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会計事務所・税理士事務所ってどんな仕事?未経験・異業種から会計事務所・税理士事務所に転職するには

[最終更新日]2019/02/13

会計事務所や税理士事務所で働いてみたいけれど、今まで別の業種で働いてきて完全な未経験者の場合、どのように転職活動を進めたらいいのでしょうか。

この記事で詳しく解説していきますが、未経験者が会計事務所や税理士事務所へ転職することは可能です。ただし、一般企業とは少し転職活動の進め方や注意点が異なるところがありますので、異業種から転職する場合はそれなりの対策が必要になります。

目次

1)どんな人が、税理士事務所を目指しているの?

税理士事務所への転職を目指すにあたって、まずは税理士事務所がどのようなところなのか理解を深めていきましょう。

会計事務所や税理士事務所の大半が、会計士や税理士が営む零細規模の事務所です。そこで働くスタッフは、基本的に代表者である会計士や税理士のアシスタント業務を行うことになります。そのため、同じ事務所でずっと働き続けるというよりは、その先にある目標に近づくために税理士事務所で働く時期を経験する、といった位置づけになると考えていいでしょう。

税理士事務所を志望する人に多いのは、次の3つのパターンです。

  • いずれ自分が開業したい!──という人
  • 簿記・会計の知識を学んで、いずれ経理・財務職を目指す──という人
  • 税理士・公認会計士の資格を目指している人

それぞれ、順を追って見ていきましょう。



いずれ自分が開業したい!──という人

税理士を目指す人の中で、将来的に自分で開業して事務所を持つという目標を掲げている人はたくさんいます。いわゆる「士業」ですので、独立開業して自分でやっていくのがベストと考える人が多いのです。

ただし、会計士や税理士の資格を取得したからと言って、いきなり実務がこなせるわけではありません。次の項で触れますが、会計事務所や税理士事務所によって対象となる顧客は異なり、それに伴って仕事内容も変わります。得意とする顧客層を決め、そこに特化した運営をしていくためにも、まずは実務を経験しておく必要があるのです。

実務を経験するための近道の1つが、会計士や税理士のアシスタントとして働くことです。ただし、実務経験を積んだとしても会計事務所や税理士事務所を開業するには公認会計士または税理士の資格が必要になります。資格を得るには試験に合格しなくてはなりません。



簿記・会計の知識を学んで、いずれ経理・財務職を目指す──という人

企業の経理や財務といった部門でいずれ働きたいと考えている人は、簿記や会計の知識を身につけておくことが必須となります。しかし、大企業になればなるほど、こういった間接部門に未経験者を採用することはほとんどありません。新卒であれば別ですが、中途採用となると経験者が優遇されやすくなります。

反面、零細規模の事務所であれば、意欲やポテンシャル、人柄といった面で未経験者でも採用される余地があります。未経験者が採用されやすいところからスタートして経験を重ね、将来的に企業の経理部や財務部門へとステップアップしていくのはひとつの手です。

ただし、後述しますが「完全な知識ゼロの未経験者」では、どこの事務所も採用を見合わせる可能性が高いでしょう。実務未経験であっても、何らかの基礎的な素養は持っておく必要があります。



税理士・公認会計士の資格取得を目指している人

税理士になるには、税理士資格試験に合格し、かつ2年以上の実務を経験する必要があります。この実務経験がネックになるわけですが、税理士事務所で働きながら資格取得を目指して勉強していれば、実務経験を積みながら資格を得られるわけです。

税理士になるには、他にも公認会計士か弁護士の資格を取得する方法があります。公認会計士資格を持っていれば、税理士として開業することは認められています。ただし、公認会計士も税理士と同様、会計士として2年以上の実務経験が必要になりますので、やはりアシスタントとして会計事務所で働くのが近道ということになります。

なお、資格取得を目指しつつ働く場合には、勉強時間をしっかりと確保できることも重要な条件になります。この点も含めて転職先を検討する必要があることを念頭に置きましょう。


2)未経験・異業種の方が知っておきたい、税理士事務所のお仕事

税理士事務所・会計事務所の主な仕事内容は

税理士事務所や会計事務所の主な仕事内容は、ざっくり言うと「企業の税務申告の代行」です。どの企業にも決算があり、決算期には決算書を完成させる必要があります。また、年に1回必ず税務申告を行わなくてはならない義務がありますので、そのサポートをするのが税理士事務所というわけです。

