未経験からSESエンジニアに転職するメリット・デメリット・注意点
[最終更新日]2020/11/18

IT企業を選ぶ際、選択肢にSES企業や、SESエンジニアが入る方も少なくないと思います。
「未経験者歓迎」「さまざまな経験を積める」などの文字に魅力を感じている方も、多いのではないでしょうか。
SESエンジニアには、他の職種と異なる特徴がいくつかあります。
目次
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1)そもそもSESエンジニアってどんな仕事?
SESは「System Engineering Service」の略です。ITエンジニアの主な形態の1つであるとともに、この業態を取る企業も多くなっています。
SESエンジニアの仕事は、自社サービスを提供する企業やシステム開発を直接請け負う企業と異なる面があります。
入社後に後悔しないためにも、SESエンジニアとはどのような仕事なのか、また収入はどれだけなのかを事前に知っておくことが重要です。
ここではまずSESエンジニアの仕事内容を説明した後、派遣エンジニアやSIerとの違いを解説します。また年収のイメージにも触れていきます。
SESエンジニアの仕事内容

SESエンジニアの仕事は、他社に常駐して行うことが特徴です。
SES企業はエンジニアを雇用し教育する代わりに、エンジニアを常駐させることで収入を得ることをビジネスモデルとしています。
ITの開発においては、開発を受託した企業のメンバーだけでは人数が足りず、他社の力を借りたい場合も多いもの。
また情報漏えいを防止するため、下請け会社など他社に情報を持ち出すことが禁止されている場合も少なくありません。
このような開発において、SESエンジニアは役に立ちます。
開発現場に常駐でき、自社メンバーと同じ場所で開発を行うため、作業がスムーズに進みコミュニケーションも密に取れることは主なメリットといえます。
またSES企業の多くは、月1回程度の「帰社日」が設けられています。会議への参加や担当するプロジェクトの状況を報告することはもちろん、経費精算なども重要な仕事の1つです。
ところでSESと似た形態に、派遣エンジニアがあります。両者には以下の違いがありますから、違いを理解しておきましょう。
SESエンジニア | 自社から指揮命令を受ける |
派遣エンジニア | 常駐先企業から指揮命令を受ける |
SESエンジニアとSIerの違い
SESエンジニアとSIerの違いは、以下のものがあげられます。
項目 | SESエンジニア | SIer |
---|---|---|
企業間の契約形態 | SIerとSES契約(準委任契約の一種)を結ぶケースが多い | 顧客と請負契約を結ぶ |
企業やエンジニアに求められること | エンジニアに求められる能力と注意力をもって業務を遂行すること(システムの完成は義務ではない) | システムの完成 |
担当する工程 | プログラムの実装やテストなど、下流工程が主体。スキルがある場合は、上流工程を任される場合も | スキルに応じて、どの工程も任されうる。大手では、上流工程を任される場合が多い |
プロジェクトに関わる期間 | 忙しい時期だけ常駐を求められるため、プロジェクトの最後を見届けられないケースも多い | 最初から最後まで関わるケースも多い |
担当する業種 | さまざまな業種を渡り歩く場合が多い | 所属部署により、ある程度決まる場合が多い |
上記のようにいくつかの違いがありますから、SESエンジニアを希望する場合は、あらかじめ違いを押さえておくようにしましょう。
SESエンジニアの年収イメージ
SESエンジニアの年収イメージは、以下のようになります。
年数 | 年収 |
---|---|
初年度 | 300万円 |
3年目 | 350万円 |
5年目 | 400万円 |
上限 | 450~600万円 |
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、30代前半のシステムエンジニアの年収は男性で546万円、女性で496万円となっています。
エンジニア経験が豊富な方であっても、多くの方はこの金額に届かないことは認識しておく必要があります。
この理由として、SESエンジニアは依頼するIT企業と比べて、エンジニア1人当たりの単価が下がりがちということがあげられます。
従ってSESエンジニアになった場合、高い給与はあまり期待できません。
2)SESエンジニアのメリット・デメリット
SESエンジニアとして働くことには、メリットとデメリットがあります。それぞれ4点ずつ取り上げ、解説していきます。
SESエンジニアのメリット
SESエンジニアで働くことには、以下のメリットがあります。

