SE・ITエンジニアにおすすめ資格10選 【初心者~上級者の難易度別に紹介】
[最終更新日]2023/09/18

IT系の資格には国家資格に加えて、さまざまな民間資格があります。どの資格を取るべきか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
せっかく資格を取っても、あまり役立たないのではもったいないもの。
あらかじめ資格の特徴や難易度を把握したうえで、将来に役立つ資格を取ることがおすすめです。
目次
1)そもそも、SE・ITエンジニアとして資格は取得すべき?

資格はSEをはじめITエンジニアの仕事をするうえで、必須ではありません。
エンジニアのなかには「資格を取っても無意味」という方もいます。
一方で、企業のなかには有資格者の人数を積極的に公表する 、資格の有無を評価や昇進に関連付ける場合もあります。
一概に「資格は無駄」と切り捨てることは、おすすめできません。
そもそも資格は、エンジニアのレベルを認定する側面もあります。
また、資格を取得することで、以下に挙げるメリットが得られます。
- 一定レベル以上のスキルを保持していることが証明される
- 客観的なスキルレベルの証明になる
- 応募書類や面接において、やる気を示せる
- 企業によっては報奨金や資格手当を受け取れ、収入が増える
業界の評価が高く実力を裏付けできる資格であれば、取得によりあなたの評価は高まります。
本記事で解説する資格を参考に、目指す資格を選びチャレンジすることをおすすめします。
SE・ITエンジニアの資格は大きく分けて2種類

SEに関する資格は、国家資格とベンダー資格の2種類に分けられます。
「国家資格のほうがベンダー資格よりも良さそう」と思いがちですが、IT系の資格の場合は必ずしもそういえません。
国家資格とベンダー資格の違い
良い点 | 注意すべき点 | |
---|---|---|
国家資格 |
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|
ベンダー資格 |
|
|
将来に役立つ資格を選ぶ際には、上記の違いを把握することも重要です。
2)SE・ITエンジニアに役立つ国家資格一覧【初心者~上級者 難易度別】
SE・ITエンジニアに役立つ国家資格といえば、情報処理推進機構が実施する「情報処理技術者試験」が有名です。
この試験には12もの試験区分があり 、それぞれ認定するスキルレベルも大きく異なります。
ここでは初心者・中級者・上級者の3つに分けて、それぞれのレベルにおすすめする資格を取り上げます。資格の特徴を把握したうえで、チャレンジする資格を決める参考にしてください。
初心者(実務経験1年未満)

これからSEの道を歩もうとする、またはSEになったばかりのエンジニアには、以下の資格をおすすめします。
それぞれの資格について、詳しく確認していきましょう。
基本情報技術者
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
---|---|
試験スケジュール | CBT方式のため、試験実施期間のなかで受験者が希望日・時刻を指定する |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html |
基本情報技術者は、ITエンジニアに求められる基礎的なスキルを認定する資格です。
ITエンジニアへの第一歩を踏み出した方に適した資格といえるでしょう。但し合格率は20~30%程度 と、楽に合格できる試験ではないことに注意が必要です。
この試験では技術面はもちろん、プロジェクトマネジメントや企業活動など、システム開発に関する幅広いスキルが試されます。
プログラミング言語に特化した試験問題があることも特徴のひとつです。合格すると上司や先輩の指導のもと、設計や構築、運用の業務を遂行できるスキルが認定されます。
試験はコンピュータを活用したCBT方式で行われ、上期・下期それぞれについて実施期間が設けられます。受験日や時刻は選べますが、受験できる機会は1つの期間につき1回限りですので注意してください。
情報セキュリティマネジメント試験
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
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試験スケジュール | CBT方式のため、試験実施期間のなかで受験者が希望日・時刻を指定する |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/sg/about.html |
情報セキュリティマネジメント試験は、業務遂行に必要なセキュリティに関するスキルを認定する資格です。
本来はシステムを利用する側に向けた資格ですが、ITエンジニアになったばかりの方にとってはセキュリティのスキルが身についているという点で、アピールのひとつとなります。
資格の取得により、リスク評価や情報資産の管理、各種規程の策定、有事の際の対応、外部委託する際のセキュリティ確保など、多種多様なスキルが認定されます。
合格率は50%前後ですから、しっかり対策すれば合格できるでしょう。
基本情報技術者と同様、試験はCBT方式で行われ、上期・下期それぞれに実施期間が設けられます。受験日や時刻は選べますが、受験できる機会は1つの期間につき1回限りですので注意してください。
中級者(実務経験1~3年)向け資格

