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転職する際に「残業時間」をどう考えるべきか?

[最終更新日]2018/03/27


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働き方改革が話題になる中、長時間労働の解消や残業時間の短縮といった課題に取り組む企業が現れ始めています。

同時に、これまで恒常的に続いてきた残業を突然減らすことは難しいのが実情という職場もたくさんあることでしょう。

目次

1)残業・長時間労働問題を危険度ランクで分類してみよう

慢性的な残業や長時間労働は多かれ少なかれ問題視すべきことですが、「早急に転職を検討すべき」「転職先として絶対に避けるべきというほど大きな問題ではない」といったように、緊急度・重要度の高い場合とそうでない場合があります。

仮に緊急度・重要度の高い問題に直面しているのであれば、身を守ることを第一に考えたほうが得策ということもあるのです。

まずは残業や長時間労働問題を危険度ランク別に分類し、もしいま気になっている状況があるとしたら、どの程度危険度の高いものかを確認しておきましょう。



危険度小:残業代が目的で残業していることがある

どうしても必要に迫られて残業している日もあるけれど、ときどき「残業代目当て」で残っていることもある、といった人は、それほど危険度が高いとは言えないでしょう。

残業代がきちんと支給されている職場で、かつ残業時間をある程度は自分で調整できるような状況でなければ、こういったことは不可能だからです。

いま勤務している職場がブラック企業だと感じているわけでもないでしょう。つまり、総じて「良い職場」である確率が高いと考えられます。

では、こういった職場は恵まれていて何のリスクもないかというと、そうとも言い切れません。
なぜなら、残業代を稼ぐために残業できてしまう職場は、見方によっては「ユルい」からです。

タスク管理やスケジュール管理が行き届いておらず、個々の社員任せになっていないでしょうか。
すると、仕事が速い人と遅い人の差はずっと埋まらなくなるどころか、仕事の進め方に創意工夫を加え続ける人と、習慣や経験則の範囲内で仕事を進める人との差は開き続けていくはずです。

5年、10年と経つうちに、キャリアアップを目的とした転職を実現する人と、その職場に留まり続ける以外選択肢がない人との埋めようのない差となって顕在化することがあるのです。



危険度中:早く帰りづらいため長時間働くなど、ムダな残業が多い

「部署全体が遅くまで働いているので早く帰りづらい」「上司より先に帰るのは気が引ける」といった理由で残業しているケースがこれにあたります。

極端なケースになると、仕事がなくヒマな時期であるにも関わらず、定時で退勤すると「意欲が低いと思われる」といった理由で仕事をしているふりをして残業しなくてはならないこともあるほどです。

こういった職場では、たいてい「残業は良いこと」という考え方が蔓延しています。早く帰る人=やる気がない、遅くまで残っている=頑張って働いている、といった具合です。

なぜこのような評価軸になってしまうかと言えば、労働時間が最も分かりやすい指標だからでしょう。
会社にいる時間が長いか短いかは出退勤の記録を見れば一目瞭然ですので、理屈の上では誰にでも人事評価を行うことができるのです。

ただし、当たり前のことですが、労働時間と成果は一致するものではありませんので、非効率な働き方をしている人や、ダラダラと残業している人でも評価されてしまうことになります。

長い目で見たとき、パフォーマンスの低い人材が評価され役職に就くなど、組織的なリスクを孕んでいる職場と見ることもできます。



危険度MAX:度重なる長時間労働により、心身に異常をきたし始めている

いわゆる過労死ラインは月80時間の残業と言われており、これを超えると心身に異常をきたすリスクは一気に高まるとされています。

もし現在、すでに健康面で不安を感じ始めていたり、何らかの変調を感じ始めているとしたら、早急に対策を練るようにしましょう。

心身が疲れているときは正常な判断がしにくくなることもあるため、場合によっては「在職しながら転職活動」という転職活動の鉄則よりも、いま置かれている労働環境から離れることを優先したほうが得策という可能性もあります。

特に注意が必要なのは鬱をはじめとする精神面でのトラブルです。 もし重篤な状態になってしまうと、仮に退職して転職してもすぐには全快せず、次のキャリアにも響いてしまうリスクが潜んでいるからです。

真面目なタイプの人ほど「周囲に迷惑をかける」「担当しているお客さんに申し訳ない」といった理由で退職や転職をためらってしまう傾向がありますが、明らかに長時間労働が負担となって心身の健康に悪影響を及ぼしているようであれば、いったんその環境から離れ、休養することを最優先しましょう。



