MRってどんな仕事? やりがいや未経験からの転職で意識したいポイント解説
[最終更新日]2021/12/31

超高齢社会へと突入していく日本において、医療を担う仕事の重要性が増しています。
転職を検討している人の中には、医療に携わる仕事としてMRへの転職を考えている人もいることでしょう。
ところで、MRとは具体的にどのような仕事をするのでしょうか。
何となくイメージができている人も、詳しい仕事内容となると分からない点があるかもしれません。また、どのような人がMRに向いているのか知りたいと考えている人もいるはずです。
目次
1)MRって具体的にどんな仕事?
MRの主な仕事内容

MRはMedical Representativeの略で、日本語では「医療情報担当者」と訳されます。
MRの主な仕事内容として、主に次の2つが挙げられます。
1つめは、医師や薬剤師といった医療従事者へ医薬品に関する情報を提供し、有用性への理解を深めてもらうことです。
MR自身が医薬品を直接販売するのではなく、情報提供を行うことで医薬品の採択を検討してもらうのが仕事の目的となります。
製薬会社のMRが自社の医薬品を紹介する場合と、MRの派遣企業(CSO=Contract Sales Organization)に所属してさまざまな製薬会社の医薬品を横断的に紹介する場合があります。
もう1つの役割は、医療従事者から上がってきた意見や要望を収集し、医薬品の開発部門へと伝えることです。
医薬品の有効性や安全性に関する現場からの情報は、医薬品の改善や品質向上に役立てることができます。
率直に意見を述べてもらうには、日頃から医師や薬剤師とコミュニケーションを図り、信頼関係を深めておく必要があります。
信頼関係を構築するために医療機関を訪問するだけでなく、医療従事者向けの講演会や説明会を開催するのもMRの仕事の1つです。
MRに求められる知識・スキルは?

学習意欲
MRは医薬品を扱う仕事であり、医療のスペシャリストである医師や薬剤師と直接面会する仕事でもあります。
薬学に関する知識が必須となるため、覚えなくてはならないことは膨大な量にのぼります。
しかも、医薬品は日進月歩ですので、日々新しい医薬品が開発され認可されていきます。常に最新の情報を収集し、知識を更新していくには、高い学習意欲を持ち続けることがマストといえるでしょう。
コミュニケーション能力
たとえ医薬品に関する知識を身につけても、知識だけでMRとして通用するわけではありません。
医師や薬剤師の方々があなたのことを信頼し、話を聞いてくれる状況を作っていく必要があります。
医療従事者は常に多忙ですので、MRと面会できる時間は限られてしまうでしょう。
限られた時間の中で信頼を獲得するには、相手が求めている情報を察知し、適切なタイミングで提供することが非常に重要です。
相手が求めている情報を引き出す傾聴力も、コミュニケーション能力の重要な要素といえます。
プレゼン能力
身につけた知識や収集した情報を自分の中で編集し、相手に伝わりやすい形でプレゼンすることもMRとして重要な能力といえます。
医薬品は人命に関わる製品のため、良い点ばかりを強調して伝えたり、事実と異なることを伝えたりしてはなりません。
綿密な情報収集を行った上で的確な情報提供を行うには、高度なプレゼン能力が必要となるでしょう。
MRになるために資格は必要?
MRとして働くにあたり、必須の資格はありません。
国家資格や特別な免許を取得していなければMRに従事できないといったことはありませんので、資格の取得が必須でないという点は押さえておきましょう。
ただし、将来的にMRとして活躍する上で取得しておくことが望ましい資格があります。
厚生労働省認可の公益財団法人MR認定センターによる「MR認定証」という資格で、入社後に取得を義務づけている企業もあります。

参照:公益財団法人MR認定センター(旧財団法人医薬情報担当者教育センター)
医療機関によっては、MR認定証を持たない担当者の入館を認めていないケースもあるため、将来的にはMR認定証を取得することになる可能性が高いと考えたほうがいいでしょう。
なお、MRの営業活動では車で医療機関へ向かうことが多いため、入社時点で普通自動車免許を取得しているほうが望ましいでしょう。
また、求人の多くが大卒以上を要件としているため、大卒以上の学歴であることが条件となる場合が多いといえます。
2)MRのやりがい・大変なこと
MRの仕事のやりがい

