「MRを辞めたい」と思ったときの原因・対策とおすすめ職種・転職先
[最終更新日]2023/09/18

現在、MRとして働いている人の中には、実は「MRを辞めたい」「別の仕事に変わりたい」と感じている人もいるのではないでしょうか。
MRはやりがいがある反面、さまざまなプレッシャーやストレスに耐える必要のあるハードな仕事でもあります。
目次
1)「MRを辞めたい」によくある理由

日本の医療を支える存在として、MRは社会的意義の大きな仕事です。
しかし、MRの仕事内容は決して楽なものではなく、別の仕事に変わりたいという気持ちが芽生える場合もあるでしょう。
MRを辞めたいと感じる代表的な理由として、次の3点が挙げられます。
「MRを辞めたい…。」によくある理由
- #1 ノルマへの強いプレッシャー
- #2 医師やMSとの人間関係にストレス…
- #3 MRの将来性に対する不安
現在の自分自身に該当するものがないか、それぞれ順に確認していきましょう。
ノルマへの強いプレッシャー
MRは直接的に医薬品などを販売する仕事ではありませんが、医薬品の採択を増やしてもらうための活動を行う営業担当者であることに変わりはありません。
月々、四半期といった各タームでノルマが課せられ、必ず達成するよう強いプレッシャーをかけられます。日々の訪問件数や勉強会の開催件数など、数字の世界にどっぷりと浸り続けなくてはなりません。
とくに近年ではジェネリック医薬品メーカーの台頭により、医薬品の採択をめぐる競争は激化の一途をたどっています。
数多くの医療機関を訪問し、各所で頭を下げて回る日々は、ノルマに耐え続けるプレッシャーと相まってMRの仕事を過酷なものにしています。
このプレッシャーに耐えられなくなり、MRを辞めたいと考え始める人は決して少なくないでしょう。
医師やMSとの人間関係にストレス…
MRは日々、医師やMS(卸販売担当者)と面会し、医薬品の紹介をしなくてはなりません。
医薬品に対する知識量としては医療現場を熟知している医師にはかなわないため、立場としてはどうしても低くなってしまいがちです。
また、医師や病院関係者と深くつながっているベテランのMSと関係性が悪化してしまうと、MRにとって営業活動に必須の重要な情報が入ってこなくなることもあり得ます。
そのため、医師やMSとの人間関係には常に細心の注意を払う必要があります。
もちろん好意的に話を聞いてくれる医療従事者も数多くいますが、中には理不尽な対応をされてしまうこともないとはいえません。
デリケートな人間関係を良好に維持することに対してストレスを抱え、疲弊していくMRも数多くいるのが実情です。
MRの将来性に対する不安
MRとして長年携わってきた人ほど、近年の度重なる診療報酬改定や薬価改定に直面するたびに「MRには将来があるのだろうか?」「この先、何十年とこの仕事を続けられるのだろうか?」といった不安を感じるでしょう。
また、医薬品情報データベースの整備やAIの進歩により、今後もMRが必要とされる仕事であり続けるのか、将来に対して不安を抱いている人もいるはずです。
MRの仕事の将来性に不安を感じることは、MRを辞めたいと感じる一因となるでしょう。
「MR不要論」は本当?
AIをはじめとするテクノロジーの進歩に伴い、近い将来MRが不要になる時代が到来するといった言説を耳にすることがあります。
たしかにこれまでMRの手や頭脳によって処理してきた仕事のうち、いくらかの部分はテクノロジーによって代替される可能性があります。
その意味においては、MRに対する需要が現状のまま続くとは言いがたい面があります。
しかし、現在もなおMRの募集は随所で行われています。
医薬品メーカーによっては、MRの大型採用を実施した企業も見られました。
新製品の開発や外資系メーカーの参入によって、MR業界は隆盛と淘汰を繰り返していると考えられます。
結果的に人材市場が活性化していることからも、MRという仕事自体の需要が突然なくなる日がやってくるとは考えにくいでしょう。
極端なMR不要論に惑わされないよう、MRの将来性については慎重に判断する必要があります。
2)いちど、MRならではのメリットを振り返っておこう

