介護士の転職で、「職場選びで失敗した…」とならない為のポイント4点
[最終更新日]2020/10/01

介護業界は慢性的な人手不足に陥っているため、求人数も多く、異業種からの転職者も積極的に受け入れています。
しかし、介護職として転職することを考えているということは、現職に何らかの不満を抱えているということです。
そしてその不満は、職場が変われば解決するとは一概に言えません。
目次
1) 介護士の転職理由で多いのは、「人間関係の悩み」、「職場の理念への不信」

2018年8月に公益財団法人介護労働安定センターが発表した、平成29年度「介護労働実態調査」によると、2016年10月1日から2017年9月30日までの1年間に、訪問介護員と介護職員の16.2%が離職していることがわかりました。
前年度の16.7%を下回ってはいますが、1年間の採用率が17.8%であることを考えると、離職率が高い業種であると言わざるを得ません。
しかし介護業界で現在の仕事を続けたい人が53.8%、現在以外の職種で介護職を続けたい人が23.6%いることを考えると、「業界を離れたい」と思っている人は少ないことがわかります。
つまり、介護士の転職が多い理由は業界自体に問題があるということではなさそうです。

上図は、同調査でまとめられたデータの中で、前職が介護関係だった人が前の職場を辞めた理由を抽出したものです。
介護従事者全体では「結婚・出産・妊娠・育児のため」が前職を辞めた理由のトップになっていますが、前職が介護関係の人になると「職場の人間関係に問題があった」が最も多いという結果になっています。
また「法人や施設・事業所の理念や運営にあり方に不満があった」「他に良い仕事・職場があった」など、前職の組織の問題を理由に上げる人が多いことがわかります。
その他にも、「収入が少ない」「自分の将来の見込みが立たない」など、その職場で働き続けるメリットがないと感じたことを理由にあげる人もいました。
職場に対する不満が転職の理由となる場合は、転職後に同じことが起こらないように、きちんと情報収集したうえで求人を取捨選択する必要がありそうです。
2) 70%の介護士は、3年以内で職場を辞めている?


上図は、同センターが2014年に発表した、平成25年度「介護労働実態調査」の中で発表したデータの抜粋です。
これを見ると、2012年10月1日から2013年9月30日までの1年間に退職した訪問介護員・介護職員の約73%が、勤続3年未満で退職していることがわかります。
さらに勤続1年未満で退職している人は、3年未満での退職者の半数を超える約39.2%に上っているのです。
中でも最も離職率が高いのが、正規雇用された訪問介護員です。勤続3年未満の離職率は約81%、うち勤続1年未満が約41.8%を占めています。
最も離職率が低いのが正規雇用の介護職員となっていますが、こちらも勤続3年未満の離職率は約69%、うち勤続1年未満が約33.3%と、他の業界と比べると高い数値となっている実情があります。
事業所の規模が小さいほうが、離職率は高めになる


上図のデータは、前述した平成25年度「介護労働実態調査」で発表された、事業所規模別(従業員数別)離職率をグラフ化したものです。
訪問介護員・介護職員共に従業員数が9名以下のところが一番離職率が高く、100人以上の規模になると低くなる傾向が見られます。
その原因を考えると、従業員数が少ない事業所の方が大規模なところと比べると、人間関係や価値観の不一致が顕在化しやすく、トラブルに発展するケースも少なくないことがあげられます。
ただし、小規模であっても離職率が低い事業所ももちろん存在するので、一概に断定することはできません。
3) 介護士の転職で、「職場選びで失敗した…」とならない為のポイント4点

介護士の経験者であっても、未経験者の異業種転職であっても、職場選びは重要なポイントです。
入職後に「職場選びに失敗した」と思わずにいるためには、守るべきことがあります。
それが以下の4つのポイントです。
- 自分自身の「今回の転職で適えたいこと」を明確にする
- 「企業理念」「待遇条件」「人間関係」「育成制度」の観点で職場をチェック!
- なるべく、入職前に職場を実際に見て確認
- サポート・アドバイスの厚い介護向け転職支援サービスを利用する
上記項目について、それぞれ、順を追って見ていきましょう。
まずは、自分自身の「今回の転職で適えたいこと」を明確にする

ここでは、介護士として働いた経験のある方に焦点を絞ってお話ししましょう。
転職を成功させるポイントは、「転職軸」を明確にすることです。
転職軸とは、なぜ新しい環境で働きたいと考えたのか、核となる動機や理由のことをいいます。
働き方という観点であれば、「キャリアアップを目指したい」「ワークライフバランスがとれる職場で働きたい」などが考えられます。
待遇面で考えると、「年収をアップしたい」「残業を減らしたい」「勤務時間や日数を減らしたい」などがあげられるでしょう。
介護業界で多いのが職場環境に関するもので、「人間関係のよい職場で働きたい」「理念や運営方針に共感できるところで働きたい」などが、核となる動機や理由になる人が多いようです。
このように核となる転職の動機や理由が明確であれば、それが叶う職場を探せばよいので、求人選びがスムーズに進むはずです。
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職場を見るポイントは、「企業理念」・「待遇(福利厚生含む)」・「人間関係(雰囲気)」・「育成(研修)制度」の4点セット

