ホテルサービススタッフってどんな仕事?未経験・異業種からホテル業界に転職するには
[最終更新日]2021/02/25

異業種からホテル業界への転職を検討している人は、「人に喜んでもらえる仕事がしたい」「お客様の思い出作りに貢献できる仕事がしたい」といった思いを抱いていることでしょう。
海外からの観光客が増えつつあることもあり、ホテル業界は近年注目を集めている業種の1つです。
目次
1)ホテルサービススタッフって、具体的にどんな仕事なの?
ホテル業界未経験者にとって、ホテルは「宿泊したことはあるけれど、客から見えていない範囲の仕事内容はよく知らない」のが実情ではないでしょうか。ラグジュアリーホテルやおしゃれなシティホテルも増えていますので、ホテル業界に対して華やかなイメージを持っている人もいるかもしれません。
ただし、いざ転職するのであれば漠然としたイメージで応募するのではなく、具体的な仕事内容を知っておき、入社後に「思っていた仕事内容と違う」と感じることのないように備えておくことが大切です。
まずは、ホテル業界について把握しておこう

ホテルを利用する宿泊客は、ホテルのホームページから直接宿泊を申し込む場合と、旅行代理店や予約サイト経由で予約する場合があります。鉄道や航空機のチケットとホテル宿泊を合わせたパック旅行を利用する人も多いため、ホテル業界は旅行や交通といった業界とも密接な関わりのある業界です。
ホテルとひと口に言っても、富裕層向けのラグジュアリーホテルや観光客向けのリゾートホテル、レストランや結婚式場を備えるシティホテル、主にビジネスパーソンの出張の需要に応えるビジネスホテルなど、さまざまな種類があります。ホテルの種類によって重視するサービスが異なりますので、イメージしている「ホテルサービススタッフ」がどのタイプのホテルでの仕事か明確にしておく必要があります。
シティホテルやラグジュアリーホテル、リゾートホテルは、宿泊だけでなくレストランや宴会場、会議室の利用客も重要な収益源となります。それぞれの部門に企画職や営業職を置いているホテルもあるなど、ホテルサービススタッフの職種や仕事内容は多岐にわたっています。
ホテルサービススタッフの具体的な仕事内容
ホテルサービススタッフとしての仕事内容は細部化されており、各部門が多様な役割を担っています。ホテルの規模やサービスに対する考え方によって、専門の部門を置いているケースもあれば、複数の役割を兼任するケースもあります。
ホテルサービススタッフの仕事のうち、多くのホテルで見られる代表的な職種として次のようなものがあります。
役割(職種) | 説明 |
---|---|
コンシェルジュ | レストラン予約や観光案内など、お客様のさまざまなリクエストに応えます。 |
フロント | チェックイン・チェックアウトをはじめ、お客様の対応全般を担う「ホテルの顔」です。 |
ドアマン | ホテルの正面エントランスでお客様を出迎えるプロフェッショナルです。 |
ベルパーソン | お客様の荷物を運び客室へと案内するなど、お客様をお手伝いする仕事です。 |
キッチンスタッフ | ホテル内のレストランで調理を担当します。 |
ウェイター・ウェイトレス | レストランでのオーダーテイク、料理の提供など接客と運営全般を担います。 |
ハウスキーピング | 客室の清掃やベッドメイキング、アメニティの補充を行います。 |
管理部門 | 一般的な会社と同様の、総務・経理・人事といった間接部門です。 |
マーケティング・広報 | 市場調査や顧客分析を行うことにより、ホテル利用者の拡充を図ります。 |
セールス(営業) | 企業や各種団体に宿泊・宴会・レストランの利用を勧めます。 |
代表的なものを挙げただけでも、ホテルには実にさまざまな仕事があることが分かります。仕事内容が分かってくると、どのようなスキルや経験が求められるのかが推測しやすくなり、採用選考時にどういった点をアピールしたらいいかが見えてきます。
漠然と「ホテルで働きたい」と考えるところから一歩進んで、どの分野で活躍していきたいのかを具体的に絞り込んでいきましょう。その上で、ホテル業界でどのように活躍していきたいのか、キャリアイメージを明確化していくことが重要です。
ホテルサービススタッフのキャリアイメージは?

