介護士の「男性ならでは」の悩みとは?介護士を目指す男性が意識したいポイント・強み
[最終更新日]2023/04/28

あなたは今、「男性介護士としての働き方」について気になっていませんか?
これから介護士として新たな職場で働こうとしている男性の方では、
「介護の現場は女性職員が多いんでしょ?」
「男性も活躍できるの?」
といった声がよく聞こえてきます。
そこでこの記事では、男性介護士の現状、男性介護士ならではの悩み、男性介護士が活躍するシーン、これから男性介護士を目指す方の転職サポートについて、ご紹介していきます。
目次
1)介護業界における「男性介護士」の現状は──。
まずは、男性介護士の現状についてご説明していきます。
介護士として仕事をしていく上で、年齢構成(性別・職種別)や、男女別就業形態などは気になるところですよね。
チームとしてケアに当たる介護職は、職種毎に役割があるように、性別毎に求められる内容も若干違ってきます。下記の2つの表を見ていきましょう。
参考:「介護労働の現状」(出典:厚生労働省 平成30年度)

正規職員 | 非正規職員 | |||
---|---|---|---|---|
介護職員(施設等) | 男性 | 33.9% | 男性 | 12.7% |
女性 | 66.1% | 女性 | 87.3% | |
訪問介護員 | 男性 | 26.4% | 男性 | 5.0% |
女性 | 73.6% | 女性 | 95.0% |
まずは、年齢構成(性別・職種別)について。男性職員は30代以降の比率が高いことが分かります。
他業界から転職してくるケースが多いことが大きな要因の一つと言えます。
また、女性職員は子育てがやや落ち着き始める頃の40代からが多くなります。
一方、男女別就業形態については、介護職員(施設等)と訪問介護員のいずれも、女性の比率が高いことが分かります。
介護業界では、男性介護士に対する需要が高まってきているとはいえ、まだまだ介護の現場では女性の方が多いことが現状です。
高齢化が進む中、若い世代の人材が必要とされているものの、男女ともに年齢も20代の若手が人手不足であることが、表からも読み取れます。
2)男性介護士ならではの悩みとは
介護の職場は、「女性介護士が多いゆえの、男性介護士の悩み」もあるといいます。
介護の仕事は、基本的にチームでケアにあたるため、職員間のコミュニケーションがとても重要になります。また、利用者への介護をするにあたって性別が問題となることもあります。
下記の通り、男性介護士ならではの悩みについて3つ、順を追って見ていきましょう。

職場に女性が多いことでの、コミュニケーションの難しさ
介護の職場はチームで行なうため、職員間のコミュニケーションが非常に重要です。しかし、そのコミュニケーションに悩みを抱える男性介護士は多いようです。
女性職員が事業所の半数以上を占めることが多く、職場は良くも悪くも女性の特徴・傾向(「調和・協調性を重んじる」や「特定のグループを形成しての発言や行動が強まる」等)が色濃く出やすいです。
その際、(たとえ言い分があったとしても)場の雰囲気や関係性に波紋を起こすような言動を取った際や、ふとした行為に配慮が欠けてしまっていた時に、「他の職員との関係がギスギスしてしまう」「職場で浮いた存在になってしまう」といったことも起こりえるでしょう。
また、女性介護士は男性に比べ、「手が空いたら整理や掃除をする」、「使用したものを元に戻す」など、周囲への配慮や気遣いに長けている傾向があり、そういった点になかなか気づけない男性も注意していきたいところです。
男性介護士が介護の職場で働く際には、コミュニケーション能力に加え、細かな配慮も大切になるでしょう。
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女性利用者から介護を拒否されることもある
女性利用者の中には、男性介護士による介護を嫌がる方もいます。入職して利用者の顔も覚え、だいぶ打ち解けてきたところで、いざお風呂や排泄介助に入ろうとした時に、
女性利用者「男性はちょっと…。お風呂やトイレは、女性職員に対応してもらいたい」
と言われることも珍しくありません。
介護をしてもらうこと自体、負い目を感じる方が多い中で、お風呂やトイレの介助をしてもらうということはさらにハードルが上がります。
お風呂介助や排泄介助に入れないことで、他の女性職員に負担を掛けてしまうこともあるかもしれませんが、その点に目を向けるのではなく、出来ることを考えて行きましょう。
例えば、移乗介助の際に、小柄な女性職員がどんなに介助が上手だとしても、一人で大柄な男性利用者の対応をするのは、かなりのリスクを伴います。そのため、2人体制で行なうことも多いでしょう。
しかし、それなりに体力のある男性介護士であれば、安定した介助を1人対応で行なうことも可能です。
女性職員が多い職場だからこそ、男性の強みに目を向けて、考えて行くと良いでしょう。
他業界に比べると給与水準が低い
介護職は、残念ながら他の業界と比べると、給与水準が低い状況にあります。
独身であれば、給与が多少低くても仕事は続けられますが、結婚して子供ができたりすると、養育費などにお金がかかり、収入的に厳しくなり、その結果離職を考える方も出てきます。
そこで、キャリアアップについてしっかりと考えておくことが重要です。
介護職を行ないつつ、家族を養っていくために、何をどうすれば良いのかキャリアプランをしっかりと立てておくのです。
例えば、資格を取得したり積極的に仕事に取り組んだりすることで役職を任されれば、手当もそれなりに付くはずです。
また、介護職の給与水準は低いと言われていましたが、介護職員に対する補助金の支給制度などが講じられ、少しずつではありますが良い方向に向かいつつあります。
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3)一方で、男性介護士はこんなシーンで活躍できる
男性介護士は、男性ならではの悩みがあるのも事実ですが、その一方で、様々なシーンでの活躍も期待されています。
男性だからこそ、少数だからこそ、求められるものがあります。
男性と女性との違いを考えてみると、まず初めに思い浮かぶのは「体力面」ではないでしょうか。他にも男性だからこそ、という点がありそうですね。
男性介護士が活躍できる具体的なシーンを、下記の通り3つ挙げていきます。
順を追って見ていきましょう。