MRを辞めたい・転職したいと考えている人にとって、現状ではどうしてもMRの仕事の大変な部分が目に留まりがちです。
しかし、MRだからこそ得られるメリットについて改めて振り返り、メリットとデメリットの両面から今後のキャリアを検討することが非常に重要です。
MRならではのメリットとして、次の2つが挙げられます。
MRならではのメリット
年収は他業界と比べてもトップクラス
製薬業界で働いているとあまり意識することがないかもしれませんが、MRの年収は他業界と比べるとトップクラスの水準にあります。
MRの平均年収は500〜700万円といわれています。他業界に転職してもこれまでと同水準の年収をキープしようとすると、選択肢はかなり限られてしまうのが実情です。
また、MRの生涯賃金は3億円を超えるといわれています。
給与水準が高いとされるコンサルティングファームや監査法人などの専門職であっても生涯賃金は3億弱、一般的な営業系職種では2億5千万円に満たないのが平均的です。
MRから他の業界・職種にキャリアチェンジすることによって、年収・生涯賃金ともに下がってしまう可能性があることは十分に理解しておく必要があるでしょう。
自身の裁量で仕事をしやすい
MRは訪問する医療機関や面会する相手を基本的に自分で決められます。
紹介するべき医薬品や目標とする採択数はあるものの、日々の動きや訪問ペースは自分で決めているはずです。自分の裁量で仕事をしやすいのは、MRならではのメリットといえるでしょう。
他業界の営業職の場合、訪問先やプレゼンの内容が部署内の方針で決められているケースが少なくありません。
担当する地域や得意先によって効果的なアプローチは異なると思っていても、個人の裁量でできることには限界があるため、悶々とした思いを抱えながら営業活動をしている営業担当者も大勢いるのです。
他業界へ転職すると、MRは自由度の高い働き方だったことに改めて気づかされることもあるでしょう。
3)「MRを辞めて、転職しよう」と決断したときの進め方
ここまでの内容を読んでも、それでも「MRを辞めて転職したい」と思うようなら、早めの行動を取った方が良いかもしれません。
まずは、以下の3点を押さえておくと良いでしょう。
「MRを辞めて、転職したい」と決断したときの進め方
MRの経験を活かせる職種について知っておこう

MRからの転職の際は、はじめに「MRの経験を活かせる職種」を知っておくと良いでしょう。
代表的なものとしては、以下が挙げられます。
- 医療機器メーカー
- 人材紹介会社
- CRO臨床開発モニター
- その他おすすめの職種
医療機器メーカー
MRから医療関係で関わりのある医療機器メーカーへ転職するのは、よくあるパターンの1つといえるでしょう。
医療機器はメーカーごとにある程度まで棲み分けができており、自社の営業領域で仕事をしやすいというメリットがあります。
人の命に関わる以上、医療機器にもコンプライアンスは求められますが、医薬品ほど厳しい規定はないことから、MRから転職する人にとっては働きやすいと感じるはずです。
医療機器メーカーの平均年収はおよそ450万円のため転職することで年収が下がる可能性があるものの、営業活動のしやすさを重視したい人にはおすすめの転職先といえます。
人材紹介会社
人材紹介会社であれば、紹介先の業界経験を生かせる可能性があります。
たとえば医療系分野の経験を強みとするアドバイザーとして、これからMRなどの医療・医薬品関連業界に転職したい人に対して実体験にもとづいたアドバイスができるでしょう。
医療関係の職種は人材不足となりがちな傾向があるため、人材紹介会社のニーズは高く将来的にも仕事は安定していると考えられます。
人材紹介会社の平均年収は300万円強といわれていますが、成約数に応じてインセンティブが支給されるケースもありますので、実力しだいでより多くの報酬を得ることも可能です。
CRO臨床開発モニター
製薬業界から治験モニタリング業務の委託を受け、モニタリングの報告書を作成するのがCRO臨床開発モニターの主な仕事です。
MRとして身につけてきた医薬品の知識を生かせる上に、専門性の高い職種であることから年収水準も平均約600万円と高い傾向があり、MRからの転職希望者に人気があります。
ただし、新薬の開発には長い年月を要するためMRと比べて成功体験を積みにくい傾向がある点、こなした業務量が売上につながるビジネスモデルであることから常に忙しい状況が続くという点は覚悟しておく必要があるでしょう。
今後のキャリアをじっくりと築いていきたい人におすすめの転職先といえます。
その他おすすめの職種
MRの知見を生かして活躍できる職種として、医療機関の経営支援などを手掛ける医療系コンサルティング会社や、製薬企業向けの広告代理店・医療系出版社といった広告・マスコミ関連業種などが挙げられます。
MRなど医療業界での実務経験者を積極的に採用している企業もありますので、MRとは異なる角度から医療業界に関わってみたい人におすすめです。
また、近年では医療系ベンチャーやスタートアップ企業も増えています。
今後、MedTechの潮流はますます活性化していく可能性を秘めていますので、当面の年収をキープすることに強いこだわりがなければ挑戦してみるのも1つの選択肢といえます。
転職先に求める条件を明確にしておこう