また、ベンチャー企業などで社内に経理担当者がいない場合、経理業務を外部の税理士事務所や会計事務所に委託することがあります。いわゆる記帳代行経理代行と呼ばれる業務で、毎月のことになりますので企業へ頻繁に訪問することになります。

このように、税理士事務所や会計事務所はいわゆる事業会社ではなく、クライアントである企業などの業務をサポートするサービス業と言えます。あくまでもクライアントありきの仕事であり、得意先との信頼関係が非常に重要になります。代表者である税理士や会計士だけでなく、事務所で働くスタッフ全員がその事務所の「顔」となると認識し、クライアントから信頼を得られる対応をする必要があります。



扱う顧客(業界範囲、企業規模)によって、仕事内容が異なる

前述の通り、税理士事務所や会計事務所は企業などの税務申告を請け負います。そのため、上期・下期・年末といった決算の節目となる時期に業務が集中する傾向があり、繁忙期と閑散期が比較的はっきり分かれている仕事と言えます。クライアントの業種や企業規模が偏っていれば時期も集中しやすくなります。求人票や事務所のWebサイトなどに顧客が記載されていれば、業界や企業規模からおおよその繁忙期が推測できるわけです。

一方、法人ではなく個人事業がクライアントの中心という税理士事務所も少数ですが存在します。個人事業の場合は確定申告によって税務申告を行いますので、税務署への申告書提出期日となる3月半ばあたりが忙しさのピークになります。地元で長く続いている事務所の場合、地元の飲食店など個人事業主がクライアントであることが考えられます。

ただし、一般的にはスタッフを雇い入れる規模の事務所であれば法人が顧客であるケースがほとんどと考えていいでしょう。



3)税理士事務所での業務では、どんな知識やスキルが必要?

仮に税理士事務所へ未経験の状態で応募するとしても、「まったくの知識ゼロ」では採用される確率は非常に低いと言わざるを得ません。基礎的な素養があることや、その方面の仕事に関心があることを示すためにも、事前に準備を進めておくことが重要です。

ここでは、税理士事務所を目指すにあたって必要とされる主なスキルを挙げてみます。このうち、転職活動開始前から準備できることがあれば、積極的に進めておくこといいでしょう。



日商簿記2級

簿記は経理業務に携わる上での基本であり、税理士事務所や会計事務所で働く上でぜひとも取得しておきたい資格の1つです。日商簿記には3級から1級まであり、1級は難易度の高い資格となります。簿記には日商の他に全経簿記や全商簿記があり、商業高校の生徒が在学中に取得していることが多い資格です。

日商簿記とは別の試験ですので単純に比較できない面はありますが、一般的なレベル感として日商簿記2級に合格していれば、商業高校卒以上の素養はあると見てもらうことができるでしょう。履歴書の資格欄に書けるというだけでなく、実務においても知識が役立ちます。

その意味でも、経理関係の仕事をこれまで経験したことがない人は、日商簿記2級を取得しておくことをおすすめします



コミュニケーションスキル

会計事務所や税理士事務所にアシスタントとして入るとなると、クライアントとの連絡窓口になる可能性が高いでしょう。経理や税務の知識を身につけることも非常に重要ですが、それ以前にコミュニケーションスキルがないと、そもそも窓口や連絡役を任せられないと思われかねません。

また、零細規模の事務所の多くは代表者である会計士や税理士の個人事務所です。代表者とうまくやっていくことができるかどうかが、実は従業員として働く上で鍵となる場合が多いのです。いくら知識やスキルがあっても、「この人とは働きたくない」と思われてしまったら、採用される可能性は極めて低いでしょう。

アシスタントとして信頼できそうだ、と思ってもらえるような、事実を正確に伝えるコミュニケーションスキルを身につけることが大切です。



税理士科目合格(1科目からでも)

税理士資格は11科目に分かれており、そのうち5科目に合格することが資格取得の条件となります。11科目は次の通りです。

  • 簿記論(必須)
  • 財務諸表論(必須)
  • 所得税法(選択必須)
  • 法人税法(選択必須)
  • 相続税法
  • 消費税法
  • 事業税
  • 国税徴収法
  • 酒税法
  • 住民税
  • 固定資産税

