組み込み系エンジニアに転職したい!未経験で転職するポイント・注意点まとめ
[最終更新日]2022/03/05

組み込み系エンジニアへの転職を検討している方は多いのではないでしょうか。
組み込み系システムは、IoT(モノのインターネット)で話題となっています。モノづくりに関わりたくて組み込み系エンジニアを目指す方も、いることでしょう。
組み込み系エンジニアは、他のIT系職種と異なる点があることに注意が必要です。
ITエンジニア経験がない方はもちろん、他の職種で経験を積んだ方も職種の特徴を十分に把握し、準備を進めることが成功への道です。
目次
1)そもそも組み込み系エンジニアとは?

組み込み系エンジニアは、家電や自動車、産業機械やロボットなどで動作するシステムを開発するエンジニアです。
たとえばご自宅にある炊飯器や電子レンジも、組み込み系エンジニアが開発したシステムが使われていますから、日々の暮らしを支えるエンジニアといえるでしょう。
これは他のITエンジニアがパソコンなど、汎用のIT機器で動くシステムに特化している点と対照的です。
最近話題のIoTも、組み込み系エンジニアが開発しています。このためシステム開発を通じてさまざまな業界に貢献できるだけでなく、時代をリードする技術を学び取れることも魅力の1つです。
一方で組み込みシステムは小型化される場合が多く、システム開発にあたりさまざまな制約があります。
このため開発する際には、知恵を絞ることが求められます。
組み込み系エンジニアの業務内容

組み込み系システムの開発ステップは、仕様の検討から設計、開発、テストの順に進むことが一般的です。このことは、他のシステム開発と大きな違いはありません。
一方で組み込み系システムは、ハードウェアに特化することも特徴の1つです。たとえばエアコンなら、エアコン専用のシステムが開発されます。このため他の職種にはあまりみられない、以下の業務も行う場合があります。
- 電子基板の設計など、ハードウェアに関する開発
- 実際の家電や機器、機械を使ってテストを行う
- IoTを搭載した機器では、センサーに関する技術を使った開発
なお開発作業は機能別のチームに分かれ、少人数で進められることも特徴の1つです。
組み込み系エンジニアの年収

転職情報サイト「doda」では、組み込み系エンジニアの年収イメージが公開されています。その内容は、以下の通りです。
- 平均年収は509.6万円
- 全体の78%の方は、300万円~700万円の年収額
- ボーナスは2018年の冬で84万円、2019年の夏は68.1万円
出典:パーソルキャリア「あの職種とはどんな仕事?doda職種図鑑 組み込みソフトウェア開発」
dodaでは、ITエンジニア全体の年収も公表しています。2019年の平均は457万円ですから、組み込み系エンジニアの年収は平均より50万円多くなっています。
つまり、組み込みエンジニアはITエンジニアの中でも高い年収が期待できる職種といえるでしょう。
年収を上げるには他の職種と同様、要件定義や設計など上流工程に携わる力をつけることが有効です。
加えて組み込み系エンジニアでは、アセンブラよりもC言語で開発できる方の年収が高い傾向にあります。
C言語は難しい言語ですがさまざまな応用もききますから、習得しておくとさまざまな点でプラスになります。
あわせて読みたい
-
- C/C++エンジニアになりたい!未経験から転職成功するためのポイント4点
- C言語やC++は、習得の難易度が高いことでも知られています。安易な気持ちで学習に取り組むと挫折しかねませんから、準備をしてから学ぶことが必要です。本記事では未経験からC言語やC++エンジニアに転職をお考えの方に対して、仕事内容や必要なスキル、転職を成功させるポイントを解説していきます。...
組み込み系エンジニアの将来性

組み込み系エンジニアの将来性は、他のIT系職種に比べても高いといえます。それは、以下の理由があるためです。
- 一人前のエンジニアになるまでのハードルが高い
- 主に使う言語がアセンブラやC言語であるため、他の職種から流入しにくい
- 人手不足である一方、他のIT系職種と比べて人気がない
- IoTへの対応など、多くの仕事が想定されている
一人前になるまでは大変ですが、できるエンジニアに成長すれば安定して続けられる職種といえるでしょう。もっとも求められる機能や技術は変化しますから、時代の要請にこたえる姿勢とスキルアップは必要です。
またキャリアパスについては他の職種と同様、コーディングやテスト担当から上流工程に進み、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへ進むことが多いです。
2)組み込み系エンジニアで働く際に求められる知識・スキル
組み込み系エンジニアで求められるスキルには、以下の4つがあげられます。

- 限られた性能の機器やOSに、必要な機能を実装するスキル
- 品質にこだわり、安全を第一に考える姿勢
- セキュリティに関する知識も重要
- コミュニケーション能力も重要。まずはチームメンバーとの円滑なコミュニケーションを
組み込み系エンジニアならではのスキルもありますから、しっかり押さえておきましょう。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
限られた性能の機器やOSに、必要な機能を実装するスキル

