ネットワークエンジニアとプログラマーどちらになろうか迷ったら。未経験転職のしやすさ・年収等比較
[最終更新日]2023/09/18

ネットワークエンジニアとプログラマーは、ITエンジニアにおける代表的な職種です。
これから本格的にITエンジニアへの道を歩もうとする方のなかには、どちらに進むべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
職種の選択は正しい情報とご自身の興味・関心に基づき、慎重に行うことが重要です。
目次
1)ネットワークエンジニア・プログラマーのキャリアパス・向いている人比較
働く職種を選ぶ際は、その仕事内容やキャリアパスについてあらかじめ知っておくべきでしょう。
ネットワークエンジニアとプログラマーを比較する第一歩として、この章ではそれぞれの職種の特徴やキャリアパス、向いている人を見ていきます。
ネットワークエンジニアの特徴

- ITエンジニアのなかでは、比較的安定している職種
- 社会人になってから学び始めても活躍できる
- 努力が成果と活躍に結びつく
- 在宅での仕事は難しい
ネットワークエンジニアは運用・監視や保守業務もあり、プログラマー等の開発業務と比べて安定して仕事が発生しやすい傾向にあります。
また、企業のネットワークは独学をしにくいため、ネットワークエンジニアの多くの方は、入社後に学び始めることになるでしょう。
ネットワークの構築は開発業務と比べてひらめきやセンスによる差が出にくく、経験がモノをいう分野です。
努力を重ねれば実力となり、成果と活躍に結びつきやすい職種です。
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアは、経験とスキルを積むことでいくつかのキャリアを選べる職種です。
たとえば、ネットワークエンジニアをキャリアの起点として以下のような職種を目指せるでしょう。

キャリアパスは、専門分野のスキルを極める「スペシャリスト系」、幅広い分野の知識・スキルを積み上げる「ゼネラリスト系」、または戦略・企画を担う「コンサルタント系」・「組織経営」といった分類で整理できます。
分類 | 職種の例 |
---|---|
スペシャリスト系の職種 | セキュリティエンジニア、データベースエンジニア |
ゼネラリスト系の職種 | 社内SE、システム開発マネージャー |
コンサルタント系や経営層の職種 | ITコンサルタント、セキュリティコンサルタント、CTO |
そのほか、大規模環境の構築を主業務としたPL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)を目指すキャリアパスもあるでしょう。
いずれもネットワークのスキルを活かしながら活躍できる職種です。
これらはネットワークエンジニアの経験を積んだ後、適性や関心に応じて自ずと進路も見えてくるでしょう。今すぐにあせって進路を決める必要はありません。
ネットワークエンジニアが向いている人のタイプ
- 正確さを追求できる人
- 慎重に作業を進める人
- 新しい技術に興味がある人
- 正確さを追求できる人
- 慎重に作業を進める人
- 新しい技術に興味がある人
- 正確さを追求できる人
- 慎重に作業を進める人
- 新しい技術に興味がある人
- 正確さを追求できる人
上のスキルや特性を持つ人は、ネットワークエンジニアに向いているといえるでしょう。
いずれも、ネットワークに関する業務で求められる傾向にあります。
「該当する項目が少なかった」という方でも、これからの意識・取り組みによって培うことも可能なはずです。
プログラマーの特徴

- 時期による仕事量の変動(落差)が大きい
- 言語や案件によっては、在宅での仕事も可能
- 興味・適性に合った言語を選べる一方、新しい言語の習得を求められる場面も少なくない
- パフォーマンス(努力)に加えてセンスも求められる
プログラマーは忙しいときとそうでない時の変動(落差)の大きい職種です。
職場によっては繁忙期に深夜残業・休日出勤が常習化することもあるでしょう。
言語や案件によっては在宅での仕事になることもあります。
また、スキルの高い人ほど様々な案件・プロジェクトに関わることになります。
逆にスキルが低いままでは関われる案件が少なくなるため、他の言語を習得するなどのスキルアップが必要となるでしょう。
そのほか、プログラマーの評価はパフォーマンスだけでなく、プログラミングのセンスが求められることも少なくありません。
プログラマーのキャリアパス
プログラマーからのキャリアパスも、ネットワークエンジニア同様に多様です。