介護士が転職を考える際、理由としてあげられることが多いのが「企業理念」、「待遇(福利厚生)」、「人間関係(雰囲気)」、「育成(研修)制度」の4つです。
それぞれのチェックポイントについて、説明しましょう。
●企業理念
どの職場であっても、企業理念を掲げているものです。
しかし、本部で掲げた企業理念が現場まで上意下達している職場ばかりではないのが現実です。
また立派な企業理念があっても、それを実現する方法が具体的に明示されていない職場も、経営者と従業者の間での意識の不一致、そのほか現場の負担が大きくなることなどが予想されます。
●待遇(福利厚生)
介護業界はその他の業界と比較すると、給与が低い傾向にあります。
しかし、残業手当や休日出勤手当がきちんと支給される職場と、サービス労働が常態化しているところでは、年収に差が生まれます。
また女性が多い業界ですので、産休や育休、介護休暇の制度がある、それらの休暇の取得実績の有無も大事なチェックポイントです。
さらに昇給や昇格などの人事制度や労働条件が明確かどうかも、調べておきたいところです。
●人間関係(雰囲気)
介護業界の離職原因の筆頭に上がるのが、職場の人間関係です。
職員間の情報共有やコミュニケーションがとれているのか、利用者や来客に対して挨拶が徹底されているか、長期にわたる勤務者がどのくらいいるかは、しっかりチェックしておくと良いでしょう。
確認方法については、ある程度Webの口コミサイト等でも確認できるでしょうが、介護向けの転職サービス経由で希望する職場を見学する等の手段を取ったほうが確実です。
介護向けの転職サービスについては、おすすめのサービスを後述しておりますので、併せてご覧ください。
●育成(研修)制度
入職者向けの育成(研修)制度が用意されているかも、大事なポイントです。
未経験者や無資格者を対象とした介護技術の研修のほか、中堅職員向けのリーダー研修、管理職向けのマネジメント講習、キャリアアップのための資格取得サポート制度などの有無は、事前にヒアリングしておくことをおすすめします。
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なるべく、入職前に職場を実際に見て確認
介護士の転職先は多岐にわたります。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、優良老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、デイサービス、訪問介護では、仕事内容も待遇も異なります。

また、職場としてのカテゴリーは同じでも、事業所の雰囲気は様々です。
入職後にミスマッチに気づいて後悔することを防ぐ意味でも、応募を考えている職場には一度見学に行くことをおすすめします。
介護職員と利用者の関わり方はもちろん、スタッフ間のコミュニケーションについても、しっかりチェックしておくと良いでしょう。
介護向け転職サービス「かいご畑」では、「ミスマッチを防ぐ事前施設見学」制度あり
福祉職の人材派遣会社として歴史がある株式会社ニッソーネットでは、「かいご畑」という介護職に特化した転職支援サービスサイトを運営しています。
無資格の未経験者に対して、資格取得のための無料講座を開講することで有名ですが、かいご畑の特徴はそれだけではありません。
かいご畑を通して内定した場合、就業前に実際に施設を訪れる「事前施設見学」という制度が用意されているのです。
実際に職場に足を運び、職場の雰囲気や仕事内容を確認したうえで就職できるので、入職後のミスマッチが少ないと評判です。
転職先職場の「雰囲気」や「人間関係」が不安という方は、かいご畑の転職サービスがおすすめでしょう。
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サービス名 | かいご畑 |
---|---|---|
特徴 | 介護向け転職支援と併せて、介護資格の無料取得サービスもある「かいご畑」! 介護未経験の方、無資格の方も、専任コーディネーターのOne To Oneのきめ細やかなサポートと、常時4万件を超える介護向け求人情報が、あなたの転職活動を力強く支援してくれます。 |
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企業名 | 株式会社ニーソネット(1999年9月) |
サポート・アドバイスの厚い介護向け転職支援サービスを利用する

介護士の仕事はしたいけれど前職と同じような職場で働きたくない、あるいは未経験だが介護業界に異業種転職したい人の場合は、自力で求人を探すより、プロのサポートを受ける方が安心です。
そんな時に活用してほしいのが、介護者向けの転職支援サービスです。
たくさんの情報を持つ求人情報サイトから、介護職専門のキャリアコンサルタントがいる転職エージェントまで、サービスを展開する企業も複数あります。
介護業界特有の問題や保有資格とキャリアパス、希望条件に合う職場選びなどを、プロがアドバイスしてくれることで、入職後のミスマッチの確率を減らすことができます。
業者によって得意分野が異なるので、介護に特化した転職サイトや転職エージェントは複数登録し、それぞれが得意とするサービスを享受することをおすすめします。
サポートの厚いキャリアコンサルタントからの支援を受けたい方は、「きらケア」のサービスがおすすめ
「きらケア」とは、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する、介護職専門の転職支援サービスサイトです。
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また、求人票やウェブサイトではわからない職場の雰囲気や事業所が求める人物像などについての情報を持ち、応募書類の添削から面接対策、内定後の条件交渉まで、責任を持ってサポートしてくれます。
無資格の未経験者はもちろん、有資格者であっても、転職後のスキルアップサービスを受けられる点も魅力です。
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サービス名 | きらケア(正社員) |
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特徴 | 介護・医療に精通した専門のアドバイザーの支援・フォローが定評の、介護専門の転職サービス「きらケア」。 介護が初めての転職になる方や、異業種から介護業界への転職で、活動に不安を感じている方にはとても心強い味方となってくれることでしょう。 |
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企業名 | レバレジーズメディカルケア株式会社(2018年11月) |
まとめ)介護の転職の際は、「目的」(≒転職の軸)を明確にして、後悔のない選択をしよう!

今回は、転職した介護士が「職場選びを失敗した」と後悔しないためのポイントについて、お話ししました。
転職をする背景には、前職への不満があることは明らかです。
同じ間違いをくり返さないためには、応募前に十分に企業研究する必要があります。
しかし、転職にあたって自分の希望がすべて叶うわけではありません。
また、すべてを疑いの目で見ているうちは、どの職場でも満足できないことでしょう。
自分の転職軸が明確であれば、職場を見るときに減点方式ではなく、加点方式の目線が持てるようになります。
転職の目的を明確にし、プロのサポートを活用しながら、後悔しない職場選択を実現してください。