体力面で職場に貢献できることが多い
利用者をベッドから起こしたり、車椅子やトイレなどへ移乗する動作は、一日のうち繰り返し何度も出くわす場面です。
利用者の中には、小柄な女性もいれば、大柄な男性まで色々な体格の方がいます。
女性介護士が2人で対応するケースでも、男性であれば1人で対応できることもあります。つまり男性1人で女性2人分の活躍ができ、体力面で職場に大いに貢献できるということです。
移乗介助は、介護技術を駆使して出来るだけ力を使わないよう、自身の体にも利用者の体にも負担を掛けないように行ないますが、ある程度は体力が必要になります。
そして、常に時間や気持ちに余裕がある状況で行なうわけではありません。忙しい際には、どうしても腕や腰に負担を掛けて行ないがちです。
時間や気持ちに余裕を持つためには、一日の業務の中で早めに済ませられるものは早めに済ませ、ゆとりを持って業務に取り組むことが大切です。
男性利用者のお世話は同性の方がスムーズに進むことも
男性利用者の場合は、男性介護士の対応によって支援がスムーズに進むことが多くあります。
身の回りのことが声がけや見守りレベルで行なえるうちであれば良いですが、直接的な介助が必要になってくると、話は別です。
とくに排泄や入浴のシーンでは、抵抗を感じる利用者も多いようです。自分の孫や娘ほど離れた年齢の女性職員に介護をしてもらっていることに対し、「恥ずかしい」「申し訳ない」と感じる利用者も少なくないようです。よって、同性の方が気を使わないで済む、ということもあります。
また、女性は男性に比べ、細かなことに気付き、配慮を行なうことができます。
その反面、感情的な意見から物事を進めてしまったり、過剰介助をしてしまうことも少なくないようです。
良かれと思ってやったことが、思わぬ事故やクレームに繋がってしまうということもあります。その点では、男性の方が合理的に物事を捉え、行動する傾向にあります(もちろん個人差もあります)。
職場の雰囲気を変える「架け橋」のような役割になれる
介護の職場は、女性職員が多く、独特の雰囲気があります。
その中に男性が入ることで、職場の空気が良くなることが多々あります。
女性は、先にも述べた通り、細かな気付き・配慮が得であることが多いです。反面、感情的な意見から物事を進めてしまったり、グループの派閥を作ってしまうこともあります。
一方、男性は、女性のように細かなことに気付けない反面、比較的サバサバしていて、良いことも悪いことも後を引かない、といった方が多いです。
こうした傾向から、利用者のケアにあたり、会議などで話し合う場合は、女性だけでなく男性からの視点・意見があるとバランスが取れやすいです。
また、様々な角度からの意見を交換することにより、新たな発想や解決策が見つかるはずです。
介護の仕事は肉体労働。体力的に疲れて気持ちにも余裕が無くなれば、当然イライラもしてしまいます。
そのため、そこは体力で勝る男性介護士が気持ちに余裕を持って、介護の職場に加わることで、その場の雰囲気をガラリと変える「架け橋」のような役割になれるはずです。
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4)これから介護士を目指す方は、勤務先の「現場」を知る転職サービスのサポートを
未経験から、介護の仕事を目指す場合は、業界に詳しい介護向け転職サービスの活用がおすすめです。
転職活動は、求人探しから、応募、選考まで、一人で行なうには気力体力ともに消耗します。
しかし、転職サービスを上手に活用することで、一人では見つけることが難しい理想の職場に出会える確率が上がります。
特に他業界から転職を考えている場合、介護職のイメージがうまく掴めていないと、自身の中にある直感に頼って、仕事探しをしてしまう事が多いため、ミスマッチに繋がるリスクがあります。介護業界に強い専門のアドバイザーによるサポートを受けることが、ミスマッチを未然に防ぐことに繋がると言えるでしょう。
それでは、各転職サービスについて順を追って見ていきましょう。
レバウェル介護
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介護系転職サービスでトップクラスの求人数。担当エージェントのサポート品質においても高評価の高いサービスです。
レバウェル介護は介護・福祉に特化した転職サービスの中ではとくに求人数が多く、「なるべく多くの介護求人を比較検討したい」という人におすすめです。
