IT業界は「ブラック企業」が多いって本当?未経験から転職する際の注意点
[最終更新日]2020/09/02

IT業界に興味はあるけれども、「IT業界はブラック企業が多い」といったウワサを耳にして躊躇していませんか?
どの業界にも就労環境が良好とは言えない職場があるのは事実ですが、一部だけを見て業界全体の傾向を判断してしまうと、偏った判断をする原因になりやすいため注意が必要です。
IT業界でも「ブラック企業」を避けた転職は充分可能なのです。
目次
1)IT業界は「ブラックばかり」って本当?
IT業界で働く上でのネガティブなイメージとして、「長時間労働」や「深夜残業」といったものが挙げられます。
こうしたウワサ通りの働き方をしている会社も残念ながら実在しますので、IT業界に「ブラック企業が存在する」というイメージは間違っていないと言えます。
しかし、ブラック企業「ばかり」かと言えば、そうではありません。
まずは、IT業界が「ブラックばかり」という偏ったイメージに対して、実際のところはどうなのかを確認していきましょう。
「ブラック企業」に該当する会社もあれば、ワークライフバランスを重視する会社もある
IT業界とひと口に言っても、事業内容や企業規模、経営方針は企業によって千差万別です。
中にはブラック企業並みの長時間労働を余儀なくされているところもあれば、ワークライフバランスを重視し従業員に過度な負荷をかけることのないよう配慮している企業もあります。
IT企業であれば軒並みブラック企業と見なすのは、明らかに誤ったイメージです。
IT関連企業の中には、常に人材を募集している会社も散見されます。
一般的に常時求人を出している企業は離職率が高いイメージを持たれやすいのですが、急成長中の事業のため離職率が低くても人手不足の状態が続いていることも考えられます。
ただし、いわゆるブラック企業も残念ながら存在しますので、特に異業種からIT業界へ転職する人は注意が必要です。

- IT業界は全てブラック企業というイメージは誤り
- ワークライフバランスを重視している企業もある
- 頻繁に求人を出している企業の中には急成長中の会社もある
- いわゆるブラック企業も存在するので注意
IT業界への転職に際して、まずはこの4点を押さえておきましょう。
同じIT業界でも、職種や職務内容によって労働時間はまちまち

IT業界はブラックというイメージが強いのは、IT業界の仕事と言えばSEと思われているためです。
顧客からの急な仕様変更の要望や、昼夜を問わないトラブル対応で心身ともに疲弊していくイメージを持っているとすれば、「SEはIT業界の仕事のほんの一部」だということを知ることで印象が大きく変わるはずです。
IT企業にはSE以外にも、営業・広報・マーケティングといった部門、経理・総務・人事といった間接部門のように、さまざまな職種が存在します。
当然、部署が違えば仕事内容も異なりますので、世の中でよく言われている「SE=残業」というイメージとは無縁の場合も少なくありません。
開発部門のエンジニアについても、職務内容によっては残業や休日出勤が必要になる場合もありますが、繁忙期を除けば過度な残業をしなくても仕事が回る場合もあります。
IT業界はブラックと決めつけている人の多くが、IT業界=SE=長時間労働、という図式にとらわれています。実際には、さまざまな職種や職務内容が存在し、労働時間はまちまちなのです。
労働環境は場所によりけり。IT業界でも「ブラック企業」を避けることは可能
IT業界での労働環境は、働く企業や職種によって大きく異なります。
IT業界へ転職する際は、できるだけ情報を集めた上でその会社の風土や経営者の考えを知り、従業員の心身の健康に配慮している会社かどうか、確認しておくことが大切です。
一般的にスタートアップやベンチャー企業はオーバーワークになりやすい傾向がありますが、大手企業や人気企業であればワイフワークバランスに十分配慮されているとは限りません。
実際に働いたことがある人の体験や口コミを参考にしながら、実態を把握しておくように努めましょう。
こうした情報を集める際に使えるものとして、

- 求人
- 企業ホームページ
- SNSの企業アカウント
- SNSの経営者アカウント
- 口コミサイト
- 転職エージェント
が挙げられます。
こうした情報源から得られた情報に触れた際に「ちょっとした違和感」を覚えたとしたら、その感覚は重要なサインとなる場合があります。
IT業界でも、事前のリサーチをしっかりと行っておくことによって、ブラック企業へ転職してしまうのを避けることは可能なのです。
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2)なぜ「IT業界はブラック」と言われるのか

