となる知識やスキルについて紹介していきたいと思います。
編集者に必要な知識、スキルは大きく、「好奇心と探求心」、「情報収集スキル」、「チームビルディング」の3つになります。
「好奇心と探求心」
編集者は前提として企画屋さんである

編集者はあくまでも、読者がお金を出して買ってくれる「面白い企画」を考えることが仕事です。そのため、編集者は24時間常に、「面白そうな情報はないか」について考え、探しているのです。そして、「これ良いな…」と思ったものを象って形にしていく──そういった企画力が、編集者に求められます。
「面白い企画になりそうな情報を集める」こと自体が、編集者の仕事となってきます。
街を歩いたり、専門ショップに消費者の動向をヒアリングしたり、特定分野で日本では第一人者といわれるような人に会って話を聞いたり──。
もちろんそれらは、上司や先輩に言われてやるのではなく、自分から貪欲に行動していくことが大切です。
「情報収集スキル」
希望する分野が好きであり詳しいこと

もしあなたが編集者になれたら、それは同時に、「その分野の第一人者」として全国にいち早く新鮮な情報を発信する役割を持ったことになります。
──そう考えると、結構、責任重大ですよね。
ですので、編集部のポストが中途採用される場合は、対象の転職者が、その分野にどれほど詳しいかを最も大きなポイントとして選考します。
「チームビルディング」
多くの人と協力体制を組んで、作業を進めていけること

メディアは一人では作れません。
編集者が司令塔になって、写真はカメラマンに、取材・原稿はライターに、誌面のデザインはデザイナーに仕事を発注し、メディアを作る材料をそろえます。
編集者が考えた企画意図を全員に理解してもらい、同じゴールを目指して制作メディアは完成します。数人によるチームでのモノ作り──つまり、チームワークを楽しめないと、編集者はなかなか務まらないでしょう。
4)未経験から出版業界に転職する際の、準備しておきたい4つのポイント
ステップアップ戦略で3年スパンで長期的に考える

現在の出版業界は、ニュースでもよく取り上げられているようにスマホを始めとしたWebメディアの広がりで、出版物の販売は年々減っています。そして、前述したように出版社の編集部は一般に思われているより、ずっと少人数で運営されています。
しかし、昔から出版社は人材の出入りが激しい業界でもありタイミングさえ合えば憧れの編集部で働けるかもしれません。
そこで、まず行っておきたいことが「未経験」の履歴を消すことです。そのためには編集プロダウションへの転職を第一歩と考えることも有効な戦略といえます。
編集プロダクションの編集者は、出版社の社員編集者とまったく変わらない業務を行っているのです。
可能であれば、最終的に転職を希望している出版社と関係している編集プロダクションに入社できれば、希望職の現実を知れたり、出版社の社員と仲良くなって転職のコツを聞いたりするチャンスもあるでしょう。
そうして、編集プロダクションや小規模出版社をいくつか転職する間に編集者としてのスキルも上がり、数年後には希望する会社に手が届くような「自分の履歴書」ができるかもしれません。
デジカメの写真撮影や、簡単な動画撮影を学ぼう

メディアには必ず文字と写真が付いてます。
本来、編集者は企画を考えるのが仕事で、写真はカメラマンに依頼するのが常識だったのですが、制作費の削減のため編集者が写真を撮影することがすでに始まっており、今後もますます増えていく傾向にあります。
そこで、先取りして写真撮影や動画撮影を得意になっておくのも転職の際に高アピールになるでしょう。編集者が写真を撮るのは、撮ったその場で確認ができるデジタルカメラが普及したことも要因の一つです。
学ぶにあたって、高額な機材を買う必要はないです。
お手持ちのデジカメでいいし、なければスマホで十分です。あくまもで、きれいに撮るための知識を学ぶことが目的です。
撮影術の専門書を読み、写真の撮り方、撮った写真を編集するテクニックを習得します。
スマホを使った撮影でも、簡単そうで実は奥が深いものです。
少しでも上達しておきたいという方は、例えば「料理をおいしそうに撮ること」から始めてみることをおすすめします。
撮った写真をツイッターやブログに上げて、どれだけ「いいね」やコメントを貰えるか。──つまり、他人目線からも「魅力的な写真」と思ってもらえるかを確認する、ということです。何度もトライ&エラーを繰り返しながら進めていくと良いでしょう。
そのほか、最近は動画コンテンツへの関心の高まりも増えてきていますので、動画も一緒に勉強しておくと良いでしょう。
自分でWebコンテンツを作ってみる

現在、ほとんどの出版社はWebを使って自社出版物のアピールしています。
ですが、実際に収益面でWebを有効に活用できている出版社はまだほとんど登場していません。多くの出版社において、「Web対策」は重要な悩み・課題となっています。
ですので、Webに一定の知識のある転職者は優遇されやすい傾向にあります。
例えば、前述のデジカメの撮影を学んだら、自分でブログを立ち上げてオリジナルコンテンツを作ってみると良いでしょう。
見出しを付けて、文章を書いて、写真をアップするという、いわば「編集作業」をブログでも学べます。
転職したい出版社・メディアを参考にして、「もし自分がそこで働けたら、こんなことを企画できますよ」といったモックアップを創るくらいの意気込みがあると、尚良しでしょう。
出版社への転職活動する場合、これまでに自分が制作した作品を実績として添付紹介することになると思います。
その際に、こういったWebコンテンツもあると、訴求度は高まるでしょう。
出版業界のサポートに強い転職エージェントを活用する