- さまざまなプロジェクトに関わることができる
- 頑張り次第でスキルを向上できる
- 顧客との契約によっては、時間給で安定した収入を得られる場合がある
- 残業時間が少ない場合もある
それぞれのメリットについて、確認していきましょう。
さまざまなプロジェクトに関わることができる
SESエンジニアは多くの企業に常駐し、さまざまなプロジェクトに関わることができます。
これは自社が扱う業務内容に限られる自社開発との大きな違いです。多くのシステムを開発した経験を積めることは、メリットといえるでしょう。
頑張り次第でスキルを向上できる
さまざまなプロジェクトを渡り歩くSESエンジニアは、プロジェクトごとに求められるスキルもさまざま。
大変ですが、裏を返せばスキルをどんどん向上できるチャンスともいえます。機会をうまく活用することで、成長できる仕事といえるでしょう。
顧客との契約によっては、時間給で安定した収入を得られる場合がある
顧客とSES契約や準委任契約を結んでいる場合、SESエンジニアは仕事を完成させる責任を持ちません。
代わりに、働いた時間に応じて支払われる金額が変わる場合もあります。このような契約をしている場合、SESエンジニアは働いた時間に応じ、安定した収入が得られることもあるでしょう。
残業時間が少ない場合もある
上記と同じ理由で、SESエンジニアは残業時間が少なくなる場合もあります。
より多く働かせると、そのぶん発注側の企業はより多くのお金を払う必要があるためです。ただし現場によっては逆の場合もありますから、想定される残業時間がどの程度か、入社前に確認しておくとよいでしょう。
SESエンジニアのデメリット
SESエンジニアには、デメリットもあります。主なデメリットには、以下の4点があげられます。

- 未経験の場合、雑務から始まることが多い
- 人の入れ替わりが激しく、人間関係を築きにくい
- 一貫したキャリアを築きにくい
- 多重下請けを行う悪徳企業も存在する
それぞれの項目について、確認していきましょう。
未経験の場合、雑務から始まる場合がある
システム開発において、重要な業務は経験豊富な方が任されがちなものです。
そのため未経験で入ったエンジニアは「経験を積むため」と称し、簡単な修正作業や単純作業を中心に任される場合があります。プログラミングをバリバリ組みたい方には、物足りない環境に置かれるかもしれません。
人の入れ替わりが激しく、人間関係を築きにくい
SESエンジニアが関わる開発現場では、頻繁に人が入れ替わるケースも少なくありません。短期間だけの付き合いとなるため、人間関係を築きにくいことはデメリットにあげられます。
一貫したキャリアを築きにくい
SESエンジニアの仕事は、案件に依存します。さまざまな案件を経験することでスキルはつくものの、案件を経験するごとにステップアップできるとは限りません。
実際には案件の受注が優先されることも多いため、一貫したキャリアを築きにくいことはデメリットにあげられます。
多重下請けを行う悪徳企業も存在する
SES企業のなかには、多重下請けを行う企業も存在します。
これらの企業に入社すると、仕事の割に給料が高くない、なかなか重要な仕事を任されないといったデメリットをこうむるおそれがありますから、注意が必要です。
3)SESエンジニアへの転職を成功するために、意識したいポイント4つ
SESエンジニアへの転職を成功させるためには、以下のポイントを意識しておくと良いでしょう。

- どの分野の知識・スキルを伸ばしていきたいか、キャリアプランを明確に
- 自主学習はマスト。常に学び続ける意識・行動を
- 職場選びは慎重に。面接から読み取れることもある
- IT・Web業界に特化した転職エージェントを活用しよう
いずれもあなたがエンジニアとして活躍するために、重要な項目です。
それぞれのポイントについて、確認していきましょう。
どの分野の知識・スキルを伸ばしていきたいか、キャリアプランを明確に

SES企業で働く場合、担当業務はそのときにある仕事がなにかという点に左右されがちです。
たとえば「アジャイル開発の設計をしたい」という希望を持っていても、仕事がなければ他の業務を割り当てられることになります。
会社の言われるままに働いた結果、「なんでもできるけど、とがったところがない」エンジニアになる可能性は否定できません。
これを防ぐには、会社とともに将来のキャリアを考えることも重要です。
あわせてどのようなエンジニアになりたいか、またどの分野の知識やスキルを伸ばしていきたいか、キャリアプランを明確にしておく必要があります。
SES企業の主なキャリアプランは、テスターからコーディング、設計、PMといった流れが一般的です。
このため、実現できるキャリアプランは限定されがちです。たとえば技術のスペシャリストを目指す場合は、他の企業への転職が必要なケースも少なくありません。
自主学習はマスト。常に学び続ける意識・行動を