SE(システムエンジニア)、その後はPL、PMを目指すのが代表的なキャリアパスですが、それだけではありません。
適性や関心次第で、以下に挙げる職種も目指せます。
分類 | 職種の例 |
---|---|
スペシャリスト系の職種 | ネットワークエンジニア、データベースエンジニア、セキュリティエンジニア |
ゼネラリスト系の職種 | 社内SE |
コンサルタント系や経営層の職種 | ITコンサルタント、CTO |
営業系の職種 | プリセールス |
これらはプログラマーの経験を積んだ後でも、十分に選べます。スキルを身につけた後に、じっくり検討するとよいでしょう。
プログラマーが向いている人のタイプ
- 論理的思考力や柔軟な発想がある人
- 好奇心旺盛で、新しい技術に関心を持つ人
- 自分でプログラムを動かし試す癖のある人
- 不明な点はすすんで調べ、質問する人
- 集中力がある人
- 常に効率化を考えられる人
- ベストを尽くす人
- 相手の話をよく聞き取れると同時に、簡潔でわかりやすい説明もできる人
例えば単なる面倒くさがりな方は不向きですが、面倒さを解決するためにすすんで効率化に取り組む方はプログラマーに向いています。
理系出身であることは有利な要素に挙げられますが、必須とまではいえません。
また上記にあてはまらない項目が多い方でも、努力により改善することは可能ですから、ここで諦めてしまうのは早計です。
ネットワークとプログラミングの両方できる人は重宝されやすい

「ネットワークとプログラミングの両方に興味があり、どちらか一つだけを選ぶのは難しい」といった、好奇心旺盛の方もいるのではないでしょうか。
人一倍の努力が条件となりますが、両方できるエンジニアを目指すことも可能です(代表的な職種に「フルスタックエンジニア」があります)。
複数のスキルを持つエンジニアは重宝される傾向にあります。
また、ネットワークもプログラミングもできるエンジニアは数少ないため、価値の高いエンジニアとして認められやすいでしょう。
もっとも、どちらも中途半端のレベルに留まっている場合はその限りではありません。
まずはどちらかを優先し、スキルを究めることがおすすめです。
2)ネットワークエンジニア・プログラマーの年収比較
ネットワークエンジニアとプログラマーは、どちらがより高い年収を得やすいのでしょうか。
ここでは応募の選択肢の広さを示す「求人件数」も含めて、解説していきます。
未経験者の募集はプログラマーが多いが、ハードルはネットワークエンジニアのほうが低い

未経験者の求人件数という観点で見ると、プログラマーはネットワークエンジニアと比べて2倍以上の募集件数があります。
ここで「選択肢が多いのだから、プログラマーのほうが転職しやすそうだ」と思われた方もいるかもしれませんが、そうとも言い切れません。
なぜならネットワークエンジニアとプログラマーでは、未経験者に求められるレベルが異なるためです。
以下はネットワークエンジニアとプログラマーのそれぞれ「実務未経験者に企業が求めるスキルレベル」を表したものです。
職種 | 未経験者に求められるレベル |
---|---|
ネットワークエンジニア | マニュアルに沿って、運用監視を行えるスキル |
プログラマー | 設計書に基づき、独力でコーディングできるスキル |
ご覧の通り、ネットワークエンジニアよりもプログラマーの方がややハードルが高めとなっています。
ネットワークエンジニアならば自力でネットワークを組むスキルがなくても、運用監視の仕事ならば就職できることがわかります。
ハードルの低さは、ネットワークエンジニアに軍配が上がるでしょう。
未経験者向けの年収はネットワークエンジニア・プログラマーほぼ同様

未経験者向けの年収は、ネットワークエンジニア・プログラマーともに大きな差はありません。
転職サービスdoda「平均年収ランキング(165職種別の平均年収/生涯賃金)」(2021年12月13日公開)によると、20代の年収は以下の通りとなっています。
- ネットワークエンジニア:362万円
- SE/プログラマー:354万円
20代は新卒で入る方も多い年代です。
このため、未経験者の年収に近い金額と考えられます。
未経験で入社した時点では、ネットワークエンジニア・プログラマーともにほぼ同じ年収となることが期待できます。
スキルアップ後は、ネットワークエンジニアが若干年収を上げやすい