- 人々の健康を支えている実感を得やすい
- 医療や薬に関する知識が養われる
- 企業によってはインセンティブがもらえる
人々の健康を支えている実感を得やすい
医薬品は人々が健康な暮らしを維持する上で欠かせない大切なものです。
最新の医薬品に関する正確な情報を伝え、医療従事者をサポートしていくことは、結果的に多くの患者の健康を支えることにつながります。
MRがいるからこそ、医療従事者は多忙な中でも医薬品の最新情報を得ることができるという面もあるのです。
また、医療従事者から上がってくる意見を製薬会社の開発部門に伝えることで、より良い医薬品を開発するためのヒントとなることもあるでしょう。
人々の健康を支え、医療の信頼と安全を支える一翼を担っていると実感しながら働けることは、MRにとって大きなやりがいとなるはずです。
医療や薬に関する知識が養われる
MRにとって医療や薬に関する知識を吸収し続けることは必須ですが、MRとして働く中で否が応でも医療や薬の知識は養われていきます。
まだ世の中では広く知られていない新薬に関する情報をいち早く入手できたり、これまで治療が難しかった病気が治せるようになるといった情報を得られたりと、医療従事者でなければ知り得ない情報に触れることができるのです。
医療や薬の知識は、自分自身や身近な人の健康を維持する上でも重要な役割を果たします。
医療や薬に関する知識が日々増えていくことで、MRとして働いていて良かったと実感するでしょう。
企業によってはインセンティブがもらえる
MRは一般的な営業職とは異なり、直接契約を取りつけて代金を回収するわけではありません。
専ら情報提供に徹するスタイルで営業活動を進めます。
しかし、企業によっては売上実績に応じたインセンティブを支給しているケースもあります。
医療従事者との信頼関係を築くことができれば、あなたが提供する情報を信用し、医薬品の採択を継続したり増やしたりしてくれる場合もあるでしょう。
一朝一夕に成果を得られるわけではありませんが、地道な営業活動を続けて地盤を固めていくことで、継続的なインセンティブへとつなげられることもあるはずです。
MRの仕事の大変なこと

- 常に最新の医療に関する情報を学び続けていく必要がある
- 数字を意識した営業活動
常に最新の医療に関する情報を学び続けていく必要がある
MRとして求められる知識は、一度習得すればずっと流用できるわけではありません。次々と新しい医薬品が開発されていきますので、新しい情報を常に収集し、学び続けていく必要があります。
医療分野に対する強い関心や情熱が維持できなければ、絶えず学び続けていくことを苦痛に感じてしまうでしょう。
必死に学んだ知識がすぐに古くなってしまうことにストレスやプレッシャーを感じにくい人や、医療に対する好奇心や興味関心を持ち続けられる人でなければ務まらない仕事といえます。
「学び続けられるかどうか」という点は、MRとしての適性に大きく関わると考えていいでしょう。
数字を意識した営業活動
MRは「とにかく売りさえすればよい」という姿勢では務まりません。
医薬品には営業活動の行動基準としてプロモーションコードが定められていたり、業界全体で公正競争規約が定められていたりするからです。
こうしたルールに抵触することのないよう、十分に留意して営業活動を進める必要があります。
一方で、MRもまた営業職としての一面を持っています。さまざまな制約がある中で、いかに医薬品の採択を増やしたり新規の取引先を増やしたりできるか、常に戦略を考えて行動し続ける必要があります。
結果を求められることへのプレッシャーを感じながらも、焦らず着実に信頼関係を築いていく営業活動が必要となるでしょう。
3)MRの仕事が向いている人はこんな人

- 医療業界に高い関心を持っている人
- 学び続けることにやりがいを感じられる人
- 目標達成に向けて前向きに努力できる人
- コミュニケーション能力が高く傾聴力がある人
MRは医薬品に関する専門知識が問われる仕事ですので、医療業界に関心が高く、好奇心と使命感を持って医療の仕事に携われる人が向いています。
新薬は次々と開発されるため、常に新たな情報を収集し学び続けることにやりがいや楽しさを感じられる人が適しているでしょう。
また、MRには営業担当としての側面もあります。
目標達成に向けて地道な努力を続け、着実に信頼関係を築いていくには、すぐに成果が出なくても前向きに努力し続けることが求められます。
医療以外の業界で法人営業を経験してきた人など、粘り強く信頼関係を築いてきた経験があれば役立つはずです。
MRが面会するのは医師や薬剤師といった医療のスペシャリストです。
医療従事者の意見や要望に耳を傾ける傾聴力や、円滑な人間関係を築いていくためのコミュニケーション能力は必須といえるでしょう。
こうした能力・資質を持ちあわせている人であれば、MRとして活躍していくことができる可能性は十分にあるはずです。
4)未経験からMRへ転職する際に意識しておきたい3つのポイント
未経験からMRへの転職を目指す場合、どのような点を意識しておいたらいいのでしょうか。
医療関係の仕事と聞くと、どうしても専門知識を身につけることに目が向きがちですが、知識面に関しては入社後に身につけていくことも可能です。
むしろ、MRに求められる資質・経験が備わっていることを明確にし、採用選考においてもしっかりとアピールしていくことが重要です。
とくに次に挙げる3つの点については、MRに転職するにあたって意識しておく必要があるでしょう。
- MRに活かせる経験・スキルの棚卸しをしておく
- 5年後、10年後のキャリアまで見据える
- MRへの支援実績のある転職エージェントを活用する
MRに活かせる経験・スキルの棚卸しをしておく