SESエンジニアやSES企業は、「他社に技術を売って稼ぐ」側面があります。市場で求められる高い技術を持つ方には、高いお金が支払われやすくなります。
ご自身の収入が増えることはもちろん、企業の収益にもプラスとなりますから、会社でも重宝されるでしょう。このため、エンジニア自身のレベルアップが求められます。
SES企業のなかには、自主的に勉強会を開いている場合も多いです。これらに参加することは重要ですが、参加するだけでは周りを追い越すことはできません。このため自らプログラムを組んで学ぶなど、自主学習は必須です。
幸いにもITエンジニアは、独力で開発環境を作成できる業務です。常に技術を学び続ける意識と行動を持ち、できることを増やして市場価値を上げていきましょう。
職場選びは慎重に。面接から読み取れることもある

SES企業のなかには従業員のレベルアップに積極的な企業もある一方で、従業員を使い捨てにする企業もあります。入社後の幸福度は企業により大きく変わりますから、職場選びは慎重に行うことをおすすめします。
どのような職場かは、面接である程度読み取ることが可能です。以下にあてはまる場合は、よい企業である可能性があります。
- 従業員のキャリアアップを意識したアサインが行われている
- 中途入社や、40代以降のエンジニアが多い
- 技術力に限らず、ITエンジニアとして必要な教育メニューが用意されている
一方で売上を上げることに精一杯の会社は、とりあえず従業員をどこかのプロジェクトに配属させないと会社の売上が上がりません。
企業のセールスポイントも同業他社との取引実績や帰社日のホスピタリティなど、能力向上と関係ない内容になりがちです。入社後のキャリアプランや新技術の動向に関心が薄い会社は、入社を避けることが賢明です。
IT・Web業界に特化した転職エージェントを活用しよう

ここまで解説したとおり、SESエンジニアは他のITエンジニアにみられない特徴があります。特に一般の求職者にとって、常駐先の状況を知ることはなかなか難しいもの。
この点、業界に明るい転職エージェントならば、Webに出てこない応募先企業の内部事情もよく知っているもの。
実態を知り納得する転職を実現するには、IT業界やWeb業界に特化した転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントは、もちろん応募書類の添削や企業に合った面接対策など、内定に向けたバックアップを行ってもらえることも安心できるポイントにあげられます。
転職エージェントはどこも同じではありませんから、選び方が重要です。次の章では、おすすめの転職エージェントを紹介していきます。
4)SESエンジニアへ転職する際におすすめの転職エージェント
SESエンジニアへの転職を成功させるには、SES企業の事情をよく知り、実績の多い転職エージェントの利用が望ましいです。
また、ITエンジニア向けの転職エージェントは、実務経験のある人向けのものと実務経験なしの人にも対応したものとがありますので、それぞれ対応するサービスについても把握しておくと良いでしょう。
ここでは未経験からSESエンジニアを目指す際の、転職エージェントの選び方・活用法を紹介します。あなたに合った転職エージェントを見つけられるよう、ぜひご参考ください。


SESエンジニアでの転職で、転職エージェントを活用するポイントは以下の3点です。
- Point1 各ITエンジニア向け転職エージェントの、それぞれの特徴を知っておく
- Point2 はじめに2~3つ「複数」の転職エージェントに登録しておく
- Point3 何度かのやりとりで「相性」と「やりやすさ」を確認する
特にポイント3つ目の「相性とやりやすさ」は重要です。転職エージェントの担当者とは、転職期間中はずっと付き合いを続けていきますので、「自分に合った担当アドバイザー」を早めに見出していくことが、転職成功のひとつの要となるでしょう。

SESエンジニアの転職で、おすすめの転職エージェント一覧
ITエンジニア業務経験1年以上の人向け
転職エージェント | 特徴 |
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![]() レバテックキャリア |
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![]() マイナビITエージェント |
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![]() GeekOut(ギークアウト) |
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![]() doda IT エンジニア |
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![]() Geekly(ギークリー) |
|
ITエンジニア実務未経験・業務経験1年未満の人向け
転職エージェント | 特徴 |
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![]() リクルートエージェント |
|
![]() doda |
|
![]() ワークポート |
|
![]() type転職エージェント |
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まとめ)自分をしっかり持ち、将来の希望とマッチする企業選びをしよう

SES企業は、どれだけ高い値段でエンジニアを常駐できるかが経営に大きな影響を与えます。
もちろん会社の求めに応じ、プロジェクトで力を尽くすことはよいことです。しかし自分自身のキャリアに無関心だと「いろいろ経験しているけれど、強みがない」と評価されかねません。
これではあなたの努力も報われなくなってしまいます。
このためSESエンジニアに転職する場合は、ご自身の目標をしっかり持つことが重要です。
その上で、希望にマッチする企業を選びましょう。応募先企業の内部事情はなかなか外に出ないことも多いですから、転職エージェントを活用することで納得いく転職につなげやすくなります。
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