2)勤務先で残業が多いことが転職検討理由だった例

ここからは、残業に絡んだ転職の体験談を見ていきましょう。

最初はFさんの例です。Fさんは勤務先で度重なる深夜残業に疑問を感じ、仕事の進め方そのものを工夫することで辞めずに続ける方法を模索しました。


残務処理に対する職場全体の考え方に疑問を感じたFさんの例

Fさんはメーカーの業務部で働いています。
顧客からの注文を受け、生産ラインや物流に連絡して商品を出荷するのが主な仕事です。

顧客は教育機関が中心で、管理職や経営者の年齢層が年々高くなってきていることもあり、昔ながらの仕事の進め方を続けている人も多いのが実情です。

たとえばFさんの部署に届く発注書はWeb注文フォームから送ることができるのですが、6割以上の顧客が今でもFAXで送ってきています。

FAXの文字が不鮮明なもの、記載事項に不足や誤りがあるものがあれば一件ずつ電話連絡して確認し、その後、注文一覧のExcelシートに手入力していきます。

業務部には他にも数名の社員がいますが、各人が担当地区ごとに注文を受けているため一連の流れを全て一人でこなさなくてはなりません。

注文が多い時期になると、FさんのデスクにはFAX発注書のタワーができあがります。当然、作業料は膨大なものになり、深夜までかかっても残務が終わらないこともたびたびありました。

驚くべきことに、これほど非効率的な人海戦術に対して、「仕事のやり方自体に問題がある」と指摘する人は社内にいませんでした。

度重なる深夜残業に疲弊して退職していく人が絶えないにも関わらず、会社側も「募集すればまた代わりが入社してくる」と軽く考えているようです。

こうした残務処理に対する職場全体の考え方に対して、Fさんは強い疑問を持ち始めます。



Fさんに転職を決意させた上司のコメント

部署のメンバーが相次いで退職し、もはやFさん以外に業務部の仕事全体を把握している人はいなくなってしましました。

このままでは自分も潰されてしまうと感じたFさんは、外部の開発会社と協力のうえ、受発注システムを考案し、会社に提案することにしました。

このプランが実現すれば、FAX発注書の数を大幅に減らし、顧客が自分で入力した注文内容をFさんらが確認後、そのまま物流フローへ載せることが可能になります。

Fさんら業務部は膨大な量の単純入力作業から解放され、日々の注文数をチェックし売上動向を分析するといったマーケティングの仕事に手が回るようになり、来期以降を見据えた動きを取りやすくなります。

この良いことずくめに思える提案を抱えて、Fさんは会社にプレゼンを実施しました。プレゼンを終えた後、Fさんは信じられないような上司のコメントを聞かされることになります。

「効率化、効率化と言うけれど、時間をかけてお客さんのために仕事をするのがそんなにイヤなのかい?」
「こんなシステムを導入したら、お客さんと直接コンタクトを取る機会が減ってしまう」
「電話で直接話すことができる今の進め方のほうが、お客さんとの距離が近くていいはずだ」

Fさんはあっけにとられました。そして、会社に対して抱いていた疑問は諦念へと変わり、Fさんはいよいよ転職活動を進めることを決意したのです。



膨大な残務処理の根本的な原因を考えない組織の体質に問題あり

ブラック企業問題の根本にはビジネスモデルの欠陥があります。

そもそもなぜ、それほど長い時間をかけなければこなせないような仕事のやり方になっているのか?を考え、利益に対して投じているコストのバランスを再考しなくてはならないはずなのです。

ところが、人間は慣れる生き物ですので、長く続けているうちに習慣や経験則に従って仕事を進めるようになり、それ以外の仕事のやり方があるなどとは思い至らなくなってしまいます。

Fさんのように、仕事のやり方を工夫しようとする人がいれば会社の体質をごっそりと変えるチャンスが残っているのですが、その貴重なチャンスを突っぱねてしまったわけですから、もはや一人で奮闘するには荷が重すぎるとFさんが考えるのが自然なことでしょう。

このように、慢性的に続いている膨大な残務処理がある場合、根本的な原因を追究していこうとする組織でなければ、必然的に現場の社員にしわ寄せが行き、疲弊していってしまうのです。