「多重下請構造」が原因でブラック化しがち
IT業界はよく「ゼネコン構造」などと言われることがあります。
これは、クライアントから仕事を請けた元請け企業が下請けに実務を発注し、さらに2次請け、3次請けへと業務が委託されていく多重下請構造のことを指しています。

元請け企業は大手SIerと呼ばれる大企業がほとんどであり、中小企業の大半が2次請け以降の仕事をしているのが実情です。
下請け業務の場合、仕事量や納期を元請け企業が握っているケースがほとんどです。
急な変更や追加発注に対応せざるを得ない場合、否応なく残業や休日出勤で対応しなくてはならないこともあります。
また、2次請け、3次請け、4次請け…とピラミッド構造の下位へと仕事が送られていくたびに利益が抜かれていきますので、利益率は先細っていきます。
案件あたりの利益は社員の給与水準となって跳ね返ってきますので、長時間労働を強いられていながら低賃金というブラック労働の問題が発生するわけです。
さらに、下請け企業に回ってくる仕事は、プロジェクト全体を把握しづらい細分化された業務であることが多く、やりがいを感じられないこともあり得ます。
こうしたことから、IT業界はブラックと言われがちな状況が生まれているのです。
予測できないトラブルが原因で、残業や休日出勤をせざるを得なくなることがある

そもそも残業や休日出勤は「想定外の業務時間」が発生した際、やむを得ず行うものです。では、IT業界における予測不能な事態とはどういったことがあり得るのでしょうか。
まず、顧客からの要求が挙げられます。
急な追加発注や仕様変更を要する要望があった場合、事前に想定していた工数をはるかに上回ることがあります。
特に2次請け以降の下請け企業の場合、クライアントからの要望であれば飲まざるを得ないため、残業や休日出勤によって対応することになります。
自社からさらに下請けへと委託している場合、下請け企業との間で意思疎通が十分に図ることができておらず、指示の食い違いや認識の違いが表面化することがあります。
状況によってはやり直しや修正を試みる必要があるため、その分だけ労務時間が膨れあがることになります。
納品前後に不具合が発覚することもあります。
納品直前であれば急遽対応して納期に間に合わせる必要があり、納品後であればできるだけ速やかに対応しなくてはならないため、残業や休日出勤が発生することになります。
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3)「ブラック企業」を避けるために、確認したい4つのポイント

勤続年数4年以上の「中堅クラス」がどの程度いるか
就労環境が劣悪な職場では離職率が高くなり、常に人が出入りを繰り返しているような状況になります。
若手が次々に入って来ては退職していくため、勤続3年を超えて働き続けられる人はごくわずかです。
この3年という年数はひとつの目安となる数字で、勤続4年以上の中堅クラスにあたる社員が多数在籍している会社なら、比較的長く働き続けることができると判断していいでしょう。
公表されている場合は社員の平均年齢や、面接を担当した社員のおおよその年齢から、若手しかいない会社ではないかどうかをチェックしていきましょう。
可能であればリーダークラスのエンジニアとも話させてもらい、長く腰を据えて働き続けられる職場環境かどうかを確認しておきたいところです。
面接時にその場で内定が出るなど採用を急いでいる素振りがある場合や、ごく短い面接時間で内定がすぐに出たような場合は、人の出入りが激しい職場でないかどうかを疑ってみる価値はあるはずです。
人事評価・福利厚生が整っているか

社員を大切にしている会社ではほぼ例外なく、人事評価に何らかの工夫がなされています。
チームに貢献した人や成果をあげた人がきちんと評価される仕組みになっていない組織では、優秀な人材が辞めていってしまいます。
経営者や上司など特定の人から「気に入られている」といった曖昧な評価基準がまかり通っていないか、評価制度についてはしっかりと確認しておくことが大切です。
また、福利厚生が整っているかどうかも意識してチェックしましょう。
特に、勉強会の開催や資格取得支援といったスキルアップのためのサポートを会社として行っているかどうかが重要です。
人材を使い捨てにするような会社では、すぐに人が辞めていくことが常態化しているため、社員にこうした投資をしたがらない傾向があるものです。
募集職種に対して理解のある職場かどうかも重要な点です。エンジニアを道具のように扱っていないか、営業担当者は使い捨ての駒と見なしていないか、といったところを、マネージャークラスや経営者の話しぶりからチェックしてみましょう。
受託開発だけでなく、独自サービスの開発にも力を入れているか