組み込み系エンジニアが関わる機器は、製品や機械に組み込まれて提供されます。
もし仕組みが複雑になると、コストアップにつながります。このため必要な機能は実装しつつ、できるだけ簡素な環境で動かす工夫が求められます。
開発で想定されるハードウェアやOSのスペックは、余裕がない場合も多いでしょう。
冗長な記述ができないこともあり、「もう少しスペックが高ければ、実装しやすいのに」と思うケースも、多いかもしれません。
しかしそれこそが、組み込み系エンジニアの能力を決める重要なポイントです。
熟練したエンジニアなら、必要な機能をコンパクトに実装できるスキルを備えています。組み込み系エンジニアとして働くなら、シンプルな実装を意識することが欠かせません。
品質にこだわり、安全を第一に考える姿勢

組み込み系システムの特徴として、製品化後の修正が難しい点は見逃せないポイントです。
万が一不具合が発生した場合は、すべての製品を回収する、機械を使った業務の停止を余儀なくされるといった、甚大な影響を与えるおそれもあります。
また組み込み系システムはさまざまな機器・機械に内蔵されるため、不具合があると設備や建物の破損、人身事故や火災など、重大な事故を引き起こすおそれもあります。
このような事態は、ぜひとも防がなくてはなりません。万が一誤動作したり危険な事象が発生したりした場合は、機器の停止など安全な方法を自動で選ぶ「フェイルセーフ(フェールセーフ)」 の仕組みも必要です。
このため設計や開発の時点から、「絶対にミスをしない」「製品に起因する危険な事象を起こさない」というこだわりが必須です。その上で、テストを入念に行うことが信頼につながります。
セキュリティに関する知識も重要

組み込み系システムはセキュリティのリスクと無縁と思われがちですが、そうではありません。IoTの進展に伴い、家電や機械もインターネットに接続するものが多くなっています。
このため悪意のある方がインターネットを経由してシステムを利用不能にする、ウイルス感染の踏み台にするなどの行為を行うリスクがあります。
実際に国内外で、以下のような事例が起きています。
- HDDレコーダーに不正侵入され、ブログにスパムコメントが大量に投稿される
- 複合機に蓄積された個人情報を含むデータが、外部から参照可能な状態になっていた
- 工場の生産設備を破壊する
- ATMにウイルスを感染させ、不正に現金を引き出させる
参考:
ユビテック「-組込みセキュリティ事例紹介-自動車、医療、住宅・・・迫る脅威と守るポイント」
日本ネットワークインフォメーションセンター「IoTのセキュリティ~ハッカーによる攻撃の現状と対策ポイント~」
このため組み込み系エンジニアも他の職種と同様に、セキュリティを踏まえた設計と実装が求められます。
コミュニケーション能力も重要。まずはチームメンバーとの円滑なコミュニケーションを

組み込み系エンジニアは、少人数のチームに分かれて開発を行う場合が多いです。求められる品質をクリアし、ミスなく仕上げるためには、チームメンバーとの密接なコミュニケーションが欠かせません。
快適に働ける環境づくりのため、丁寧なコミュニケーションは必要です。スムーズに開発を進めるためにも、相手が話す内容を正しく理解するとともに、不明な点があれば遠慮なく質問しましょう。
その上で自らの報告も正しく行うとともに、主張すべきはきちんと主張することが重要です。
なおキャリアを積むと、顧客担当者との対応スキルも求められる場合があります。
しかしこれから組み込み系エンジニアになる方は、まずチームメンバーとのコミュニケーションを円滑に行うことに優先して取り組むとよいでしょう。
3)組み込み系エンジニアの転職を成功するために、準備したいポイント
未経験から組み込み系エンジニアに転職を目指すならば、以下にあげるポイントを押さえて準備することをおすすめします。

- 組み込み系でよく使われる開発言語やOS、ネットワークの知識が必要
- ハードウェアの知識も習得することをおすすめ
- 英語力もあるとよい
- 業界に強い転職エージェントを利用しよう
こちらも、組み込み系ならではの内容が多く含まれています。それぞれの理由について、順に解説していきましょう。
組み込み系でよく使われる開発言語やOS、ネットワークの知識が必要

多くのシステム開発と異なり、組み込み系システムでは以下の技術が使われます。
- C言語やC++
- アセンブラ
- TRON
- 有線・無線ネットワーク
上記のスキルを身につけていない方は、転職までに学ぶ必要があります。
組み込み系エンジニアは即戦力と正確性が求められますから、ミスなく正確に、かつ迅速に動くシステムを作成できるよう、プログラミングスキルを高めておきましょう。また組み込み系システムで使われる言語の習得は決して簡単ではないため、スクールなどを活用することも1つの方法です。
加えて組み込み系システムではリアルタイム性に特化したOS(RTOS)として、TRONがよく使われます。事前に学び、知識を得ておくとよいでしょう。
ハードウェアの知識も習得することをおすすめ