この科目は1回の試験で5科目まで受験できますが、1科目から合格するということもあり得ます。将来的に税理士資格の取得を目指すのであれば、1科目でもいいので合格しておくことで、この世界で働いていきたいという意欲を伝えることにつながります。また、実際に税理士資格を目指す上でも残りの科目に集中しやすくなるため、長い目で見ると有効な対策になると言えるでしょう。



4)未経験から税理士事務所に転職する際の、準備しておきたい3つのポイント

  • 転職とその後のキャリアプランの期限を決める
  • 取得可能な資格はなるべく取っておく
  • オフシーズンを狙って応募する

それぞれ、順を追って見ていきましょう。



転職とその後のキャリアプランの期限を決める

税理士事務所や会計事務所へ未経験で転職する場合、非常に重要になってくるのが「タイミング」です。できるだけ若いうちに転職し、実務経験を積んでいくことで、その後のキャリアを切り拓いていくための土台を固めることにつながります。

いずれは税理士事務所に転職しよう」「ひとまず何か資格を取って、それから考えよう」といった姿勢だと、思いのほか準備が整うまでに期間を要してしまい、気づいたときには転職のタイミングを失っていた、といったことにもなりかねません。

いつまでにどうなっていたいかゴールをまずは決め、それに向けて具体的な行動と期限を逆算して決めておくことが大切です。たとえば20代の方であれば、「27歳までに税理士事務所に転職する」「26歳までに簿記2級を取得する」といった目標と行動を決め、今からやっておくべきことを明確にしておきましょう。

やるべきことと期限を明確にすることによって、転職に向けた動きの進捗が順調なのか遅れ気味なのかを把握しやすくなるのもメリットの1つです。



取得可能な資格はなるべく取っておく

たとえば、20代のうちに税理士事務所へ転職しようと決めた人は「20代のうちに簿記2級も取っておこう」と考えがちですが、これでは後手を踏んでしまう可能性が高いと言えます。遅くとも転職活動を始める前までには必要な資格を取っておくのが望ましいので、「いずれ」「そのうち」資格を取るのではなく、取得可能なものからどんどん取っておいたほうがいいでしょう

ただし、難関資格になればなるほど合格するために要する期間は長くなり、合格率も低くなります。本来の目的は税理士事務所で働くことですから、資格取得のための期間がかかり過ぎて転職の機会を逃してしまうようでは本末転倒です。簿記2級のように、現実的な期間と勉強量で取得できる資格に留めておいたほうがいいでしょう。

なお、実務未経験者については「税理資格を取得してから実務経験を積んで税理士になる」のはやや非効率的かもしれません。税理士や会計士の下で働きながら実務経験を積み、その間に資格取得のための勉強も進めていくのがベターと言えます。



オフシーズンを狙って応募する

税理士事務所に実務未経験で転職を検討している人が留意すべき点として、「有資格者も同じように転職活動をしている」ことが挙げられます。税理士資格を持っている人も、経験者として税理士事務所へ応募するわけです。経験者と比べられてしまうと、どうしても未経験者は不利になりがちです。そこで、税理士事務所への応募が少ないと思われるオフシーズンを狙って応募したほうがいいでしょう

税理士試験は毎年8月に行われます。その後、8月から9月にかけて、若手の税理士志望者を対象とした採用活動を多くの税理士事務所が行っています。この時期は実務経験者や科目合格者の応募が集中しますので、あえて避けるのです。

税理士事務所の採用活動が落ち着くオフシーズンとは、税理士試験直前の6月・7月や、税理士試験後に採用活動が落ち着く10月以降、税理士の繁忙期が落ち着いた確定申告後の3月末といった時期になります。未経験者であればこういった時期に税理士事務所の求人を探し、応募してみることをおすすめします。



5)年代別 税理士事務所への転職で注意するポイント

ここからは、20代・30代・40代の方が税理士事務所への転職を検討する際、注意するポイントについて見ていきましょう。年齢が上がるにつれて、応募前に整えておきたい準備が多くなっていくことがイメージしやすくなるはずです。