たとえ受託開発が中心の会社であっても、独自サービスの開発に力を入れている会社であれば、自分たちで仕事を創り出そうとしていることが分かります。
受託開発のみの場合、元請け企業やクライアントの判断次第で仕事がなくなる可能性が常にあります。
また、社員にとって自社の商品を扱えるかどうかは仕事に対するやりがいの大きさを左右する重要なポイントと言えるでしょう。
ただし、表向きは独自サービスの開発に取り組んでいると言いながら、実際には受託開発に依存している状況の会社も全くないとは言い切れません。
すでにリリースされているサービスかどうか、リリース前の場合は開発の進み具合はどうであるか、どの程度の人員や予算の規模で行われている開発であるか、といった点を質問しておくと、独自サービス開発の「本気度」がうかがえるはずです。
また、「以前は独自開発も行っていたが、最近は受託開発のみ」といった状況の場合、資金繰りが苦しく当面のキャッシュを得るための受託業務に追われている可能性もありますので、特に注意が必要です。
転職エージェントなど、「第三者」の意見も参考にしてみる

ブラック企業を避けるための方法をいくつかご紹介しましたが、とはいえ一人でできることには限りがあるのも事実です。
たとえば、求人情報や企業のHPからは読み取れない実情などは、業界をよく知る転職エージェントを活用するのが一番でしょう。
より詳細かつ鮮度の高い情報を知ることで、自分一人の主観ではなく、正確な判断を下すための手助けにもなります。
特に「IT・Web業界に特化したエージェント」は、転職活動にあたっての強い味方になることと思います。
次の章では、おすすめの「IT・Web業界」特化型エージェント4社をご紹介いたします。
4)IT業界への転職でおすすめの転職エージェント
女性でIT業界への転職を希望する方は、マイナビITエージェントがおすすめ
マイナビITエージェントは、マイナビ社がIT系の職種専門に展開している転職エージェントです。
マイナビ社はマイナビウーマンのように女性の転職にフォーカスしたサービスを展開していることからも分かる通り、女性のキャリアプランに力を入れています。
ITエンジニアと聞くと、男性の比率が高い職種なのでは?と思うかもしれませんが、IT系企業は女性も多数活躍している業界です。
女性の方であれば、担当してもらうキャリアアドバイザーも女性のほうが安心できる、という人も多いのではないでしょうか。
マイナビITエージェントには女性のキャリアアドバイザーが多数在籍していますので、同じ女性としての視点から的確なアドバイスをもらうことができるメリットがあります。
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未経験からIT業界を目指す人にとって、まずはどんな職種があるのか、自分に合った仕事は何なのか、といったことから知りたいのではないでしょうか。
それを知るためには、できるだけ多くの求人に目を通し、IT業界の人材募集状況について知っておくことが大切です。
doda ITエンジニアは、転職サービスdodaを運営する企業が展開するIT・Web業界に特化した転職エージェントです。
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キャリアアドバイザーから紹介される求人数が多いことでも知られていますので、多くの求人の中から比較検討したい人に最適なサービスと言えます。
ITエンジニアと言っても、インフラやデータベース、Webエンジニアといったように、さまざまな分野があります。
どの分野を目指したらいいのか迷ったときは、キャリアアドバイザーに相談しながら決めていくといいでしょう。
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短期間で転職先を決めたい方は、ワークポートがおすすめ
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ワークポートを利用したことのある人の感想として挙がる声として、「対応が速かった」「電話やメールで返事をすぐにもらえた」といったものがあります。
迅速に対応してもらえるので、転職活動を短期集中で行いたい人にとってはありがたい転職エージェントと言えます。
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まとめ)IT業界への転職で「ブラック企業回避」は可能!
IT業界はブラック企業だらけ…といった噂レベルの話が、偏ったイメージの産物だということがご理解いただけたでしょうか。
「IT企業はブラック企業が多い」などといった表面的なイメージにとらわれて転職に二の足を踏んでしまうとしたら、非常にもったいないことです。
IT業界とひと口に言っても、さまざまな業態や職種が存在し、働き方に対する方針も企業ごとにまちまちです。
気をつけておくべきポイントを外すことなく、しっかりと見極めていくことで、IT業界への転職でブラック企業を回避することは十分可能なのです