介護福祉士とは?介護職で働く人が知っておくべき介護福祉士の仕事・資格
[最終更新日]2020/09/30

「介護福祉士の仕事内容って?」
「介護福祉士を取得する方法は?」
「介護福祉士を自分が取るべきメリットは?」
本記事では、そんな介護福祉士に関するすべての悩みを解決すべく、『介護福祉士の仕事・資格に関する徹底解説』をしていきます。
目次
1)介護福祉士とは

介護福祉士とは、「社会福祉士および介護福祉士法」という法律に基づいた『国家資格』です。
ただ、これだけでは堅苦しいと思うので簡単に言い換えると、介護福祉士は「国が認める介護のプロ」のことです。
介護福祉士は介護を必要としている方がスムーズな生活を送れるよう、あらゆる側面から支援していく「介護のエキスパート」だといえます。
ただ通常のヘルパーさんと違うのは、ただ介助業務をするだけでなく、現場のスタッフを指導する立場にもあるということ。専門的な知識と経験を有する介護福祉士は、リーダーシップを求められることが大きな特徴だといえますね。
2)介護福祉士の主な仕事内容
介護福祉士の主な仕事内容は以下の3つです。

- ➀施設・スタッフに向けての仕事
- ②サービス利用者に向けての仕事
- ➂サービス利用者の家族に向けての仕事
どの仕事も介護現場では重要なのですが、中でも介護福祉士が突出しているのは①「施設・スタッフに向けての仕事」です。ぜひ➀に注目しつつ、具体的にどんな仕事を行っているのか理解を深めてください。
①施設・スタッフに向けての仕事

介護福祉士は3年以上の実務経験と、幅広い介護知識がないと取得できない資格です。そのため、その専門的な知識を活かし、施設やヘルパー間のリーダーとして現場での責任者を任されることが多いです。
具体的には、ヘルパーに対する介助業務の補助やアドバイス、施設長などの上司とヘルパースタッフの橋渡し的な役割…などがあります。
いずれにせよ、「介護利用者が自立した生活を送れるようにする」という最大の目標を達成するため尽力する、介護のリーダー的存在だと考えてもらえると、理解が早いかと思われます。
②サービス利用者に向けての仕事

介護が必要な方を専門的な知識から支援していくのが、介護福祉士の最も重要な仕事です。これはヘルパーであっても同じですね。
食事、入浴、排泄などの生活支援を中心に、あらゆる日常の課題を解決していくことが求められます。
介護者からの相談に乗り、日常生活で必要なことをサポートしながら、最終的に自立した生活を送れるように寄り添っていく…。介護福祉士はこういった仕事が中心だと考えてもらえると、よりイメージしやすいかと思います。
③サービス利用者の家族に向けての仕事

介護福祉士はその専門的な知識と経験を活かし、介護が必要な利用者様の家族にも寄り添っていくことが求められます。
長年連れ添った家族が「認知症」やその他の病気によって、介護が必要になってしまう…。それは長年連れ添ってきた家族にとって、精神的にも身体的にも負担が大きいものです。ただその割に「身内のことだからこそ周りには相談しづらい」という悩みも多く見られます。
そんな悩みに真摯に答え、「どうすればより良い生活が送れるか?」という観点からサポートしていくことが、利用者はもちろん、ご家族の幸せにも繋がっていきます。そういった「すべての方の生活支援」を担当しているのが介護福祉士なのです。
3)介護福祉士になると、どんなメリットがある?
ここからは「介護福祉士になると起こるメリット」を解説していきます。
給料やその他の待遇など、国家資格である介護福祉士を取得すると、どんなメリットがあるのか?非常に長い年月をかけて取得する資格であるため、今からご紹介するメリットをしっかりと理解した上で、ぜひ取得に向けた努力を始めてほしいなと思います。
介護福祉士になると得られるメリットは、主に以下の3つです。

- メリット① 就職・転職で有利になる
- メリット② 給料アップが期待できる
- メリット③ キャリアアップが望める
メリット① 就職・転職で有利になる

介護福祉士は「介護職員初任者研修(=旧ヘルパー2級)」や、ケアマネージャーといった介護資格と違い、介護業界で唯一の「国家資格」です。
そのため社会的な信頼が厚く、介護福祉士を持っているだけでほとんどの施設では高評価を得られます。
もちろん就職・転職後は、その分即戦力として高度な仕事を任されることは多くなります。しかし、介護福祉士を持っているだけで全国どこの介護職でも信頼を得やすく、経験を積めるというのは、働く側として非常に大きなメリットだといえます。
メリット② 給料アップが期待できる

