COBOLエンジニアの将来性は? 転職してキャリアアップするためのポイント
[最終更新日]2022/01/17

皆さんのなかには、「いまさらCOBOLを学んでも、仕事がない」と思っている方もいることでしょう。
その理由として、「COBOLは古い言語だから」という点を挙げる方が多いと思います。
確かに新規開発は少ないものの、引き続きCOBOLは重要なシステムで使われ、開発が続けられています。
目次
1)そもそも、COBOLとは
いま開発でCOBOLをお使いの方もそうでない方も、COBOLの将来性を知るためにはCOBOLとはなにかをおさらいしておくことをおすすめします。
あわせて、COBOLが最近になって再注目されている理由も知っておくと良いでしょう。
本記事でははじめに、COBOLとはどのような言語か、また最近注目される理由について詳しく解説していきます。
1959年に誕生した古いプログラム言語。しかし今でも、多くのシステムで使われている

COBOLは1959年に誕生し、現在まで60年以上使われているプログラミング言語です。
一方で令和の時代になっても、多くのシステムで使われていいます。
情報処理推進機構「ソフトウェア開発データ白書 2018-2019」によると、国内の13.3%のシステムはCOBOLを使ってコーディングされているという調査結果が公表されています。
参考:
情報処理推進機構「ソフトウェア開発データ白書 2018-2019」 p39
COBOLは以下に挙げる、5つの特徴を持っています。
- コードがシンプルで、処理の流れをつかみやすい
- 習得しやすく、書く人によるばらつきが起こりにくい
- バッチ処理が速く、事務処理に向く
- 数値の計算が正確
- 60年もの歴史のなかで多数のバグが解決されており、安定している
こうした特徴があるため、金融・保険業界や官公庁などで採用されやすく、現在も運用されているのです。
コロナ禍でCOBOLが注目されるように

新型コロナウイルスが蔓延し始めた時期に、アメリカでCOBOLが注目される出来事がありました。
2020年4月にニュージャージー州で失業保険の受給申請が急増し、失業保険金給付システムがダウンしたのです。
開発言語はCOBOLであったことから、ニュージャージー州知事はCOBOL技術者に対し、記者会見で求人への応募を呼び掛ける事態となりました。
同様の事象は、コネティカット州でも起きました。
この出来事は、COBOLについて以下の2つを示す結果となりました。
- COBOLで組んだシステムが、重要な社会インフラとして使われ続けていること
- COBOL技術者が不足していること
参考:
アイティメディア「「求むCOBOLプログラマー」 半世紀前の言語が今脚光を浴びる理由」
マイナビ「COBOLがコロナで大注目?! 60年以上前の言語が最近話題」
2)COBOLエンジニアに将来性はある?
COBOL自体の将来性は、あまり明るいとはいえません。
だからといって、COBOLエンジニアの将来性は低いとも言い切れません。世間一般で言われているよりは、将来性のある言語といえるでしょう。
その理由を2つのポイントに分けて、確認していきましょう。
COBOLエンジニアの高齢化に伴う人材不足が問題視されている

COBOLが持つ問題の1つに、エンジニアの高齢化に伴う人材不足が挙げられます。
若手は新しい言語を選び、ベテランのエンジニアが第一線を離れる現象は、今後も続くでしょう。このため、COBOLエンジニアを確保すること自体が難しくなっています。
このことは、日経BPが公表した調査結果からも読み取れます。主に以下の点が示されています。
- 若いCOBOLエンジニアがいない
- 募集しても年齢が高いエンジニアしか来ない
- システム移行をしようとしても、COBOL、オープン系、業務知識を兼ね備えたエンジニアが少ない
COBOLエンジニアの確保が難しく、システムのリプレースが困難となるケースも少なくありません。 一方でエンジニアの側から見ると、COBOLエンジニアを目指しやすいというメリットがあります。エンジニアが求められている分野なのになりたい人が少ないわけですから、興味・関心を持つ方にとってはチャンスといえるでしょう。
参考:
日経BP「1300人調査で分かった 還暦COBOLの利用実態 エンジニアを確保できない」
日経BP「還暦COBOLの何が悪い、独自調査で分かったこと」
日経BP「リプレースしたいのに出来ない、COBOLシステムへの悲痛な叫び」
新規案件への導入の可能性は低いが、需要が無くなることは当面ない