ホテルサービススタッフとして勤務を開始すると、まずはベルパーソンやウェイター・ウェイトレスなど、お客様にサービスを提供する現場の仕事に配属されます。その後、キャプテンやチーフとして各セクションをまとめる役割を担うようになり、ゆくゆくはアシスタントマネージャーなどマネジメントへと軸足を移していきます。
ホテルサービススタッフとしてのキャリアの頂点はGM総支配人であり、ホテル全体を統括する役割に相当します。
マネジメントを適切に行うには、ホテルのさまざまな仕事を幅広く把握している必要があります。ホテル経営においては顧客満足度を高めていくことが非常に重要ですので、各セクションが連携を図りながらお客様の対応にあたる必要があるからです。
そのため、入社1〜3年程度の期間はジョブローテーションによってさまざまなセクションを経験し、ホテルでの仕事全般に対する理解を深めていく方針のホテルが多く見られます。他業種で言うところの総合職をイメージしておくといいでしょう。
ホテルサービススタッフの年収イメージは?

ホテルサービススタッフの年収は、ホテルによって差があるのが実情です。一般的にはグレードの高い大手ホテルのほうが給与水準が高く、日本のホテルよりも海外大手のホテルのほうが待遇がよいとされています。
海外大手ホテルの一例として、リッツカールトンの新卒(23歳)時点での推定年収は320万円、30歳で468万円、40歳で660万円です。
日本の大手ホテルの一例として、帝国ホテルの新卒時点での推定年収は312万円、30歳で428万円、40歳で549万円です。
このように、若手のうちは外資系でも日系でも給与水準に差がないように見えますが、キャリアを重ねるにつれて差が開いていく場合もあります。
ただし、日本のホテルは待遇が悪いというわけではありません。マネージャーに登用されるなど責任あるポジションにつくことで役職手当が支給されることもありますし、ホテルサービススタッフは経験がものを言う仕事であるだけに勤続年数によって給与が加算されていく給与体系になっているホテルもあります。
2)ホテル業界・ホテルサービススタッフとしての仕事は、どんな知識やスキルが必要?
ホテルサービススタッフになるには、どのような知識やスキルが必要なのでしょうか?異業種から転職する人にとって「必要な資格はあるの?」「必須スキルは?」といった点は特に気になるところでしょう。
まず前提として、ホテルサービススタッフになる上で特別な資格は必要ありません。また、大卒以上などの学歴の制約もないことがほとんどですので、短大や専門学校卒、高卒であることを理由に不利になることはありません。言い換えれば、実力が全ての業界なのです。
ホテルサービススタッフとして必要とされる代表的なスキルについて見ていきましょう。
接客・接遇スキル

ホテルサービススタッフは、お客様と直接接する場面が多い仕事です。マニュアル通りにこなせばよいわけではなく、お客様の満足度を向上させるために工夫を凝らし、お客様のご要望をよく見極める必要があります。
見方を変えると、要望や期待するサービスはお客様一人一人異なりますので、接客や接遇において「正解」はありません。その人の持ち味や個性も重要な要素になるのです。
そのため、接客や接遇スキルを高めてきた経験がある人は、ホテルサービススタッフとして働く上でもそのスキルを活かせる可能性があります。異業種で接客や接遇を経験してきた人は、経験してきた仕事内容やお客様とのエピソードを紹介するなど、選考では積極的にアピールするといいでしょう。
チームワーク・コミュニケーションスキル

大規模なホテルになるほど仕事内容は細分化され、セクションに分かれて仕事を進めていくことになります。各自が自分の持ち場での役割に集中することは大切ですが、どのセクションの仕事も「お客様に満足いただけるサービスを提供する」という目的は同じです。
全体をバランスよく見ることができる能力や、協力し合いながら動いていくチームワークが求められます。
また、ホテル内では年齢やキャリア、あるいは役割の違いによって、微妙な力関係が発生することがあります。たとえば、総支配人でさえも大ベテランの料理長に対して意見するのは憚られる、といったことも起こり得ます。円滑に仕事を進めていく上で、スタッフ同士のコミュニケーションを図るスキルは重要な意味を持つのです。
語学力