下記の各ポイントは、そのまま「税理士事務所が応募者に対して期待すること」と読み替えることもできます。各年代の転職希望者に、税理士事務所がどのようなことを期待しているのか、立場を置き換えてイメージしてみるといいでしょう。



20代の転職の場合は、敷居はかなり低い

20代の方は、税理士事務所にとっても「若手」の人材です。この年代の人材を雇用すれば、その事務所での仕事の進め方をじっくりと教えていくことができます。そのため、20代の人材に対しては実務経験や専門知識よりも、意欲や人柄の部分にウエイトを置いて採用の可否を判断するケースが多いと考えられます。

裏を返せば、それだけ応募書類上や面接時に「意欲」をどれだけ伝えられるかが重要になるということです。税理士事務所で働いてみたい、という気持ちを伝えることだけでなく、その後のキャリアプランをしっかりと考えていることや、資格取得など具体的な行動として意欲が表れているかどうか、といった面も重要になります。

税理士事務所の側からすれば、実務未経験者を雇ってゼロから研修を施していくよりも、ある程度は税理士事務所での業務経験がある人材を採用したほうが「楽」なのです。そこをあえて未経験者を採用するという選択をしてもらうわけですから、期待してもらえるだけの意欲を見せることが重要になるのは言うまでもありません。

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30代未経験の転職も十分狙える。ただし、税法への理解等の相応の準備を

30代に入ると、20代の人材のように「意欲と人柄」でゴリ押しするのは難しくなってきますが、かと言って未経験者の転職が不可能なわけではありません。未経験者であっても、税理士事務所で働く上での適性を十分に兼ね備えていると判断してもらうことができれば、採用してもらえる可能性は残っているでしょう。

ただし、30代の人材になると自発的に動くことが求められるようになります。転職活動もしかりで、「何の経験も知識もありません」といった他力本願の姿勢では自分を売り込むことは難しくなっていくでしょう。税法を自分なりに時間を取って勉強してきた形跡や、資格取得など具体的な努力の成果が見えるようでないと、20代の若手に未経験者採用枠を奪われてしまうかもしれません。

税理士事務所にとっては、若手なら20代、経験者ならもっと上の年代でも良いわけですから、30代未経験者は中途半端な立ち位置にあるとも言えます。なぜ自分を採用すると税理士事務所にとってメリットとなるのか、しっかりと伝えられるだけの努力の跡を見せることが重要です。

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40代転職の場合は、簿記2級と税理士科目合格は事前に済ませておきたい

40代になると、その人の適性がかなり顕在化するようになります。適性に合った仕事をしていれば、何らかの成果や実績が伴っているはずなので、その点は20代・30代と比べるとシビアに見られると言っていいでしょう。

税理士事務所での仕事が未経験の人の場合、具体的な成果としては資格取得が最も分かりやすいでしょう。簿記2級はもちろん取得しておきたいところですが、これだけでは十分とは言えません。若手の人材にも簿記2級を持っている人はたくさんいるはずですので、差がつかないからです。

税理士資格をすでに持っていることが理想ですが、それが難しい場合は科目合格でもいいので、履歴書に書ける状態にしておきましょう。また、税理士事務所で働く上で関連するキャリアだけでなく、これまで携わってきた仕事内容を職務経歴書に記載することによって、ビジネスパーソンとしての「厚み」を伝えることも重要です。

他業種で成功事例がある人は、業種が変わっても成功できる確率が高いため、前職までの実績はしっかりと伝えることが大切です。

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まとめ)未経験から税理士事務所へ転職するには「準備が8割」

どのような業種・職種においても、未経験の仕事に就くのは大変なことです。

とくに税理士事務所の場合、企業というよりは個人事務所の規模のことが多いため、転職ノウハウの実態があまり表に出てこないところがあります。そこで、この記事で紹介してきたように、

  • 転職する目的の明確化
  • 資格取得
  • 今後のキャリアプランの策定

といった事前準備を念入りに行っておくことが非常に重要になってくるのです。とくに未経験者の転職においては、準備が8割と言っても過言ではないでしょう。

まずは自分にとって必要な準備をはっきりさせるためにも、いつまでに・なぜ転職するのかを紙に書き出し、ゴール設定をしておきましょう。ゴールから逆算していくことで、今やっておくべきことがより明確になるはずです。