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社外取締役・社外役員のメリット・デメリットは?求められるスキルとなる方法

[最終更新日]2023/03/09

社外取締役・社外役員のメリット・デメリットは?求められるスキルとなる方法

1部上場企業の4割超が未達——。

これが何の数字か分かりますか?

2021年6月、企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が見直され、「上場する企業は社外取締役を取締役の3分の1以上とする」という規定が新たに盛り込まれます。

社外取締役を2人以上選任することが義務づけられていた従来と比べて、基準がより厳しくなります。この基準を現行の1部上場企業に適用すると、4割超が未達となっているのです。

目次

社外取締役は、多くのビジネスパーソンにとってあまり馴染みのないポジションではないでしょうか。

なぜなら、従来は親会社の元重役や弁護士・公認会計士を社外取締役に招致するケースや、VC(ベンチャーキャピタル)から出向するケースが多くみられ、社内で昇進して就任する常勤取締役とは根本的に性質が異なっていたからです。

しかし、企業統治指針の改訂に伴い、今後はより多くの社外取締役を必要とする企業が増えていくことが予想されます。
ミドル・シニア層のセカンドキャリアや起業家のパラレルキャリアといったように、多様な人材が社外取締役として活躍する時代が到来する可能性も十分にあるでしょう。

そこで、社外取締役とはどのような仕事をするのか、就任するための条件や求められるスキル・能力について整理しておきましょう。

社外取締役の主な仕事内容

社外取締役の主な仕事内容 第三者の視座から企業統治を行い、サポートする役割を担う ■取締役会への参加 ■常勤取締役の監視 ■経営助言 ■株主と経営陣の橋渡し

企業の取締役は経営の意思決定や監督、業務執行を担う経営陣のことを指します。

多くの場合、社内の取締役はそれぞれ管掌部門を持ち、部門を統括します。一方、社外取締役は管掌部門を持たず、経営全体の状況を監督するチェック機能としての役割を担います。

社外取締役は企業経営に参画しますが、同時に外部の人材として客観的な視点から企業統治を行い、経営の透明性を高めることに寄与しています。

社外取締役の主な仕事内容として、次の職務が挙げられます。

  • 取締役会への参加
  • 常勤取締役の監視
  • 経営助言
  • 株主と経営陣の橋渡し

このように、社外取締役は第三者の視座に立ち、企業の経営状況をチェックすると同時に、経営陣の一員として企業がより良い方向へと進むようサポートする役割を担っています。

社外取締役になれる条件

社外取締役になれる条件 ■過去10年以内にその企業の業務執行に携わっていない ■グループ企業の業務執行に携わっていない ■取締役、執行役員などの親族や配偶者ではない

社外取締役を迎える意義は、客観的な視点から企業の不正や粉飾を未然に防ぐことにあります。
そのため、就任する企業やその経営者と利害関係にある人物が社外取締役になることはできません。

具体的には、次の要件を満たしている必要があります。

  • 過去10年以内にその企業の業務執行に携わっていない
  • グループ企業の業務執行に携わっていない
  • 取締役、執行役員などの親族や配偶者ではない

つまり、「経営者の身内や元役員は、社外取締役に就任することができない」と考えていいでしょう。
たとえば、「退任した元社長が社外取締役に就任する」「社長の配偶者を社外取締役として迎える」といったことは認められません。

社外取締役が内定したら株主総会に選任決議を諮り、役員変更の登記申請を行う必要があります。
このように、社外取締役は条件を満たした人から選任し、しかるべき手続きを経て就任することになっています。

社外取締役に求められるスキルや能力

社外取締役に求められるスキル 企業の状況を的確に判断し、率直に意見を述べられる人 ■経営に関する豊富な経験 ■専門分野の知見 ■海外での事業経験 ■マーケティングの実績

社外取締役は常勤取締役とは異なり、企業に常駐しているわけではありません。

場合によっては3〜4社の社外取締役を兼務することもあるため、俯瞰的な視点で経営に関するアドバイスができたり、有益な情報提供ができたりする人材が適しています。

具体的には、次のような能力・経験・実績が社外取締役に求められることが多いです。

  • 経営に関する豊富な経験(元経営者など)
  • 専門分野の知見(弁護士・公認会計士など)
  • 海外での事業経験
  • マーケティングの実績

また、社外取締役は社長や経営陣に対してときに厳しく意見を述べなくてはならない場面も出てきます。

企業の将来や株主の利益を守るために必要な役割のため、企業の置かれた状況を的確に判断し、しかるべきタイミングで臆することなく意見を述べられる人が社外取締役に適しています。

社外取締役としてのキャリアを視野に入れるのであれば、具体的な働き方のイメージを養っておくことは不可欠です。
とはいえ、従業員とも常勤取締役とも異なる社外取締役は、求められる役割も得られる報酬も他のポジションにはみられない特有の面があるのも事実です。