裏を返せば、慢性的に残業が続いているにも関わらず何らかの打開策を講じようとしない企業は、その時点で従業員を大切に扱っていないという見方もできるのです。



3)転職先として検討中の企業で残業が多めと言われた例

働き方改革が叫ばれる昨今、残業が多いのは良くないことという価値観が広まりつつあります。

ムダな残業が減るのは良いことですが、残業がある仕事=良くない、と反射的に決めつけてしまうのも偏った判断を下す原因になる可能性があるので注意が必要です。

その好例として紹介するのが、次のYさんの体験談です。以前のYさんは恵まれた職場環境で働いていましたが、先々のキャリアプランを見据えて、あえて残業が増える職場への転職を決意しています。

なぜあえて厳しい道を選ぶのか?と疑問を感じる人もいるかもしれません。しかし、Yさん自身はこの選択を後悔していないようです。Yさんはなぜこのような決断を下すに至ったのでしょうか。



大手SIerからベンチャー企業へ転職したYさんの例

大手SIerでSEを務めるYさんが転職先として選んだのは、決済アプリで急成長中のベンチャー企業でした。

この転職先を聞いたとき、周囲の人は少なからず「どうして?」と驚きの声をあげたのです。
Yさんが新卒から務めてきた大手SIerは、IT業界の事情に詳しくない人であっても社名を知っている会社です。

高校の同窓会で「Yは勝ち組だな。超有名企業で新卒から働いているわけだから」と言われたこともあります。

ところが、Yさんと同期入社の同僚は、ベンチャー企業への転職を不思議に思いませんでした。それどころか、「とても良い決断だと思う」と祝福してくれたのです。その理由は、Yさんらが携わってきた仕事の内容にありました。

Yさんが担当してきたのは金融系の基幹システムです。扱う言語は主にCOBOLで、他の分野の開発現場であればとっくの昔に忘れ去られた言語の1つだったのです。

折しも、FinTechの波が金融業界を揺るがし始めていた時期でした。スタートアップ企業やベンチャー企業が、飛ぶ鳥を落とす勢いで新たなサービスを次々と開発し、リリースしていくのを、ただ横目で見ているしかない気分になっていたのです。

「このままでは、時代の流れから完全に取り残されてしまう」 強い危機感を抱いたYさんは、大手SIer社員という立場を捨てて転職する決意を固めます。



仕事を通じて何を実現したいのか?という根本的な問い

Yさんはもともと「開発の仕事がしたい」という希望から大手SIerに入社しました。

入社してみると、開発の実務に携わるのは下請けのベンダー各社で、Yさんの主な仕事は顧客先へ出向いてプレゼンを行うためのスライド作成でした。

コードをバリバリ書くエンジニアになりたかったのに、業務時間の大半はPowerPointのスライドを作って過ごしている。何かおかしいのではないか?という違和感が年々強くなっていました。

Yさんがベンチャーへの転職を決めたのは、その企業が開発した決済アプリがYさんの目に「脅威」として映ったからです。

「こんなものが世の中に登場してしまったら、銀行はこの先どうなってしまうのだろう…?」
とてつもない不安に襲われたのと同時に、このアプリはすごいという感動を覚えたのも事実でした。

「こういう、世の中を変えていってしまう力を持つテクノロジーに関わりたい」
そう強く思ったYさんは、本格的に転職を考えるに至ったのです。

Yさんがこれまで勤めてきたSIerは、大手だけあって就労環境が整っており、トラブル対応など特殊なケースを除き、長時間に及ぶ残業はほぼありませんでした。

ベンチャー企業の採用面接で、「これから新たな商品の開発に入るから、特にエンジニアは残業が増えると思いますよ」と言われましたが、それでも構わない、チャレンジしてみたい、とYさんは考えたのです。



残業が多め=良くない会社とレッテルを貼ってしまわないように!

一般的に、転職先として選ぶなら残業が多い会社よりも少ない会社、というイメージがあるはずです。
ブラック企業問題が話題になっている昨今、残業が多いのは良くない会社というイメージが定着しつつあります。

ただし、良くないのはあくまで「ムダな残業」であり、ムダが放置されたまま常態化していることが問題なのです。

Yさんが転職先として選んだベンチャー企業が「新商品開発」という明確な目的をもって一致団結しようとしているように、はっきりとした目標や目的があって残業が必要になるのであれば、悪いことと一概に決めつけてしまうのは性急と言えます。

残業が多めと聞いた瞬間、「ここは良くない会社だ」とレッテルを貼ってしまわないように気をつけておくことが大切です。

Yさんがエンジニア魂に火をつけられたように、仕事を通じて実現したいことがあれば、まずはそれが実現できる環境かどうかを最優先に考えていくと転職の目的をより明確にしやすくなります。

その上で、明らかに非効率的な仕事のために残業が続いていたり、長時間労働そのものを推奨している社風だったりしないかを見極めていくようにしましょう。



4)転職検討時に「残業」が絡んでいる場合の判断軸とは?