出版社の仕事は、その他の業界・業種に比べるとやや求人が少ない傾向にあります。
そのため、自分一人で転職活動を進めていると、目ぼしい求人が出ているタイミングを見逃してしまったり、といったことも少なくありません。
そんな時は、出版業界のサポートに強い転職エージェントを活用することをおすすめします。
事前のヒアリングにて希望の仕事内容や年収について相談していれば、転職エージェント側が希望に適った求人の紹介をしてくれます。
また、未経験の際にアピールできる資質や、強みを伝えやすい経歴書の書き方、面接での受け答えの方法など、「転職のプロ」だからこそのサポートが充実しています。
出版業界の最新の情報、転職活動の進め方について知りたい方は、ぜひ一度利用されてみてはいかがでしょう。
次の章では、おすすめの転職エージェントについて紹介します。
5)出版業界への転職におすすめの転職エージェント
doda
-
出版系求人の豊富さは国内トップレベル!はじめに登録しておくべきサービスです。
dodaは国内トップレベルの求人数と、担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
保有求人は20万件以上(※2023年6月時点、非公開求人を含む)、都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
出版業界の求人は約1,600件(※2023年6月現在)。豊富な候補から、自分に合った条件の求人を見つけやすいでしょう。
また、dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
「まずは自分で出版系の求人をじっくりチェックしたい」という方は転職サイトのサービスを利用し、その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときにエージェントサービスを利用する、という使い方もできます。
dodaの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡 |
出版業界の求人数 | 約1,600件(2023年6月現在) |
担当エージェント経由でのみ応募可能な求人も多いです。初回面談で担当エージェントとしっかりコミュニケーションをとっておくことで、希望条件に合った求人を紹介してもらいやすくなります。
リクルートエージェント
-
「未経験者可」の出版求人も多いです。「エージェントレポート」も有効活用を!
リクルートエージェントは国内No1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
出版業界の求人数も約1,500件(2023年6月現在)と非常に豊富です。
リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。
とくに活用したい支援ツールは、志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」です。
未経験業界への転職において、入念な企業研究は欠かせません。その際に、レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
出版業界の求人数 | 約1,500件(2023年6月現在) |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の転職活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
ビズリーチ
-
企業からのスカウトが非常に多い転職サイトです。「出版業界からのスカウトが欲しい」という方にもおすすめです。
ビズリーチは主にハイキャリア人材を対象とした転職サービスですが、その最たる特徴は「求人の豊富さ」と「スカウトの活性さ」にあります。
出版業界関連の求人は約300件(※2023年6月現在)。地方求人も多く確認できます。
また、ビズリーチに登録することによってこれら求人企業からスカウトやオファーが届く可能性もあります。
登録時のレジュメ(職務経歴)をしっかり記入し、かつ出版業界への意向をPRして希望する領域の企業からのスカウトの確率を高めるのが、ビズリーチの有効な活用法です。
ビズリーチの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
出版業界の求人数 | 約300件(2023年6月現在) |
ビズリーチで企業からのスカウトを多く得るためには、レジュメ(職歴書)の品質を上げること!どのような自己PRが企業からの目にとまりやすいかをじっくり考えて、取り組んでみましょう。
リクルートダイレクトスカウト
-
ヘッドハンターを選べる転職サイトです。出版業界に精通した【ヘッドハンター】に相談しつつ転職を進めたい人に。
リクルートダイレクトスカウトは、人材会社大手「リクルート」が運営するヘッドハンティング型の転職サービスです。
出版業界に関する求人は約800件(2023年6月現在)、そして出版に関わるマスコミ・メディア系に強いヘッドハンターが約260名在籍しています。
リクルートダイレクトスカウトでは「転職者がヘッドハンターを選ぶ」ことができます。
──つまり、出版業界に強いヘッドハンターを探してこちらから相談できるのです。

他の転職サービス同様、すべてのサポートが無料で行われます。
「業界に詳しいプロに直接相談したい」という場合は、リクルートダイレクトスカウトのヘッドハンターサービスを利用しましょう。
リクルートダイレクトスカウトの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
出版業界の求人数 | 約1,000件(2023年6月現在) |
マスメディアン
-
マスコミ業界に特化した転職エージェント。他のエージェントが保有していない非公開・独占求人も多いです。
マスメディアンはマスコミ業界の広告・Web・マスコミ関連の職種に特化した転職エージェントです。
これまでマスコミ関連企業への転職を成功させてきた実績は4万人を超えており、同サービスのサポート力の高さが窺えます。
マスメディアンを活用する大きなメリットの1つに、広告・Web・マスコミ関連の職種を専門分野としている点が挙げられます。
すでに大手出版社や広告代理店との取引が多数あるため、他の転職サービスでは扱っていない求人が多数集まってきます。
そのため、マスメディアンだけが扱っている極秘求人や非公開求人、特命依頼といった希少性の高い案件を豊富に保有しているのが特徴です。
マスメディアンの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
出版業界の求人数 | 約200件(2023年6月現在) |
マスメディアンは業界経験者向けの転職サービスです。これまでの経歴をしっかり振り返っておくと、適切なサポートを受けやすいでしょう。
6)年代別 出版業界への転職で注意するポイント
20代の転職者が出版業界を目指す場合は