ネットワークエンジニアはプログラマーと比べて、経験年数に応じて年収がやや上がりやすい傾向にあります。
転職サービスdoda「平均年収ランキング(165職種別の平均年収/生涯賃金)」(2021年12月13日公開)によると、年代別の平均年収は以下の通りです。
20代 | 30代 | 40代 | |
---|---|---|---|
ネットワークエンジニア | 362万円 | 505万円 | 637万円 |
プログラマー | 354万円 | 477万円 | 547万円 |
ネットワークエンジニアは10年間で130~140万円の上昇に対し、プログラマーは10年間で70万円程度の上昇に留まっています。
どちらも経験を積み実績とスキルを上げることが年収アップには必須であるものの、ネットワークエンジニアは年収を上げやすい職種といえるでしょう。
3)ネットワークエンジニア・プログラマーの活躍した人比較
職種を選ぶ際、ロールモデルとなる方がいると将来をイメージしやすいものです。
この章ではネットワークエンジニアとプログラマーそれぞれについて、活躍した人を2人ずつ紹介します。
各プロフィールを読んだ後は、「自分はどんな部分に共感したか・ワクワクしたか」を振り返って、そこから再度ネットワークエンジニア・プログラマーどちらにより多く関心を持てそうかを考えてみてください。
ネットワークエンジニアとして活躍した人
下村 努さん
下村 努さんは物理学者 兼 コンピュータセキュリティの専門家として華々しい経歴を持つアメリカ在住の日本人です。
1歳で両親と渡米し、12歳で飛び級をして高校入学、しかし卒業間近に退学し、アメリカのカリフォルニア工科大学に入学します。その後、ロスアラモス国立研究所にて物理学の研究者となります。
物理学者ながらITエンジニアとしても活躍していた下村 努さんの名を一躍知らしめたのは、1995年に世界最強のハッカーといわれたケビン・ミトニックを追い詰め逮捕に導いた出来事です。
当時アメリカでトップクラスのセキュリティ専門家であった下村さんと「史上最悪のハッカー」といわれたケビン・ミトニックとの攻防は、ネットワークセキュリティに携わる人でしたら熱く語れずにいられないでしょう。
この出来事はその後「ザ・ハッカー」というタイトルで映画化されています。
時代は変わり現代のインターネットセキュリティのあり方は当時とは様変わりしていますが、第一線のネットワークエンジニアの姿は映画からも充分に感じることができるはずです。
西尾素己さん(多摩大学ルール形成戦略研究所 客員教授)
西尾素己さんは20代にして、以下の称号や役職に就いた経験を持っています。
- ホワイトハッカー
- 大学の客員教授
- 大手コンサルタント会社のマネージャー
小学生の頃からプログラミングを始め、その後セキュリティに関心を持ち、インターネットの数々の脆弱性を発見しました。
家庭の事情で高専を退学せざるを得ない事態になった際も、「自分のスキルで食って行けるはずだ」と自らを鼓舞し、就職後は高い技術力を武器にIT企業やセキュリティ関連企業を渡り歩きます。
その後は大手インターネット企業や大手コンサルタント会社に移り、セキュリティやサイバー攻撃対策の第一人者として活躍し続けています。
並外れたスピード出世の背景には、セキュリティに関する人一倍の興味と関心、そして学びたいという意欲が挙げられます。努力と前向きな姿勢が結実した例といえるでしょう。
プログラマーとして活躍した人
岩田聡さん(元任天堂代表取締役社長)
岩田聡さんはゲームのプログラマーとして活躍した後、ゲーム会社任天堂の社長に上り詰めた方です。
大学時代からゲームソフト制作会社でアルバイトを行った後、卒業後はさまざまな人気ゲームの制作に携わりました。1993年以降は経営者として複数の会社で手腕を振るい、人気のゲームを次々と世に送り出しています。
コーディングのスピードと正確性を兼ね備え、積極性を持ち、かつリーダーシップを有する方でした。
ある時期経営していた会社の業績が芳しくなく、株主から「なぜリストラをしないのだ」と問い詰められたとき、岩田さんはこう答えています。
「社員が怯えながら作ったソフトは、人の心を動かせない」
難しい状況に遭遇した際にも冷静に状況を分析し、複数の対処案を提示した逸話も残っています。
プログラマーが身につけるにふさわしい資質と姿勢を持ち、業務に臨んでいた方といえるでしょう。
まつもとゆきひろさん(プログラム言語Ruby開発者)
まつもとゆきひろさんは本業の傍ら、代表的なプログラミング言語であるRubyを生み出した方です。
入社当初はツール開発の部門に配属され、その後業務量が減少したことを機会にRubyの開発を始めます。
ネットニュース等で意見を求めつつリリースし、年を追うごとに有名になっていきました。その後は参画者も増え、2006年以降は他の方がリリースマネジメントを務める体制としています。