近年では学びやすく書きやすいプログラミング言語が、多数登場しています。
新しくシステムを組むなら、新しいプログラミング言語を選びたくなるでしょう。上記の理由から、新規案件に対してCOBOLは採用されにくくなっています。
一方でCOBOLを使って開発されたシステムを、重要な業務に活用している企業や官公庁も少なくありません。このような企業では機能強化や法令改正への対応など、システムの追加開発や改修が必要となります。
しばらくの間は保守案件やリプレースの案件を中心に、COBOLの需要は続くと見込まれます。
なかには「COBOLエンジニア100%」をうたうIT企業もあります。
もし近い将来COBOLが他の言語にとって代わられるならば、このようなアピールはできません。このことからも、COBOLに対する需要は一定程度存在することが推測できるでしょう。
3)COBOLエンジニアとしてキャリアアップするには、専門性・経験を磨くこと
あなたがCOBOLエンジニアとしてキャリアアップを目指すならば、単にプログラミングを究めるだけでは不十分です。
世の中から求められるCOBOLエンジニアを目指すならば、専門性や経験を磨くことが必要です。
具体的に求められるスキルや経験には、さまざまなものがあります。それぞれについてどのような項目が重要か、順に確認していきましょう。
COBOLエンジニアの転職に有利になるスキル

COBOLエンジニアの転職に有利となるスキルには、以下の3つが挙げられます。
- 担当する業種およびそれに伴う業務に関する知識
- 他人の書いたコードを読み、仕様を洗い出せるスキル
- JavaやPythonなど、他の言語でシステム開発できるスキル
それぞれについてなぜ有利になるか、確認していきましょう。
担当した業務に関する知識
COBOLエンジニアを中途採用する場合、選考において業種やそれに伴う業務知識の有無はかなり重視される傾向があります。
下流工程を主に任された方でも、ただ仕様書に沿ってシステムを組むだけではいけません。
なぜこのような仕様なのか、意味を理解してプログラミングを行うことは、転職を成功させるポイントに挙げられます。
他人の書いたコードを読み、仕様を洗い出せるスキル
COBOLからシステムを移行する際に壁となるものとして、現行の仕様がわからない点が挙げられます。
設計書が不十分な場合が多く、漏れや誤りがないかソースコードを追わなければならない案件が多いためです。
このためただプログラミングできるだけでなく、他人の書いたコードを読んで仕様を洗い出せる方が有利となります。
JavaやPythonなど、他の言語でシステム開発できるスキル
システムをCOBOLから移行する場合、開発に使われる代表的な言語にはJavaやPythonが挙げられます。
システム移行には、移行元・移行先両方の言語を知っている必要があります。
従ってCOBOLに加え、これらの言語をマスターしていると有利になります。
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COBOLエンジニアの転職に有利になる経験