組み込み系システムはICなど、特定のハードウェアと組み合わせて使われます。
いわばハードウェアに特化したシステムですから、ハードウェアの持ち味を生かすプログラミングが求められます。プロジェクトによっては、ハードウェアの開発に携わる場合もあります。
このため組み込み系エンジニアを目指すなら、ハードウェアの知識を習得しておくこともおすすめです。一例として、半導体チップやセンサー回路などがあげられます。書籍やWebを使って、学習しておきましょう。
英語力もあるとよい

組み込み系エンジニアになるためには、英語力をつけておくこともおすすめです。その理由は、以下の2つにまとめられます。
- 必要な情報が日本語で提供されておらず、英語の文章を読む必要に迫られる場合がある
- オフショア開発により、海外のエンジニアとコミュニケーションを取る可能性がある
せっかくC言語やアセンブラの高いスキルがあっても、英語がわからないためにシステムを組めないといった事態は避けたいもの。最低でも、マニュアルを読める程度の英語力を身につけてから転職することをおすすめします。可能であればTOEICで700点以上のスコアを取るとよいでしょう。
業界に強い転職エージェントを利用しよう
ここまで解説したとおり、組み込み系エンジニアは他のITエンジニアと異なる特徴を多く持っていることが特徴です。このため組み込み系システムへの転職には、業界に強い転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントは企業ごとの特徴を押さえているため、あなたが入社後に活躍できるか事前に判断できます。
加えて非公開求人も多く持っているため、独力で探すよりも選択の幅が広がります。もちろんキャリアアドバイザーは、組み込み系システムならではの特徴も押さえていますから安心です。
また転職エージェントを活用することで、書類作成や面接のアドバイスを受けられることも、内定に近づく上では欠かせないメリットです。
4)組み込み系エンジニアの転職におすすめの転職エージェント
未経験から組み込み系エンジニアを目指す方にとって、転職エージェントの選択は極めて重要です。できれば未経験者にも手厚いサポートがあり、豊富な選択肢から選べる転職エージェントに依頼したいことでしょう。
ここでは組み込み系エンジニアを目指す際の、転職エージェントの選び方・活用法を紹介します。あなたに合った転職エージェントを見つけられるよう、ぜひご参考ください。
.jpg)
.jpg)
組み込み系を含むITエンジニアでの転職で、転職エージェントを活用するポイントは以下の3点です。
- Point1 各ITエンジニア向け転職エージェントの、それぞれの特徴を知っておく
- Point2 はじめに2~3つ「複数」の転職エージェントに登録しておく
- Point3 何度かのやりとりで「相性」と「やりやすさ」を確認する
特にポイント3つ目の「相性とやりやすさ」は重要です。転職エージェントの担当者とは、転職期間中はずっと付き合いを続けていきますので、「自分に合った担当アドバイザー」を早めに見出していくことが、転職成功のひとつの要となるでしょう。
.jpg)
組み込み系エンジニアの転職で、おすすめの転職エージェント一覧
ITエンジニア業務経験1年以上の人向け
転職エージェント | 特徴 |
---|---|
![]() レバテックキャリア |
|
![]() マイナビITエージェント |
|
![]() doda IT エンジニア |
|
![]() Geekly(ギークリー) |
|
![]() DYM IT転職(経験者向け) |
|
ITエンジニア実務未経験・業務経験1年未満の人向け
転職エージェント | 特徴 |
---|---|
![]() リクルートエージェント |
|
![]() doda |
|
![]() ワークポート |
|
![]() type転職エージェント |
|
![]() DYM IT転職(未経験者向け) |
|
あわせて読みたい
-
- IT・Webエンジニアからの評判が高いおすすめの転職エージェント13選!
- ITエンジニア・Webエンジニアの転職は、「自分に合う転職エージェント」選びとサービスの効率的な活用が大切です。この記事では、IT・Webエンジニアの転職に、タイプ別のおすすめ転職エージェントと、その有効活用法を解説していきます。 ...
まとめ)将来性のある職種だが、難易度は高め。事前の準備を万全に

組み込み系エンジニアは、さまざまな機器や機械の開発で役立てます。
このため将来性ややりがいがある一方でエンジニアに要求される技術のレベルは高く、簡単に参入できる職種ではありません。そもそもC言語は、難しい言語の1つであることにも留意が必要です。
加えて採用においても即戦力や正確性が求められる傾向にありますから、プログラミング言語の習得など事前の準備を万全に行った上で転職活動を進めるとよいでしょう。
転職活動をスムーズに進めるためには、転職エージェントの活用がおすすめです。あなたに合った企業を紹介してもらえますから、入社後のアンマッチを防ぎ、活躍できる可能性を高めます。積極的に活用し、希望どおりの未来を実現しましょう。
あわせて読みたい
-
- 【2022年】今学ぶべきおすすめプログラミング言語!これから需要が高まる言語は?
- プログラマーの価値は、どの言語を選んで学んだかにより異なります。そのためニーズの高い言語を選ぶことが重要です。この記事ではITエンジニアの「これから学ぶべきおすすめプログラミング言語」について、市場動向やニーズの高まりを参照しつつのおすすめ言語を紹介します。...