不況時に転職する際のポイント3点。不況でも転職成功しやすくする方法は?
[最終更新日]2020/09/28

この記事を書いている2020年6月現在、感染症対策として発令されていた緊急事態宣言や東京アラートは解除され、少しずつ日常が戻りつつあります。
自粛期間中は外出を控えていた人々も従来の経済活動を再開し、一連のコロナ騒動は落ち着いてきたかのように見えます。
しかし、コロナショックが経済に大きな爪痕を残したことは疑いの余地がありません。
1〜3月期の実質GDPは3.4%減となり、2020年度のGDP予測が5.5%減になるという予測(大和総研)もあります。コロナは間違いなく私たちの暮らしにダメージを与え、世の中を不況へと引きずり込んだのです。
目次
1)目指す業種・企業がどの程度不況の影響を受けているかを知る
コロナショックは経済全体に打撃を与えましたが、より詳しく見ていくと業種や企業によってコロナ不況の影響を強く受けたところもあれば、ほとんど影響を受けていないところもあることが分かります。
そもそも、業種によって不況に強い業種と不況に弱い業種があるのです。
これから転職を考えるのであれば、まずは自分が目指す業種や企業が不況に強いのかどうか、どの程度不況の影響を受けているのかを知ることから始めていきましょう。
不況に弱い業種・企業のタイプとは?

不況に弱い業種・企業の特徴として、「お金に余裕のある人が多いときに必要とされる製品」や「生活する上でどうしても必要不可欠ではないサービス」を提供していることが挙げられます。
自粛期間中の暮らしを振り返ってみたとき、次のようなサービスや製品を積極的に購入・利用したかどうかを振り返ってみるとイメージしやすいはずです。
- 飲食業界
- メディア業界(広告、出版、マスコミなど)
- 建設/不動産業界
- 小売業界(アパレル、化粧品など)
- 金融業界
- サービス業界(人材、教育、ブライダルなど)
余暇・娯楽に関わる業種
豪華な食事を楽しむための飲食店や、おしゃれをすることが目的のアパレル・化粧品といった業種は、世の中が不況になりお金を使いたがらない人が増えると業績が悪化する傾向があります。
消費者がお金を出すことで売上を確保してきたこれらの業界は、不況の煽りを受けやすい業種と言えます。
投資に関わる業種
銀行や証券といった金融業界は、投資にお金を積極的に回そうとする人が減ると業績が悪化します。
人材や教育に関わる分野は、企業や世帯の経済的余裕がなくなるとコストカットの対象になりやすい傾向があります。家計に余裕がない場合、子どもを塾や習いごとに通わせるだろうか?と考えると分かりやすいでしょう。
広い意味ではメディア業界も投資に深く関わる業種です。企業が積極的に資金を投じて広告を出さなくなると、広告業界やマスコミは一気に売上が低迷することもめずらしくありません。
高額商品に関わる業種
高額商品を扱う不動産業のような業種も不況に弱い傾向があります。土地や住宅の購入を検討していた人でも、不況で先行きが不透明になれば購入に対して慎重になるでしょう。
これに伴って商業施設などの必要性も下がっていくため、総合的に見ると建設業にも影響が及ぶ可能性は十分にあるのです。
不況に強い業種・企業のタイプは?