MRに転職する場合、最も有利になるのはMRをはじめとする医療業界での営業経験者です。
異業種からの転職の場合、業界経験者と比べるとどうしても不利になりやすい傾向があります。
そこで、これまでの経験やスキルのうち、MRの仕事で活かせるものをピックアップし、整理しておく必要があります。経験してきた業務や身につけてきたスキルの棚卸しをしておくことは必須になるでしょう。
たとえば、法人営業担当者として一定以上の実績があれば、顧客との信頼関係を築くプロセスを理解している点をアピールできるはずです。
また、同業者との情報交換や医師・薬剤師からの紹介も営業活動を支える重要な情報源となります。情報のアンテナを張り、人脈を構築していく能力をアピールすることは非常に有効でしょう。
また、MR自体は未経験であっても、医薬品や製薬と関わりの深い分野での経験が役立つ場合があります。
医療機器メーカーや医療系出版社などで勤務した経験があれば、医療への興味関心の高さや基礎的な知識量をアピールできるはずです。
このように、経験してきた業務の中でMRとして活用できる経験・スキルがないか、ていねいに棚卸しをしながら確認していきましょう。
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5年後、10年後のキャリアまで見据える

未経験者の場合はとくに「MRに転職することは可能かどうか」を気にする傾向がありますが、より視野を広げて先々のキャリアプランを見据えた上で転職を検討することも重要です。
5年後、10年後にどのような働き方をしたいのか、MRの経験をどう活かしていきたいのか、ある程度の展望を持っておくことは目標や目的意識を持って働いていく上でも非常に大切な視点となります。
未経験者だからこそ、先々のキャリアに対してしっかりとした展望を持っていることをアピールする必要があるでしょう。
MRのキャリアパスとしては、営業所長や支店長といったマネジメントの方面に進むパターンが多くみられます。
人によっては、MRの経験を活かしてマーケティング担当や他の医療系分野での営業職へと転身するケースもあります。
MRとして身につけた高い専門性はさまざまな分野で応用可能ですので、将来的に何をしていきたいのか、5年・10年といった長いスパンで考えておくようにしましょう。
MRへの支援実績のある転職エージェントを活用する

MRに未経験から転職することは可能ですが、前述のように経験者と比べると一定のハードルがあるのは否めません。
自力で転職活動を進めるよりも、第三者のアドバイスを得られる転職エージェントを活用することを強くおすすめします。
転職エージェントの中でも、とくにMRへの転職支援実績のあるエージェントを選ぶことが重要です。
未経験からMRへの転職に成功した事例があれば、どのようなアプローチが採用担当者に響くのか、重点的にアピールすべき点はどこか、具体的なアドバイスをしてもらえる可能性が高いでしょう。
また、後発メーカーのように未経験者を受け入れている企業を紹介してもらえることもあり得ます。
未経験だからこそ転職エージェントを積極的に活用して、転職の成功率を高めていきましょう。
5)未経験からのMR転職におすすめの転職エージェント
ここからは、未経験からMRとして活躍できる職場への転職を検討している方向けに、おすすめの転職エージェントを紹介します。
紹介するサービスはどれもMRへの転職支援実績のあるエージェントです。
エージェントによってサポートの傾向や担当となるアドバイザーのタイプも変わりますので、まずは自分に合うエージェントを見つけていくうえで2~3登録し、「ここがフィットする」というエージェントに利用を絞っていくと良いでしょう。
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まとめ)未経験者は「なぜMRなのか」を明確にして転職活動に臨もう

MRは高い専門性が求められるだけでなく、さまざまな制約の中で結果を出していくことが求められる仕事です。
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