求人紹介やサポートを介護・福祉業界に詳しいエージェントが担当してくれるため、様々な希望条件を適えながら適切な求人紹介をしてもらえるでしょう。
なお、レバウェル介護では派遣社員として登録をする方向けに介護未経験・無資格の転職者のサポートも行っています。
転職を機に介護の仕事デビューをしたい人も、レバウェル介護はおすすめです。
サービスを利用した人の評判・口コミからは、「担当エージェントのサポート」に対する高評価が多数見受けられます。
レバウェル介護の特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約5.4万件(2023年3月現在) |
レバウェル介護は正社員向け転職と派遣社員転職とで窓口が分かれています。派遣社員として働くことを予定している方はこちらよりご登録ください。
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かいご畑
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「介護職の仕事は未経験/経験が浅い…」という人におすすめのエージェントです。資格取得サポートなど、実務経験を積むための様々な支援を受けられます。
かいご畑は介護・福祉系の転職支援に特化した、転職エージェントです。
同サービスの大きな特徴は、「無資格/未経験からの転職支援に強い」、「働きながら資格取得できる仕組みがある」の2点。
サポートにあたっては転職者一人一人に専任のコーディネーターが就き、現在の経験と希望条件をヒアリングしたうえで、キャリアへのアドバイスと求人紹介を行ってくれます。
働きながら資格取得を目指せる「キャリアアップ応援制度」では、介護の中級・上級資格である「実務者研修」「介護福祉士」への対策講座を無料で学ぶことができます。
「まずは業務に慣れてから、徐々にキャリアアップを目指したい」という人に、かいご畑はとくにおすすめです。
かいご畑の特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 北海道、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、静岡、愛知、大阪、京都、神戸、広島、福岡 |
公開求人数 | 約1.0万件(2023年3月現在) |
「まずは業務に慣れてから、徐々にキャリアアップを目指したい」という人は、かいご畑の「キャリアアップ応援制度」を活用しましょう。
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書類添削や面接対策といったサポートにも力を入れており、志望動機や自己PRの作成にも役立つでしょう。
マイナビ介護職の特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約6.3万件(2023年3月現在) |
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ジョブメドレー介護の特徴
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公開求人数 | 約20万件(2023年3月現在) |
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男性介護士の悩みは強みに変えられる‼特徴・悩み・活躍シーンまとめ

男性介護士の現状としては、期待されながらも、割合としては少数で、女性の多い職場で勤務する事となります。
男性介護士ならではの悩みとしては、
- 職場の女性が多いことでの、コミュニケーションの難しさ
- 女性利用者から介護を拒否されることもある
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が挙げられます。
その一方で、男性介護士が活躍できるシーンとして、
- 体力面で職場に貢献できることが多い
- 男性利用者のお世話は同性の方がスムーズに進むことも
- 職場の雰囲気を変える「架け橋」のような役割になれる
があります。
これから介護士を目指す方は、自身の直感だけに頼らず、介護専門のアドバイザーに相談しながら、ミスマッチを未然に防げるように、効率的に転職活動が行っていきましょう。