不況に弱い業種・企業がある一方で、不況に強いと言われる分野があるのもたしかです。
日々の暮らしを維持するために必要不可欠な製品・サービスを提供している業種や、景気の良し悪しに関わらず安定的に需要が見込める業種は、一般的に不況に強い傾向があります。
一例として、次に挙げるような業種は不況に強いと言われています。
- 通信
- 保険
- 医療/医薬品
- エネルギー(電気・ガスなど)
- 消費財(日用品)
- JR/私鉄
- IT(コスト削減につながるもの)
- 食品
- 介護
生活・社会インフラに関わる業種
通信や電気・ガス、交通網といった分野は人々の暮らしを支えるものですので、景気が悪くなったからと言って企業活動を急に停止するわけにいきません。
むしろ生活・社会インフラは災害などの緊急時にこそ必要とされるでしょう。
生活必需品に関する業種
食品やトイレットペーパーなど日々の暮らしで必ず利用することになる商品も、不況に左右されにくいと言えます。お金に余裕がある・ないに関わらず必要となる商品のため、需要が衰えることがないのです。
コスト削減に関する業種
不況下において、多くの企業はコストを少しでも削減しようとします。業務をより効率化したり通信費を抑制できたりするのであれば、システムの見直しを検討する企業も出てきます。
結果的に、こうした商材を扱う企業は儲かることになります。
生命や健康の維持に関する業種
医療や介護といった人々の健康維持に関わる業種も、不況によって需要が衰えるということはありません。
お金のある・ないに関わらず病気やケガになる人、介護が必要な人は一定数いるわけですので、需要は必ずあるのです。
また、生命保険や入院保険といった商品は、人が不安や恐怖を感じたときに検討されやすい傾向があります。
平穏な時には考えていなかった万が一への備えについて思いを巡らせる人が増え、保険商品が売れやすくなると言われています。
2)不況の影響を受けている企業への転職は厳しい。長期戦を覚悟して
転職先として検討している業界がもし不況の影響を受けやすい業種だった場合、多くの企業が当面は採用活動を抑制する可能性があります。
求人が少なくなり、新たに採用する人数も絞ることが考えられるため、不況の影響を今まさに受けている企業への転職は厳しいと覚悟しておく必要があります。
それでも「どうしても就きたい仕事がある」という人は、長期戦にもつれ込むことも念頭に置いて転職活動を進める必要があります。
中長期的な転職活動では、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。また、転職する時期はどう見極めるべきなのでしょうか。
中長期的に転職活動する際のポイントは
ある程度長い期間、転職活動を続けるのは精神的にも体力的にも大変なことです。
途中で息切れしないよう備える意味でも、自分にとって闘うための武器となるものを複数用意しておく必要があります。これは、思うように選考が進まない時期が続いても、次の一手を打つことができるようにするために重要なことです。
具体的には、次の3つの観点から準備を進めておくことを強くおすすめします。

- 自己分析・スキルの棚卸しを行う
- 希望条件を下げてみる
- 転職エージェントを活用する
自己分析・スキルの棚卸し

すでに職務経歴書を用意している人も、改めて自己分析とスキルの棚卸しを徹底しましょう。
とくにスキルの棚卸しは重要なプロセスです。たとえば「店舗責任者を2年間担当」という経歴からは、漠然とした印象しか伝わってきません。
店舗の業務にはどのような項目があるのか、日々着実に続けてきたことや最初はうまくいかず試行錯誤を繰り返したことは何か、身についた能力を細分化すると具体的には何ができると言えるのか、数値化できる実績にはどんなものがあるか——。
このように「店舗責任者」の一言に込められた経験や実績を洗い出し、応募書類や面接でアピールすべき優先順位を決めていくのです。
スキルの棚卸しをすると、自分にとってはごく当たり前に続けてきたことが、実は応募先企業にとって注目に値する希少な経験だった、といったことが出てくる場合があります。
自己分析とスキルの棚卸しは、転職活動をスタートする準備として最重要項目と言っても過言ではないのです。
希望条件を下げてみる

不況下では多くの企業が採用を差し控えています。好景気のときであれば「もし良さそうな人がいたら積極的に採用しよう」と考える企業も、不況のときは「よほど条件に合った人でないと採用しない」という姿勢で採用活動にのぞんでいるものです。
そのため、不況の時期の転職活動は「ある程度は条件面で妥協すること」も必要になります。
「年収〇百万円以上」「絶対に今の条件よりも下げたくない」といったハードルを設けてしまうと、せっかく他の条件では折り合いがつきそうでも、最終的に「希望年収を叶えられない」という理由で採用を見送られてしまうこともあり得ます。
もし年収や仕事内容で譲れない条件があったとしても、不況下の転職活動ではやや柔軟に、幅を持たせて選択肢を広げる意識を持ちましょう。
入社後に努力や能力が認められれば、条件面を改善してもらえる可能性もあるからです。
転職エージェントを活用する