常識の範囲内での労働時間か、コンプライアンスは大丈夫か

今の勤務先での残業にせよ、転職を検討している企業での残業にせよ、第一の判断軸としておきたいのは「常識の範囲内かどうか」という点です。

たとえば、毎月100時間を超える残業が常態化している職場であれば、明らかに常識の範疇を超えています。
そのような職場であれば、前に述べた通りビジネスモデルに何らかの欠陥があることを疑うべきでしょう。

そもそも無理な業務量であるにも関わらず、有効な打開策を講じることができていないことの証左かもしれないのです。

また、それほどの長時間労働を従業員に課している企業は、そもそもコンプライアンス意識の面で大丈夫か?という疑問が湧いてきます。

残業代は適性に支払われているか、出退勤の時刻は実態通りに記録されているか、といったごく基本的なことから、根本的に疑ってみる必要がありそうです。

こういったことは企業にとって遵守しなくてはならない義務ですので、平然と違反しているようであれば、労務管理以外にもコンプライアンス上問題のある企業なのではないか、と疑いの目を向けられても仕方がない面があります。



そもそも残業が常態化することが必至のビジネスモデルになっていないか

先に紹介したFさんの例のように、明らかに大量の残務が発生する仕事の進め方をしており、しかも仕事のやり方を工夫したり改善したりするつもりのない組織は、かなり高い確率でブラック労働へと向かいます。

同様に、利益率が極端に低いビジネスモデルを無理に押し通そうとしていないか、人件費を抑えることでコストを抑制しようとしていないか、といった点もチェックしておきましょう。

主力商品で値引き競争に邁進している企業や、経営者が不自然に贅沢な暮らしをしている企業も注意が必要です。それらを実現するためにどこかにしわ寄せが来ていると考えるのが自然で、末端の従業員が低賃金で働くことで成り立っているかもしれないのです。

残業が常態化している職場は、士気の低下や仕事の質の低下、社員の帰属意識の低下といったように、長い目で見たときデメリットだらけです。先を見据えて会社を舵取りしている経営者であれば、そういった状況を早急に改善するべく対策を打つはずです。

常軌を逸した長時間労働が主な原因で人の出入りが激しくなっている職場は、経営的な視点から見てもリスクヘッジができていない可能性があるのです。



残業を手放しで「善」とする文化が根付いていないか

働き方改革がなかなか進まないと言われている原因の1つに、働く側の意識の問題があると言う人もいます。
たしかに、「残業をたくさんしている=仕事に精を出している」と考える人は、今でも決して少なくありません。

たとえば、あなたが営業担当者だったとして、「今月は成果が出ていない。おそらく月末の売上目標に届かない」と悟ったとき、どのような行動を取るでしょうか。

「成果が出ていなくて肩身が狭いので、そのぶん遅くまで残ってやる気を見せておこう」

こんな考えが頭をよぎった人はいないでしょうか。これは典型的な「残業を『善』とする文化」の思考回路ですから、こうした考え方がまかり通っている職場は注意が必要です。

仮に遅くまで残ったとして、今月の売上を少しでも伸ばす行動につながるかどうか、翌月に挽回するために総括し戦略を練るための時間として有効に活用できるかどうか、といった点が本来であれば重要なはずです。
ところが、ポーズとして遅くまで残ることで「頑張っているフリ」をしているわけです。

これでは翌月も成果が出ない公算が大きいでしょう。このように、残業を手放しで「善」としてしまう文化が根付いていると、仕事の本質を見失ったり、スキル向上のために費やすはずのエネルギーを別のところで浪費してしまったりするリスクがあるのです。



まとめ 残業の背景にある組織の文化やビジネスモデルに注目しよう

残業には「必要な残業」「ムダな残業」「やるべき残業」「減らすべき残業」があります。

Yさんの体験談にあったように、目的がはっきりしている残業であれば、場合によっては必要なこともあるでしょう。しかし、いたずらに長時間労働を良しとしたり、ビジネスモデルそのものに問題があったりするようなら、働く環境として再考の余地があるかもしれません。

転職するにあたって「残業」は決して小さな問題ではなく、転職するタイミングや転職先を検討する上で重要な要素の1つになるはずです。残業そのものに目を奪われてしまうことなく、その背景にある組織の文化やビジネスモデルに注目することで、後悔のない転職を実現できるようにしていきましょう。



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