実務経験が1~3年にもなると、ひと通り仕事にも慣れてくるもの。
より責任のある仕事を任されたいという思いも出てくることでしょう。ステップアップするためにも、以下の資格取得をおすすめします。
それぞれの資格について、詳しく確認していきましょう。
応用情報技術者(AP)
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
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試験スケジュール | 年2回(4月・10月 ) |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html |
応用情報技術者はシステム開発のプロジェクトにおいて、即戦力の証明となる資格です。
例えば開発業務はもちろん、設計から運用・保守まで一通りの業務をこなすことが可能です。また技術調査や情報戦略の立案において、活躍できるスキルも認定されます。
プロジェクトメンバーとしては十分なスキルを備えており、プロジェクトリーダーを目指せるレベルのエンジニアといえるでしょう。
試験は4月と10月に、筆記試験で行われます。午前試験はマークシート、午後試験は記述式です。
基本情報技術者よりも高度なぶん、技術面だけでなくマネジメントや経営・情報戦略という観点でも、より深い知識とスキルが求められます。
また合格率は20%台前半であり、基本情報技術者の合格者が受験することを考えると簡単な試験とはいえません。
データベーススペシャリスト試験(DB)
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
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試験スケジュール | 年1回(10月) |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/db.html |
企業が情報システムを用いる際は、データベースの活用が欠かせません。
この試験に合格すると、データベースに関するスペシャリストとして認定されます。
特定のデータベースシステムに依存しないことは、特徴のひとつ。
加えてデータベースシステムの構築・運用からテーブルのレイアウト、パフォーマンス向上など、データベースに関する幅広い知識やスキルを求められることが特徴です。
試験は10月に、筆記試験で行われます。午前試験はマークシート、午後試験は記述式です。
午後の試験は事例をもとにした出題もあるため、業務経験に基づく高いスキルが求められます。また合格率は15%前後であり、難易度の高い試験に挙げられます。
上級者(実務経験3年以上)向け資格

実務経験が3年以上ともなると、プロジェクトリーダーなど責任のある地位を任される方も出てくることでしょう。
より高いレベルの仕事を行うためにも、以下の資格にチャレンジすることをおすすめします。
それぞれの資格について、詳しく確認していきましょう。
プロジェクトマネージャ試験
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
---|---|
試験スケジュール | 年1回(10月) |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html |
プロジェクトマネージャはシステム開発プロジェクトの「ヒト・モノ・カネ」を取り仕切る、花形といえる職種です。
技術力は当然として、統率力、予実管理やリスクマネジメントも欠かせないスキルに挙げられます。
顧客の依頼を正しく読み取り、必要に応じて交渉するスキルも欠かせません。プロジェクトマネージャの資格を取ることで、システム開発を率いる高いスキルが認定されます。
試験は10月に、筆記試験で行われます。
午前試験はマークシート、午後試験は記述式と論述式です。
論述試験ではご自身の経験をもとに、題意に沿って解答しなければなりません。また合格率は15%前後 。受験者層を考えると、難易度の高い試験に挙げられます。
システムアーキテクト(SA)
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
---|---|
試験スケジュール | 年1回(4月) |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sa.html |
システムアーキテクトは、要件定義や設計といった上流工程に特化した資格です。
顧客の要求を正しく把握した上で、業務改善・改革に役立つシステムの設計を行うことは重要な役割に挙げられます。
OSやミドルウェアを、適切に選択することも重要。
ときには業務知識も活用し、顧客に対してより良い方法を提案する場面もあるでしょう。システムアーキテクトの資格を取ることで、これらの業務を遂行できるスキルが認定されます。
試験は4月に、筆記試験で行われます。午前試験はマークシート、午後試験は記述式と論述式です。論述試験ではご自身の経験をもとに、題意に沿って解答しなければなりません。
また合格率は15%程度であり、受験者層を考えると難度の高い試験となっています。
ネットワークスペシャリスト試験
実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
---|---|
試験スケジュール | 年1回(4月) |
受験料(税込) | 7,500円 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/nw.html |
この試験は、ネットワークのプロフェッショナルを認定するものです。
ベンダーフリーの資格であるため、特定の製品に関する知識は求められません。一方で有線から無線まで、ネットワークに関する幅広い知識やスキルを求められることが特徴です。
加えて試験に合格するためには、企画や要件定義から保守・運用まで、さまざまな工程において高いスキルを持っていなければなりません。
試験の合格により、高いスキルを持つネットワーク技術者として認定されます。
試験は4月に、筆記試験で行われます。
午前試験はマークシート、午後試験は記述式です。午後の試験は事例をもとにした記述式ですから、高いスキルが求められます。また合格率は12~15%程度と、難易度はかなり高くなっています。
3)SE・ITエンジニアに役立つベンダー資格一覧