不況下での転職活動では、セオリー通りに活動してもなかなか成果を得られないことが少なくありません。
そもそも採用数が少なく勝率が低いため、「運」や「タイミング」といった不確定な要素に大きく左右されやすいのです。
そこで、少しでも勝率を上げるために、転職エージェントを活用することをおすすめします。転職エージェントには一般的な求人サイトでは探せない非公開求人が多数あります。
非公開求人は転職エージェントを通じてのみ紹介可能な案件のため、一般的な求人に自分で応募した場合と比べて競争率が低く、採用に至る可能性も高いのが特徴です。
また、転職エージェントのアドバイザーが転職希望者の経歴や経験に合った案件を探してくれるので、自力で求人を探すのと比べて効率よく転職活動を進められる効果もあります。
不況の時期だからこそ、自力での求人探しと併せて転職エージェントを活用するのは必須と考えたほうがいいでしょう。
今転職すべきか、時期を置くかの判断ポイントは

不況と言われる今の時期に転職すべきか、もう少し様子を見たほうがいいのか——。
転職するタイミングについて迷っている人は、自分自身が「即戦力」としてどの程度評価されるか、また実際に活躍できそうなのか、といった点を考えてみるといいでしょう。
特定の分野で即戦力として十分に通用するスキルを持っている人や、複数のスキルの掛け合わせができる人は人材として希少性が高く、たとえ不況下であってもあまり影響を受けることなく転職できることがあります。
一方、「スキルは平均程度かそれ未満」「勤続年数が短く経験も浅い」といった人の場合、不況下での転職活動は困難になりやすいと考えたほうが無難です。景気が良い時期であれば、人材としての将来性を見越したポテンシャル採用に踏み切る企業もあるのですが、不況下では専ら「即戦力として活躍できるかどうか」が人材価値となるからです。
自分自身のスキルレベルや市場価値は、自分でどう感じているかを掘り下げるよりも第三者に客観的にアドバイスしてもらったほうが正確なことが少なくありません。
転職に適した時期を見誤らないためにも、転職エージェントによるフォローを受けることも検討しておきましょう。
3)不況時は特に、転職エージェントのフォローを
不況時の転職活動では、そもそも応募可能な求人が限られるため、「とにかく採用してくれる会社を見つける」ことが目的になりやすい特徴があります。
気持ちの面でも焦ってしまいやすいので、第三者のアドバイスが思わぬところで役に立ち、実際に採用へとつながることもめずらしくありません。
不況下での転職活動だからこそ、転職エージェントのフォローを受けながら着実に進めていくことが重要です。
とくに以下に挙げる転職エージェントは国内でも大手・有名どころとして知られています。
まずは転職エージェントに登録することで、転職活動の第一歩を踏み出しましょう。
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まとめ)不況下の転職活動はタイミングや転職先の見極めを慎重に!

不況下でも転職先を見つけることは可能なこともあります。
- 希望する業種が不況に強い
- 即戦力として活躍できる
- 希望に合った企業が偶然人材を募集している
こうした条件が重なれば、景気に左右されることなく早期に転職が決まることもあり得るのです。
ただし、幸運な条件が重ならなかった場合、思いのほか転職活動が長期化することも想定されます。転職する時期を見誤れば、希望条件から大幅に妥協しなくてはならないこともあるでしょう。
不況下の転職活動は、転職するタイミングや転職先の業種をよく見極め、慎重に動くことが重要です。場合によってはしばらく様子を見て、時期が来たら転職活動を開始(再開)する選択肢も残しておくようにしましょう。