生活相談員(ソーシャルワーカー)に向いている人は?仕事内容と転職の際に求められる知識・スキルを紹介
[最終更新日]2023/04/22

介護士や看護師の業務内容はイメージ出来るけれど、『生活相談員(ソーシャルワーカー)』についての業務と言われると、なんとなくは知っていても、具体的には答えられない──、そんな方が多いのではないでしょうか。
実際に介護士や看護師として同じ職場で働いている人ですら、その業務内容をよくは分からないという方も意外と多いようです。
目次
1)生活相談員(ソーシャルワーカー)とは
生活相談員(ソーシャルワーカー)は介護施設において、利用者またはその家族からの相談を受け、援助や支援・調整を行う仕事です。
利用者や、家族、ケアマネジャー、その他関係事業所と連絡・調整・相談をおこないます。
利用者とのコミュニケーションで状態変化等の気づきがあった際には、家族やケアマネジャーに報告し、ときに医療機関に繋げます。
また、事業所の契約、サービス担当者会議への出席、介護を行うにあたり個別援助計画の作成やサービスの調整なども業務のひとつです。
施設行事などの段取りや連絡・調整など、介護現場の一部を兼務することもあります。
2)生活相談員(ソーシャルワーカー)の主な仕事内容

生活相談員の主な仕事内容は、以下のとおりです。
- 介護サービスの契約
- サービス担当者会議への出席
- 個別援助計画書の作成
- 利用者や家族、ケアマネジャー等との連絡・調整・相談
- その他の雑務
それぞれの内容について、詳しく見てみましょう。
介護サービスの契約
2000年に介護保険がスタートし、全ての介護サービスは、契約から始まるようになりました。
生活相談員は、契約時に施設サービスを利用するにあたっての注意事項等を、利用者や家族へ説明します。
利用者が不安なくサービスを利用できるように、また後々トラブルが起きないように、介護保険や施設サービスについてしっかりと説明することが求めれます。
サービス担当者会議への出席
介護サービスは、ケアマネジャーが利用者や家族から状況や要望を聞き取り作成されたケアプランを基に、サービス提供が実施されます。
サービス担当者会議ではケアプランの原案を使って、介護サービスについて話し合いをします。
例えばデイサービスの生活相談員であれば、ケアプランで立てた目標を達成させる為に、デイサービスとして、どのような支援を行なえば良いのかを検討します。
個別援助計画書の作成
生活相談員はケアプランの内容に沿って利用者の個別援助計画書の作成も行います。
本来、個別援助計画書は施設管理者が作成するものとされていますが、ほとんどのデイサービスでは生活相談員が管理者と協働で作成しています。
個別援助計画書では、利用者や家族が望む生活が送れるよう、また目標が達成できるように、事業所としてどのような支援を行なえば良いのかを考え、既往歴、認知面、身体機能、性格、生活歴、趣味活動等を考慮した上で作成します。
利用者や家族、ケアマネジャー等との連絡・調整・相談
生活相談員の業務でもっとも多くのウェイトを占めるのはこの業務でしょう。
生活相談員はふんだんに利用者とのコミュニケーションを図ります。
サービス利用中、利用者に急な状態変化が見受けられた際には、すぐに家族やケアマネジャー、場合によっては医療機関等、必要な関係機関へ繋げる必要があります。
また、利用日変更や送迎の調整対応などのサービス利用の調整役を担うこともあります。
その他の雑務
施設で行なう行事(季節行事や慰問等)の手配や、急な来客への対応などの業務も、生活相談員が任されることもあります。
また事業所によっては、送迎や入浴介助・排泄介助・食事介助などにも携わることがあります(特に小規模の事業所で、その傾向が多く見られます)。
3)生活相談員のやりがい、大変な点、「向いている人」は?
生活相談員の仕事のやりがい
- 感謝の言葉を頂ける
- 幅広い業務に携われる
- 常に勉強する機会を得られる
介護サービスを利用する際、利用者が不安な気持ちを持っていることは当然です。大多数の利用者は「人の世話になりたくないが仕方がない」と思っているはずです。
また家族としては、「ここに父を預けて本当に大丈夫なのか…」と不安な気持ちがあるでしょう。
そうした利用者や家族の気持ちを汲むことから、生活相談員の仕事は始まります。
そのため、利用者や家族からは「はじめに相談をしてもらえた人」として感謝の言葉を頂けることが多いです。
困り事や不安を解消できた時に頂く心からの「ありがとう」の言葉は、忘れられないものとなるでしょう。
また、生活相談員は介護現場の仕事も任されることも多く、非常に幅広い業務を担います。
学びの機会も多く、そのやりがいは言うまでもありません。
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生活相談員の大変な点
- 幅広い業務で心身ともに大変
- クレーム対応
- 時間外勤務も多い
生活相談員は一人仕事のことが多く、他の職員から手伝ってもらうことが難しいケースも少なくありません。
予定していない突発的な業務対応も多いため、前もっての仕事の予定が組みにくいという点も挙げられます。
また、生活相談員は苦情窓口担当となることも多いです。
家族等から感謝の言葉をもらうことも多い反面、苦情対応もしなくてはいけません。
ただ謝罪して終わりというわけではなく、その状況確認をし、原因を調べ、今後繰り返さないように体制を整えていく役割も担います。
なかには理不尽なことを言ってくる利用者や家族の方もいるでしょう。
そうした際は上司に相談して、一人で抱え込まないようにチームで協働して対応する姿勢が大切です。
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生活相談員(ソーシャルワーカー)に向いている人はどんな人?