ここまでは国家資格を取り上げてきましたが、ベンダー資格もSE・ITエンジニアに役立ちます。運営元はOracle社やシスコなどのIT企業や、LPI-Japanなどの団体となっています。
ベンダー資格は国家資格よりも、はるかに種類が多いことは見逃せません。加えて以下の通り、国家資格とは異なる特徴があります。
- エントリー向けから超一流のスペシャリスト向けまで、難易度が幅広い
- 受験料が1万円以上と、高額な試験も多い
- テストセンターで端末を使って行う試験が多い。受験日や時間も都合にあわせて選べる
- 特定の製品とリンクする資格がある
- 資格によっては、下位資格の取得が受験の条件となっている場合がある
- 取得後、有効期限が設けられている資格がある
受験するベンダー資格を選ぶ基準として、IT業界で評価されていることは重要な要件です。
以下に代表的な3つの資格を紹介します。いずれも著名な資格ですので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
SE・ITエンジニアに役立つベンダー資格一覧
オラクルマスター | Oracle Databaseの管理スキルを証明する資格。 DB技術者にとって必要なスキルの習得と、新機能の採用やプロジェクトへの参画の幅も広がる。 公式サイト:https://www.oracle.com/jp/education/index-172250-ja.html |
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Cisco Certified Network Associate(CCNA) | アソシエイトレベルの職務に備えるための認定プログラム。 受験に際しては、以下の条件を満たしていることが望まれる。 ・1年以上のシスコソリューションの実装および管理経験 ・基本的なIPアドレス指定の知識 ・ネットワークの基礎に関する深い理解 公式サイト:https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications/associate/ccna.html#~stickynav=2 |
Linux技術者認定試験 | 「クラウド」「オープンソースのリテラシー」「システムアーキテクチャの知見」を含むLinux技術者としてのスキルを証明する認定資格。 公式サイト:https://linuc.org/about/01.html |
まとめ)目指すキャリアにあわせた資格を取得し、ご自身の価値向上につなげよう
ここまで解説した通り、資格にはさまざまなものがあります。国家資格はもちろん、評価の高いベンダー資格が多数あることもおわかりいただけたことでしょう。
経験年数やレベル、キャリアパスにより、目指すべき資格は分かれます。あなたが目指すキャリアにあわせて、取得する資格を選びましょう。
また弱点を強化する目的で資格を取得することも、よい方法のひとつです。本記事で紹介した資格のなかには合格率が低いものも多数ありますが、豊富な経験を積んだうえでしっかり試験対策を行えば、合格も十分に可能です。
SE・ITエンジニアは資格がなくても仕事はできますが、資格があることでスキルを客観的に裏付けることができます。適切な資格を選んで取得し、ご自身の価値向上につなげましょう。