立ち上げ時は少しの時間も惜しんで新しい言語の開発に取り組む姿勢が、開発体制が大きくなった後は人に任せる姿勢が注目されるところです。
その経歴からは、「プロジェクトを成功させるために、その時点でベストな対応」を行ってきたことがうかがわれます。
4)未経験からネットワークエンジニア・プログラマーを目指す際は
ここからは、未経験からネットワークエンジニア・プログラマーへの就職・転職を目指す際のポイントをお伝えします。
「ある程度エンジニアリングの基礎知識がある」という人は転職エージェントを活用しよう
すでにある程度エンジニアリングの基礎知識があるという人は、実務未経験可の企業求人から採用をもらえる可能性があります。
転職エージェントに登録して、担当者からのアドバイスを受けつつエンジニアとして成長しやすい優良企業を探していきましょう。
エンジニアリングのスキルアップにおいて、実務経験に勝るものはそうありません。
早いタイミングでのアクションが望ましいでしょう。
ただし、全くのノープランで転職エージェントに相談するのはリスクも伴います。以下の点については事前に明確にしたうえで、サービスを利用することをおすすめします。
- エンジニアとしてどの領域の経験・スキルを積んでいきたいか
- 企業に求めるものは何か(待遇・受け入れ体制・福利厚生・残業の度合等)
イメージのつかない方は、先にリクナビNEXTやdodaといった転職サイトに登録して、エンジニア求人をチェックしておくとよいでしょう。
そのうえで、「こういう求人の企業に入社したい」というものを見つけたら、それを軸にキャリアプランを考えていきます。
転職エージェントに登録後は、担当者に上記についてしっかり共有すると、ミスマッチのない求人紹介を受けやすくなります。
未経験からネットワークエンジニア・プログラマーを目指す際のおすすめ転職エージェント
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デメリット |
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おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2023年9月時点のものです。
「右も左もわからない状態の未経験」の人は、エンジニアスクールかハローワークの職業訓練を
ネットワークエンジニアまたはプログラマーになりたけど、「今は右も左もわからない状態」という人は、すぐに就職・転職しようとはせず、エンジニアスクールかハローワークの職業訓練を受けることをおすすめします。
理由は、まったくの予備知識のない状態での就職・転職はミスマッチに繋がりやすいからです。
また、スクール・訓練校では教師や仲間との出会いがあります。
エンジニアの人脈は、あなたの知識・スキルの向上を助けるだけでなく、これからの望ましいキャリアプランを感知するアンテナの精度を高めるうえでも有用です。
なお、エンジニアスクールおよび職業訓練校ではプログラマー向けのコースが多く、ネットワークエンジニア向けのものは少なめです。
コース内容はしっかりチェックして、ご自身にとって今学ぶべきのものかしっかり見極めたうえで、入会をご決断してください。
エンジニア実務未経験の人へのおすすめエンジニアスクール
エンジニアスクール | 特徴 |
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![]() コードキャンプゲート |
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![]() DMM WEBCAMP |
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![]() Tech Academy(テックアカデミー) |
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![]() TECH CAMP(テックキャンプ) |
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まとめ)職種の特徴をよく確認し、あなたに合った職種を選ぼう
ネットワークエンジニアとプログラマーでは、求められる資質や仕事内容に大きな相違点があります。
選ぶならば、より自分自身に合った職種を選びたいと思う方も多いでしょう。
それぞれの特徴をよく確認し、あなたの特性や希望と照らし合わせたうえで、興味・関心を持った職種を選びましょう。
やりたい仕事に就ければ、苦労も乗り越えやすいものです。この記事を参考にして、より良い職種選びに役立ててください。