MRから別の業界・職種に転職するのであれば、転職先に求める条件を明確にしておくことをおすすめします。
「とにかくMRを辞めたい」という一心で転職してしまうと、転職先では別の問題を抱えて悩むことになったり、イメージしていた働き方とのギャップを感じたりするリスクが高いからです。
転職先に求める条件が複数ある場合は、優先順位をつけて「必ず実現したい条件」と「妥協するのもやむを得ない条件」を整理しておきましょう。
下記のように、転職先に何を求めるかによって応募先の業界や職種の選び方に影響を及ぼします。
企業選びで求める条件の例
#1 経営方針 |
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#2 成長性 |
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#3 業務内容 |
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#4 福利厚生 |
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#5 社風 |
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優先順位づけが進まない場合や、そもそも転職先に何を求めているのか整理がつかない場合は、いま一度MRをなぜ辞めたいと感じたのか、根本的な原因を探っておきましょう。
もしかしたら、辞めたいと感じた本当の原因は自分でも気づいていないところにあるのかもしれません。原因が明確になれば、解消するために転職先に求める条件も自ずと絞られていくはずです。
未経験職種への支援実績の豊富な転職エージェントの活用

MRから未経験職種への転職を目指すのであれば、転職支援実績が豊富な転職エージェントを活用することをおすすめします。
転職活動を自力で進めた場合、MRとしての経験が他業種でどう評価されるのか、採用担当者に「ぜひ採用したい」と思ってもらうにはどうアプローチすればいいのか、はっきりと分からない部分も出てくる可能性が高いからです。
支援実績が豊富な転職エージェントであれば、あなたと同じようにMRから未経験職種への転職を検討し、実際に転職を成功させた事例を見てきているはずです。
MRの経験を生かしやすい業界・職種についての知識も持ちあわせている可能性がありますので、自力で転職活動を進めるよりも成功率を高められるでしょう。
4)MRからの転職におすすめ転職エージェント
ここからは、MRから未経験職種への転職を検討している方向けに、おすすめの転職エージェントを紹介します。
転職エージェントでは、求人の紹介はもちろん、今後のキャリアについての相談や市場価値についてのアドバイスも無料で行ってくれます。
エージェントによってサポートの傾向や担当となるアドバイザーのタイプも変わりますので、まずは自分に合うエージェントを見つけていくうえで2~3登録し、「ここがフィットする」というエージェントに利用を絞っていくと良いでしょう。
リクルートエージェント
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国内No1の求人数の豊富さ!転職支援ツールも豊富で、「正しい転職活動を知りたい」人にもおすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは国内No1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。
とくに活用したい支援ツールは、企業の特徴から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」です。
MRから別職種への転職の際は、入念な業界・企業研究が欠かせません。その際に、レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにMRからの転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェント登録後に無料で活用できる、職務経歴書を自動で作成できる「職務経歴書エディタ」や無料の「面接力向上セミナー」のサービスもおすすめです。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約43万件(2023年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業・販売・カスタマーサービス|企画・マーケティング・経営|管理・事務|物流・購買・貿易・店舗開発|コンサルタント|金融専門職|不動産専門職|クリエイティブ|SE・ITエンジニア|エンジニア(設計・生産技術・品質管理)|建築・土木|医療・医薬・化粧品など |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
doda(デューダ)
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豊富な求人と、担当からの積極的な提案が特徴。「本気でいい求人を探したい!」ならぜひ登録しておきたい転職サイトです。
dodaは国内トップレベルの求人数と、担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
保有求人は20万件以上(※2023年8月時点、非公開求人を含む)、都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
「まずは自分でじっくり求人チェックしたい」という方は転職サイトのサービスを利用し、その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときにエージェントサービスを利用する、という使い方もできます。
また、dodaでは「ダイレクト・リクルーティングサービス」という仕組みを取っており、そのため企業から熱意あるスカウトメールが届きやすいです。