今すぐイメージしようとしても、なかなか難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。

そこで、「もし自分が社外取締役になったら?」と想像力を働かせつつ、どのような働き方をすることになるのか探っていきましょう。

社外取締役の働き方は、様々

社外取締役には一般的な働き方というものがなく、多種多様な働き方を選べる。

社外取締役は企業に毎日出社するわけではなく、管掌部門を担っているわけでもありません。では、実際のところどのような働き方をしているケースが多いのでしょうか。

実は、社外取締役の働き方は多種多様であり、「一般的な働き方」というものがほぼ存在しません。
掛け持ちで数社に就任するケースもあれば、実績作りのために無償で経営をサポートするケースもみられます。

あるいは、知人の経営者から依頼されて会社運営の手伝いをする位置づけであったり、アドバイスに徹する意見役であったりします。

幅広い働き方が存在するということは、別の見方をすれば「多種多様な働き方を選べる」ということでもあるのです。

ただし、取締役会や四半期決算といったように必ず参加すべきシーンもあるため、とくに掛け持ちで社外取締役を務める場合はスケジュールを調整し、バッティングしないように配慮する必要があります。

社外取締役の報酬イメージ

報酬は、年額で663万円が平均。担う役割や責任の重さ、貢献度などに応じて報酬は大きく上下する。

社外取締役には任期があり、多くの企業が1年から2年程度の任期を設定しています。
任期が満了すると更新の有無を決定し、株主総会に諮る必要があります。

十分な貢献をしているとは言いがたい場合や社外取締役として不適格と見なされた場合は、任期満了に伴う退任もあり得ます。

報酬に関しては、年額で663万円が平均とされています。
ただし、担う役割や責任の重さ、貢献度などに応じて報酬は大きく上下します。

年額100万円台のこともあれば、1,000万円を超える報酬で契約することもあります。あるいは、前述のように無償で働くケースも決してめずらしくありません。

1社あたりの報酬は決して高くなくても、複数社の社外取締役を兼任することで十分な報酬を得られることも想定できます。

このように、社外取締役の報酬は従業員や常勤取締役と比べて非常に幅広いのが実情です。

続いては、社外取締役のキャリアを進む際のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

社外取締役のメリット

社外取締役のメリット ■経営・組織運営の経験を積める ■エグジットで、キャピタルゲインを得られることも
  • 経営・組織運営の経験を積める(実績作りにもなる)
  • エグジット(IPO(株式公開)またはM&Aによる売却等)で、キャピタルゲインを得られることもある

社外取締役になる大きなメリットの1つに、取締役として企業経営に参画し、組織運営の経験を積むことができる点が挙げられます。
取締役会だからこそ話し合われる経営課題に接し、企業経営の中核で活躍することができます。

社外取締役として優れた成果をあげたことが実績となり、他の企業からさらにオファーが届くこともあり得るでしょう。

また、就任している企業の株式を取得していれば、IPOやM&Aによってエグジットする際にキャピタルゲインを得られる可能性があります。
今後は自社株報酬や業績連動報酬を付与する企業も増えていくことも予想されることから、貢献度しだいでは大きな報酬を得られることもあるでしょう。

こうした点は、従業員ではなかなか得られない社外取締役ならではのメリットといえます。

社外取締役のデメリット・注意点

社外取締役のデメリット ■高いパフォーマンスを求められる ■責任を負うことになる
  • 高いパフォーマンス(結果)を求められる
  • 責任を負うことになる

社外取締役は経営の一翼を担っており、重要な経営判断に関する助言を行うこともめずらしくありません。

取締役会など限られた場で有益なアドバイスをし、企業経営を適切な方向へと導く手腕が求められます。

社外取締役に就任しても結果を出せなければ、退任を突きつけられる可能性も十分にあります。難しい立ち位置で高い結果を求められることから、相応のプレッシャーがかかるポジションといえます。

さらに、企業統治を担う職務ですから、経営に関する責任を負うことになります。

従業員であれば会社が抱えるトラブルの責任を個人的に負うことはほとんどありませんが、取締役の場合は個人として損害賠償責任を負うこともあり得ます。社外取締役だからといって常勤取締役よりも責任が軽いわけではなく、経営に対する重責を担っていることは十分に理解しておく必要があるでしょう。

「社外取締役をやってみたい」と思ったとき、どのような手段で社外取締役になれるのでしょうか。
ここでは、主な3つの方法について紹介します。

  • 社外取締役のマッチングサービスを利用する
  • 転職エージェント・ヘッドハンターからの推薦をうける
  • 紹介やスカウトを受けやすい環境を作る

社外取締役のマッチングサービスを利用する

POINT1 社外取締役のマッチングサービスを利用する

社外取締役として適任と思われる人材を招致するのは、多くの企業にとって容易なことではありません。
とくに社外取締役として豊富な実績のある人材はすでに複数社を兼任しているケースが多く、企業間で人材の取り合いのようになっていることも少なくありません。