- コミュニケーション力の高い人
- 困っている人を放っておかない人
- 観察力があり、客観視できる人
- 日勤帯を希望する人
生活相談員にとって、コミュニケーション能力は非常に大切となります。
また、日々忙しい時間のさなかの連絡や調整になることが多いため、「躊躇せずにコミュニケーションを取れる人」が向いていると言えるでしょう。
「困っている人を放っておかない人」も生活相談員に向いています。
生活相談員に限らず、介護の仕事は福祉の精神をもって取り組むことで、うまく行くことが少なくないからです。
そして、「観察力があるか、客観視できるか」も生活相談員に求められます。
利用者側の意向と施設のサービス方針は、ときに交わらないこともあります。
その際に生活相談員はどちらかの意見に偏らず、客観視して判断することが大切だからです。
そのほか、生活相談員は基本的に日勤帯の勤務ですので夜勤はありません。
日勤帯での勤務を希望する人にも、生活相談員はおすすめです。
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4)生活相談員(ソーシャルワーカー)になるためには
生活相談員は資格名ではなく、職種の呼び名です。
生活相談員(ソーシャルワーカー)になるためには以下いずれかの資格・条件が必要になります。

- 社会福祉士
- 社会福祉主事任用資格
- 精神保健福祉士
- 同等の能力を有すると認められる者(介護福祉士、介護支援専門員等の有資格者)
国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士、大学や短期大学において厚生労働大臣が指定する科目の中から3科目以上履修して卒業した場合に取得できる社会福祉主事任用資格を所持していれば、実務未経験でも生活相談員として就くことが可能です。
「同等の能力を有すると認められる者」については、介護福祉士や、介護支援専門員の資格を所持していれば、生活相談員になれます。
(※地方自治体によって独自の取り決めを設けています。詳しくはお住まいの自治体にご確認ください)
もっとも、生活相談員として就職できるかはとうぜん応募先の事業所の採用判断によります。介護士としての実務経験を重視する事業所も少なくないでしょう。
また、ここまでお伝えした通り生活相談員の働き方は事業所によって変わります。
応募前に事前に確認しておくことが大切です。
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まとめ)資格や経験を活かしスキルアップ!目指せ生活相談員(ソーシャルワーカー)

生活相談員(ソーシャルワーカー)について、理解が深められ、スッキリすることが出来ましたでしょうか。
その業務は、契約から始まり、サービス担当者会議への出席、個別援助計画書の作成、利用者・家族やケアマネジャーとの連絡・調整・相談、その他の雑務と、様々な業務にマルチに携わります。
生活相談員になる為には、指定の資格や条件が必要になります。まずは資格取得と現場経験を積んで、スキルアップとして目指してみてはいかがでしょうか。