これまでのMRでの経験が、意外な企業からのスカウト・オファーに繋がることもあるかもしれません。登録時のレジュメ(Web履歴)には、丁寧にこれまでの経歴を記載しておくとよいでしょう。
dodaの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約21万件(2023年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業職|企画・管理|技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)|技術職(組み込みソフトウェア)|技術職(機械・電気)|専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)|クリエイター・クリエイティブ職|販売・サービス職|公務員・教員・農林水産関連職|事務・アシスタント|医療系専門職|金融系専門職など |
担当エージェント経由でのみ応募可能な求人も多いです。初回面談で担当エージェントとしっかりコミュニケーションをとっておくことで、希望条件に合った求人を紹介してもらいやすくなります。
マイナビエージェント
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書類作成、面接準備のサポートの手厚さが特徴。とくに「はじめての転職で、不安…」という人におすすめです。
マイナビエージェントは専門知識を持つキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職者に対して丁寧に向きあい、きめ細かなサポートをしてくれることで知られる転職エージェントです。
とくに20代〜30代前半の転職サポートを得意としており、志望動機のブラッシュアップや面接指導を的確に行ってくれます。
また、マイナビエージェントは業界ごとに専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、専門知識を持つプロからアドバイスしてもらえるのが特徴です。
業界・職種に特有の転職事情を熟知したキャリアアドバイザーに相談したい人に適しています。
マイナビエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約4.7万件(2023年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業職|マーケティング|広報|人事|経理|クリエイティブ(Web・編集・制作など)|ITコンサルタント|システムエンジニア|金融アナリスト|調査・分析|看護師|薬剤師|保育士|不動産専門職|建築・設計アシスタント|デザイナーなど |
登録時に「転職理由」と「希望条件(優先したいこと・叶えたいこと)」を丁寧に記入しておくと、その後の求人紹介やサポートもスムーズに進みます。
パソナキャリア
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ひとりの転職者に平均20時間のサポート。「じっくり丁寧なサポート」を求める人におすすめです。
パソナキャリアは、人材派遣の大手パソナグループが運営する転職エージェントです。
担当エージェントによる丁寧なサポートを特徴としており、「こちらの相談に対して、じっくり聞いてくれた」という評価をする転職者の方は多いです。
サポート対応地域は全国、かつ全都道府県に支店があります。対面での相談もしやすいエージェントです。
企業とのリレーションも強く、条件交渉にも強力にバックアップしてくれます。
実際、パソナキャリア利用者の67.1%が内定後の年収アップに成功しているといいます(※公式サイトより)。
パソナキャリアの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約3.6万件(2023年8月現在) |
公開求人数とくに多い職種 | 営業職|管理・事務|IT・Webエンジニア|技術職(電気・電子・機械・化学)|クリエイティブ|マーケティング・企画|コンサルタント・士業|販売員・サービススタッフ|研究・開発(メディカル)|専門職(Web・IT・ゲーム|金融|不動産・建設)など |
転職するにあたって「これだけは譲れない」という希望条件を整理しておくと、担当エージェントも求人紹介がしやすくなります。
まとめ)MRを辞めたい「最大の要因」を明らかにしておこう
MRはハードな仕事のため、この先ずっとMRとして働き続けていくことに対して不安を感じている人もいるはずです。
MRの経験を生かして活躍できる業界・職種はありますので、先々のキャリアを考える上で転職という道を選ぶのも1つの考え方です。
ただし、MRは給与面や働き方の面で恵まれているのも事実です。
仮に他業種に転職するとしたら、MRとしてこれまで得てきたメリットを手放さなくてはならない場合もあるでしょう。
MRという仕事を本当に辞めてしまっていいのか、慎重に検討する必要があります。
MRを辞めたいと感じている人は、辞めたい最大の要因を明らかにしておきましょう。
要因が分かった結果、MRを続けながら解消できると判明するかもしれません。
辞めて転職する以外に選択肢がないのか、よく考えた上で結論を出すことが大切です。