まずはじめに、どの分野の編集者になりたいのかを決めることがポイントです。
例えばファッション雑誌を作りたいのであれば、ファッション雑誌に関わっている出版社か、編集プロダクションに転職活動をするべきです。
そして、もし転職がうまくいかなかった場合は、ファッション関係の仕事につくか、ファッションに近い分野の編集作業(例えば都市情報誌やカルチャー誌など)ができる会社にアルバイトでもいいので勤めることが次への近道です。
出版社の中途採用は、いつ募集が出るのか分かりません。
しかし、その数少ないチャンスのときに、希望する分野で、これまでにどれだけ専門的な経験を積んできたのかをアピールできる履歴はとても武器になります。
また、募集の際に社員、契約社員、社員待遇、アルバイトなどの待遇はあまり拘らずに、本当に自分がその分野で頑張りたいかどうかを優先して考えたほうが良いです。
仕事ができる人であれば、アルバイトから社員に誘われる可能性もあります。
20代はまだ若く、1~2年毎に会社を転職しても経験値が上がったと思われることはあっても、ネガティブに捉えられることはあまりないでしょう。攻めの姿勢で、編集職のスキルアップ、希望する分野の知識力アップに目的を合わせて、臨んでいきましょう。
30代の転職者が出版業界を目指す場合は

20代で従事してた仕事に関係するメディアを発行する出版社への転職が最もスムーズです。
例えばコンピュータのプログラマーだったらパソコン雑誌の編集者という関係です。自身の専門職はやはり強いアピールポイントです。
もし希望する分野が、自分の20代の専門・経験した分野と違っていたとしても、希望分野の出版社だけに転職活動をするのではなく、20代の専門分野の出版社も同時に行うことがポイントです。
もし希望分野に届かず、あまり気分の乗らない転職になったとしても、まず出版社に入り編集職を覚えることが何よりも有効だからです。
転職できた出版社で働きながら、第一希望の出版社から編集者募集の求人が出るのを待つことも良い手です。
ほかに、30代の場合に注意しなくてはいけないのは給与面です。
有名な大手出版社は高待遇で知られてますが、出版業界全体の給与はあまり高くありません。
出版不況という言葉もあるとおり、独身ではなく扶養家族がいる場合は、待遇面での事前調査をしたほうが賢明です。編集の経験を積もうと編集プロダクションへ転職する場合も同様の注意が必要です。
せっかく転職が成功して仕事は楽しい編集者になれたけど、金銭面で断念したという事例も少なくないですので、ご注意ください。
40代の転職者が出版業界を目指す場合は

40代の場合注意することは、出版社の求人はかなり少ないと考えられることです。
そのため待ちの姿勢ではなく、かなり強い攻めの姿勢が求められます。40代といえば社会人としてはベテランです。
まずは人脈を頼って、出版社や出版関連に勤めている人にアクセスして転職の相談をする──といったアプローチが望ましいでしょう。
相談相手も長い業界経験をお持ちでしょうし、一般では得難い情報を知れます。
また、紙媒体を作りたい、、何かメディア的なものを作ることを仕事したいことが目標の場合は、出版社から間口を広げて、広告代理店や印刷会社の制作部門、通販会社でのパンフレット制作部門なども視野に入れられます。
しかも出版社よりも給与面でも良い場合も考えられ、長い社会人生活で培った多彩な経験も採用試験のときにプラスに働くことが多いと思われます。
そのほか、出版業界に関わらず、40代の転職者は企業から管理職スキルが求められる傾向が強いです。
まとめ)出版業界の未経験・異業種の転職は、段階的に考えよう!

出版社は一言でいえば企画屋です。編集者が独自の発想でコンテンツを制作し、世の中に出版します。
出版社で必要となるスキル
企画を考え抜く力、旺盛な好奇心、情報を集めること、プロ同士によるモノ作り
出版社の現状
景気は減退傾向で採用もそれ程活性していない。かつ、編集部は少人数、中途の応募は出るものの、編集プロダクション抜きには成り立たない
上記をまとめると、個人では編集スキルをアップしながら、出版社だけではなく編集プロダクションも転職活動の視野に入れることが、出版業界への転職を成功させる最短距離と言えるかもしれません。
出版社の社員編集者でも、小さい会社から段階的な転職を経て大手出版社に入社した履歴の人も数多くいます。
出版業界で転職においては、「一発合格」は狙わず、段階的なアプローチを意識していくと良いでしょう。
最初は希望する分野・ジャンルでなかったり、目指す規模の企業でなかったとしても、そこで諦めずにひたむきに歩み続けるストイックさが、出版業界で求められるスタンスでもあるからです。