介護福祉士による給与面の待遇は、他の資格や資格がない場合と比べてもかなり良いです。
具体的には、介護福祉士を所持している正社員が月収24万円の場合、介護職員初任者研修を所持するヘルパーは20万円弱…といった数万円の差がある場合が多いです(地域や会社によって異なります)。経験のないパートやアルバイトは更に低くなります。
また、2019年の10月から「介護福祉士の処遇改善」が実施され、勤続10年以上の介護福祉士はプラス8万円が給料に加算されるようになりました。こういった面から見ても、介護福祉士は給料アップが期待できると考えられますね。
メリット③ キャリアアップが望める

介護福祉士は国家資格であり、介護業界ではトップレベルに信頼が厚い資格です。そのため介護福祉士を所持している方は、介護サービスの責任者である「サービス提供責任者」や、介護施設の「施設長」といった大きな仕事を任されることが多くなります。
また、そもそも「介護福祉士を持っている」というのが、こうした責任ある役職の必須条件である場合も多いです。そのため、「介護職として仕事の幅を広げたい」もしくは「キャリアアップしたい」と考えているのなら、介護福祉士の取得はかなり重要だと考えられますね。
4)介護福祉士の資格取得方法
次に「介護福祉士の資格取得方法」について解説していきます。
『未経験から介護福祉士を目指したい』という方。そして、『既に介護職員なので、仕事をしながら介護福祉士を目指したい』という方の2パターンに分けて解説をしていきます。
それぞれやるべきことが異なるので、自分の現状に合った方を理解してみてください。
介護の仕事未経験から介護福祉士になるには
「介護の仕事を一度もしたことがない!」という完全未経験の場合、おすすめの取得ルートは以下の2つです。

- ➀介護福祉士養成施設に通う
- ②実務経験ルート
それぞれ解説していきます。
➀介護福祉士養成施設に通う
介護福祉士養成施設とは、「国から指定された養成施設を卒業し、最後に介護福祉士の国家試験を受験して、国家資格の取得を目指すこと」を目的としている、いわば介護福祉士のための学校です。未経験でも基礎からジックリ学べるため、非常に飛び込みやすいというメリットがあります。
具体的な養成施設の種類としては、

- 四年制大学
- 専門学校
- 高等専門学校
の3つが主に挙げられます。
この中でも特に「専門学校ルート」は、普通科の高校卒業者であれば最短の「2年」で取得できるということもあり、近年人気が上がっている取得方法なのです
②実務経験ルート
次章にて詳しく解説しますが、「介護の仕事をしながら介護福祉士取得を目指せる」のが、『実務経験ルート』になります。
介護の仕事は日常生活のサポートが中心であるため、基本的には「資格がなくても働いて良い」とされています。実際に筆者も、グループホームという介護施設で数か月を完全未経験&資格なしの状態で働いていました。
こういった「未経験から実務をこなす」という状態を3年以上。そして「介護職員実務者研修」という資格を取得することで、国家資格である介護福祉士の試験に挑むことができるようになります。
ホームヘルパー等、介護の仕事をしつつ介護福祉士になるには
改めて紹介させていただきますが、既に訪問や施設で介護業務を行っている人にオススメなのが『実務経験ルート』です。
受験資格は以下の3つになります。

- 対象となる施設(事業)および職種での従業期間が3年以上
- 従業日時540日以上
- 介護職員実務者研修の取得
訪問介護や、デイサービス、グループホーム等での施設介護で介護の仕事を3年以上経験したと認められないと、そもそもこの取得方法を行う権限が認められません。
その中でも、「実際に働いている時間が540日以上」すなわち休憩時間などは含まないことにも、留意しておく必要があります。
更に、実践的な介護知識・技術を学べる「介護職員実務者研修」を所持していることが条件なので、これらを加味すると、どんなに短くても「3年と少し」は掛かるルートだということがわかります。
それでも、実際に仕事を経験し、経験値とお金を稼ぎながら国家資格の取得を目指せるため、このルートでの取得者は年々増加傾向にあります。
もし「既に働いている」という方であれば、事業所が資格取得の資金援助をしてくれる場合も多いので、上司などに相談してみると良いでしょう。
まとめ)介護のプロになりたければ「介護福祉士」を取ろう!
最後に本記事の内容を簡単にまとめます。
- 「介護福祉士」とは、介護のエキスパートのことである
- 専門家として、ヘルパーなどをまとめる立場である
- 利用者やそのご家族をサポートするのも業務のうち
- 給料、キャリアアップなど多くのメリットがある
- 未経験なら学校に通うのもオススメ
- 既に働いているなら『実務経験ルート』から取得を目指そう!
介護福祉士は「介護のエキスパート」です。そのため取得することが出来れば、今後の超高齢化社会では絶対的に求められる人材へと成長できます。
キャリアアップや給料アップが図れるのはもちろん、介護職で大きく世の中に貢献できるようにもなりますので、ぜひご自分に合ったルートで取得を目指してほしいと思います。