ホテルは外国人も大勢利用します。近年は海外からの観光客も増加傾向にあるため、インバウンド需要が伸びています。ホテル業界もその代表格の1つであり、外国人観光客に人気のある観光地付近のホテルは常に満室ということもめずらしくありません。
ホテルサービススタッフは、こうした外国人の利用客に対しても満足度の高いサービスを提供することが求められます。必然的に、語学力はなくてはならないスキルとなるはずです。海外旅行をする際、言葉が通じるかどうかは非常に大きな要素であり、言葉が通じる相手がいるかどうかによって旅先で感じるストレスは大きく変わります。
「このホテルに泊まってよかった」と思ってもらうためにも、英語をはじめとする外国語のスキルを持っていることは、ホテルサービススタッフとしてとても大切な資質と言えるでしょう。
3)未経験からホテル業界に転職する際の、準備しておきたい3つのポイント

- まずは客として、自分がサービスを受けてみる
- ホテルサービススタッフにとって、語学力は「必須スキル」になりつつある
- 業界の知識に不安な場合は、転職エージェントからのサポートを活用する
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
まずは客として、自分がサービスを受けてみる

あるホテルがどのような理念で運営されているか、それがどうお客様に伝わっているのか、詳しく知りたい場合に有効な方法の1つとして、実際に自分が客としてサービスを受ける側になってみるといいでしょう。
ランクの高いホテルともなると費用もそれなりにかかりますが、レストランでの食事のみ利用するといった方法で費用を抑えることも可能です。サービスの質やホテルの雰囲気を知るには「百聞は一見にしかず」で最も分かりやすい方法かもしれません。
自分が客として利用してみて、「サービスの素晴らしさに感動した」「また利用したいと思った」といった感想を持つことができれば、スタッフになってからも「あのときと同じようにお客様に満足していただきたい」という思いを持って仕事に打ち込むことができるはずです。
ホテルサービススタッフにとって、語学力は「必須スキル」になりつつある

外国人の旅行者が増えている昨今、ホテルサービススタッフにとって語学力は「あればベターなスキル」というよりは「マストのスキル」になりつつあります。ホテルの利用客は、ホテルのスタッフに言葉が通じるのは当然のことと考えているケースも少なくないため、選考時には語学力が重視されるのはほぼ間違いないと考えていいでしょう。
具体的には、TOEICのスコアや留学経験はもちろんのこと、海外旅行に複数回行った経験について伝えることも「外国語に対して抵抗がない」といった印象を持ってもらうには有効です。英文記事のニュースを読んでいるなど、日常的に外国語に触れていることをアピールするなどの方法も考えられます。
なお、ホテルサービススタッフに必要な語学力とは「伝わる」「コミュニケーションを図ることができる」スキルのことです。完璧な発音や流暢な話し方が求められているとは限らない点に注意しましょう。
業界の知識に不安な場合は、転職エージェントからのサポートを活用する

異業種からホテル業界へ転職する場合、自分でリサーチできる情報量には限界があります。よく言われることですが、「未経験の業界は入ってみないと分からないことのほうが多い」のです。
人任せにせずできるだけ自分で情報を集めておくのは大切なことですが、業界知識について少しでも不安を感じるのであれば、転職エージェントの力を借りてサポートしてもらったほうがいいでしょう。
転職エージェントでキャリアカウンセリングを受けることで、「ホテル業界に適性があるかどうか」「ホテル業界で実現したいキャリアプランが現実的かどうか」といった根本的な部分について客観的に判断してもらうこともできます。
転職のプロであるキャリアアドバイザーから背中を押してもらえたのであれば、未知の業界への転職も自信を持ってのぞむことができるはずです。
4)ホテル業界に未経験で転職する際の、おすすめの転職サービス
ホテル業界に未経験で転職する人が利用する転職サービスとしては、多種多様な業種をカバーしている総合型エージェントがベストでしょう。比較的大手の総合型エージェントであれば、ホテル業界の求人も扱っている可能性が高いからです。
ただし、転職エージェントには各社に強みとする分野や強みとするターゲット層があります。自分の状況や希望に合った転職エージェントを活用することで、転職成功率を高めておくことにつながります。ここでは、おすすめの転職サービス3社をご紹介します。
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まとめ)ホテル業界には大きなチャンスがある
ホテル業界は近年のインバウンド需要増に伴って人手が必要な業界の代表格となっていますが、十分な人員を確保できているとは言いがたいホテルも多いのが実情です。ホテルサービススタッフは、未経験者でも前職までに培った人生経験を活かしやすい仕事と言えますので、大きなチャンスのある業界と言えるでしょう。
未経験からホテルサービススタッフとして新たなスタートを切りたいと思っている人は、チャンスの多いホテル業界で思い切り自分を試してみてはいかがでしょうか。