こうした状況から、近年は社外取締役に特化したマッチングサービスが台頭しています
業種や業務領域ごとに専門知識を持ったプロフェッショナル人材と、自社が求める知見・実績のある人材を探している企業をマッチングするサービスです。

これらサービスに自身の経歴や実績を登録しておくことによって、社外取締役の招致に関する相談や打診が届く可能性があります。
マッチングサービスへの登録は無料でできますので、社外取締役としてのキャリアを検討している人は登録しておくといいでしょう。

参考:国内の主な社外取締役マッチングサイト

転職エージェント・ヘッドハンターからの推薦をうける

POINT2 転職エージェント・ヘッドハンターからの推薦を受ける

主にハイクラス人材を対象とした転職エージェントやヘッドハンティングサービスでは、まれに社外取締役を求める企業の求人を扱っていることがあります。
ただし、前述のマッチングサービスのように社外取締役に特化しているわけではないため、希少な案件と考えたほうがいいでしょう。

転職エージェントやヘッドハンターに社外取締役への推薦を依頼するのであれば、能動的に「社外取締役の案件を探している」と伝えておく必要があります。

希望を明確に伝えておくことで、社外取締役を探している企業が見つかったときに限り、案件を紹介してもらうことも可能です。

案件そのものが限られているため、サービスによっては該当する案件がほとんどないことも考えられます。
転職エージェントやヘッドハンティングを活用する際は、「まず相談してみる」というスタンスで臨むことをおすすめします。

社外取締役を目指す際の、おすすめの転職サービス

  
サービス名 特徴

JACリクルートメント
  • 「年収600万円以上」のミドル・ハイクラス層のサポートに強い
  • キャリアアップのためのカウンセリング・アドバイスが的確
  • 外資系、金融系企業のサポートにも積極的

リクルートダイレクトスカウト
  • 優秀なヘッドハンターが転職者の将来を見据えたキャリア形成を支援
  • 「年収800万円以上」の高年収求人がメイン
  • 企業からの熱量あるスカウトが届き、よりインタラクティブな転職活動ができる

ビズリーチ
  • 「プラチナスカウト」は社員を含む役員との面接が確約となっている
  • ヘッドハンターの評価が5.0満点のランクで可視化できるので、信頼できる担当者を選ぶことができる
  • 有料会員になると「年収1,000万円以上」の求人にもアクセス可能

doda X
  • dodaで知られるパーソルキャリア株式会社が運営するヘッドハンティング型転職サービス
  • 2019年に誕生したサービスで、「働き方改革後の新しい働き方」を取り入れた企業の求人が多い
  • 有料の「クラウドキャリアコーチ」で第三者からキャリアに関するアドバイスがもらえる

紹介やスカウトを受けやすい環境を作る

POINT3 紹介やスカウトを受けやすい環境を作る

人づてでの紹介やスカウトを通じて社外取締役に就任するのは、実はよくあるケースです。

全く見ず知らずの人よりも、すでに信頼関係のある人物からの紹介のほうが安心できるのは経営者も同じです。
企業の代表者との人脈づくりをしていくことで、紹介やスカウトを受けやすい環境を作っておくことを心がけましょう。

経営者のコミュニティに接する機会がない場合は、異業種懇親会ビジネスセミナーに参加することで名刺交換や交流のチャンスを得られます。

また、SNSを活用したダイレクトリクルーティングに注力する企業も増えていることから、日頃からSNSで経営者を積極的にフォローしたり、共感する理念・考えを持つ経営者に積極的にリプライしたりといった積み上げをしていくことも大切です

まとめ)社外取締役のメリット・デメリットを理解してキャリアを選択しよう

ここで一度、社外取締役のメリット・デメリットについて再度確認しておきましょう。

社外取締役のメリット 社外取締役のデメリット
  • 経営・組織運営の経験を積める(実績作りにもなる)
  • エグジット(IPO(株式公開)またはM&Aによる売却等)で、キャピタルゲインを得られることもある
  • 高いパフォーマンス(結果)を求められる
  • 責任を負うことになる

冒頭で紹介した「4割超の企業が、社外取締役の選任規定に未達」は、あくまで現行の1部上場企業に関する数字です。
今後上場する企業もあれば、非上場であっても社外取締役を求める企業も相当数あると推測できます。

従来は「自ら望んで就任できるものではない」と思われがちだった社外取締役というポジションも、今後は多彩なキャリアの選択肢の1つとして開かれていく可能性があります。

社外取締役はこれまでに得た知見や経験を生かして企業経営に参画できるポジションであり、大きな可能性を秘めています。
そして同時に、経営陣の1人として重責を担うことを十分に理解しておく必要があります。

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