COBOLエンジニアの転職を有利にするポイントには、スキルだけでなく以下の実務経験も挙げられます。
- 上流工程の経験
- マネジメントやトラブルを乗り切った経験
それぞれについて、有利となる理由を確認していきましょう。
上流工程の経験
要件定義や基本設計など上流工程の経験を持つ方は、単にプログラミングしかできない方に比べて以下の強みがあります。
- システム全体を見渡し、適切に設計できるスキルがある
- 担当範囲が広く、多くの業務を任せられる
上流工程の経験があるとレベルの高いエンジニアと認められやすくなり、転職にも有利となりやすくなります。
マネジメントやトラブルを乗り切った経験
COBOLエンジニアはチームで開発する場合が多く、また歴史が長い言語であるため経験者が多いことも特徴に挙げられます。単にプログラミングができるというだけでは、なかなか有利とはなりにくいものです。
このためプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーとして、プロジェクトマネジメントを行った経験があると有利に働きます。
この経験は、COBOLプロジェクトだけに限りません。加えてCOBOLエンジニアのなかには高齢の方も多いため、年上のメンバーをうまく戦力にできた経験もあるとなおよいでしょう。
またCOBOLを採用するプロジェクトでは顧客となる業界の特性上、トラブルが発生した際の迅速さ・正確さがシビアに問われがちです。
トラブルを乗り切った経験や教訓も、転職に際して有利に働く場合があります。
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4)COBOLエンジニアの転職は、IT業界向けの転職エージェントも活用しよう
COBOLエンジニアの求人数は決して多くないため、転職サイトだけを使った転職活動は長期化する可能性があります。
一方で多くの求人は、転職エージェントを経由して行われることが特徴です。
あなたに合った企業に転職するためには、IT業界向けの転職エージェントを活用することをおすすめします。
転職エージェントの活用により企業の募集背景や内情を知ることができ、志望動機を考える参考となります。加えて応募書類や面接に対するアドバイスを受けられる点も、見逃せないメリットの1つです。
ところで人材募集に使うエージェントは、企業により異なります。
複数の転職エージェントに登録し、積極的に紹介を受け活用することをおすすめします。
マイナビITエージェント
企業名 | 株式会社マイナビ |
---|---|
エンジニア求人数 | 16,635件(2021年6月現在 非公開求人含む) |
COBOLエンジニア求人数 | 421件(2021年6月25日 非公開求人含む) |
マイナビITエージェントは、株式会社マイナビが運営する転職エージェントです。
マイナビの転職サービスの特徴として、「丁寧・じっくり型のサポート」、および「企業とのパイプが太い」点が挙げられます。
エンジニア系の求人も常時豊富に取り揃えており、COBOLエンジニアに関する求人数は442件。特に都市部在住の方は、良質な求人企業の選択肢の豊富さとサポートの「質の高さ」が期待できるでしょう。
COBOLエンジニア以外の職種の提案も含めて、キャリアについて手厚なサポートを受けたい人におすすめです。
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レバテックキャリア
企業名 | レバテック株式会社 |
---|---|
エンジニア求人数 | 11,183件(2021年6月現在) |
COBOLエンジニア求人数 | 174件(2021年6月25日 公開求人のみ) |
レバテックキャリアは、レバテック株式会社が運営する転職エージェントです。
同サービスの特徴としては、アドバイザーの殆どが「エンジニア実務経験者」であること。IT業界についてエンジニアリングの技術的な事柄についても通じた担当が付いてくれる可能性が高いです。
COBOLエンジニア向けの求人は2021年6月25日時点で174件と、マイナビITエージェントと比べるとやや少なめですが、「エンジニア実務経験者から具体的なキャリアアドバイスを受けたい」という方は、利用メリットは十分にあるでしょう。
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doda ITエンジニア
企業名 | パーソルキャリア株式会社 |
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エンジニア求人数 | 19,315件(2021年6月現在) |
COBOLエンジニア求人数 | 378件(2021年6月25日 公開求人のみ) |
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大手転職サービスならではの求人数の多さと、担当にキャリアアドバイザーのほかに「プロジェクト担当」といって求人企業への採用支援を行うスタッフも就いてくれます。
これにより、転職者は応募企業についての詳細情報を入手しやすくなり、ミスマッチ転職を回避しやすくなるのです。
COBOLエンジニア向けの求人は2021年6月25日時点で378件とマイナビITエージェントに次ぐ豊富さです。
複数の候補から、自分に合う求人をアドバイザーとじっくり相談しながら進めていけるでしょう。
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ギークリー
企業名 | 株式会社GEEKLY |
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エンジニア求人数 | 10,377件(2021年6月現在) |
COBOLエンジニア求人数 | 77件(2021年6月25日 公開求人のみ) |
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まとめ)開発に関する幅広いスキルを身につけることが転職成功のポイント
COBOLエンジニアに求められるスキルは、業務に必要なシステムを正確に組むことです。
このためプログラミングスキルはもちろん、業務知識や上流工程の経験など、開発に関する幅広いスキルや経験が求められます。これらを身につけることは、転職を成功する重要なポイントです。
一方で20代・30代のCOBOLエンジニアは求められやすく、転職を成功できる可能性も大いにあります。あなたに合った転職先を見つけるためにも、転職エージェントの活用がおすすめです。