50代の転職を成功させるために大切にしたい、転職活動3つのポイント
[最終更新日]2019/08/16
かつては転職するなら若ければ若いほうが有利と言われていた時代もありましたが、近年の転職市場では50代のビジネスパーソンへのニーズが高まりつつあることをご存知でしょうか。
実際、50代で転職に踏み切り、みごと転職に成功する方は増えています。
目次
1)50代になっても転職できる人はいる!?50代転職者のニーズが増えている訳
50代で転職を成功させる人が増えつつあると言っても、誰でも50代で簡単に転職できるというわけではありません。ですが、最近になってベテランと呼ばれる年齢層の人材へのニーズが高まっているのはなぜでしょうか。
まずはその理由をきちんと把握し、ニーズに応える形で転職の準備を進める必要があります。
転職可能な年齢が上昇傾向にある理由の1つとしては、労働者数が減少傾向にあり、多くの業界で人手不足に陥りがちであることが挙げられます。慢性的に人が足りないので、若い世代だけでなく40代や50代も人材募集の対象としているのです。
ただ、50代へのニーズが高まっているのはこうしたネガティブな理由だけではありません。積極的に50代を採用したいと考えている企業も増えているのです。
50代の人材を積極的に求める企業の中には、新興企業で経営陣の年齢が若く、会社としての「重み」が欲しいと考えているケースが考えられます。
特に管理部門、財務部門といった重要なセクションでは、たしかな実績のある経験豊富な人材を起用したいというわけです。
このように、50代を求める企業の多くが、経験を積んだベテランならではの実績や人脈、風格といったものを求めて採用を行っているのです。
2)企業が50代の転職者に求めているものは?
さて、続いては企業が実際に「50代以降の転職者に求めているもの」は何かについて見ていきたいと思います。
企業が50代の転職者に求めやすいもの
- 転職者のこれまでの実績・経験と、企業が求めるスキルとのマッチ度合
- 組織風土の理解と協調性
- マネジメントスキルと新たな視野・視点
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
転職者のこれまでの実績・経験と、企業が求めるスキルとのマッチ度合
当然といえば当然ですが、企業は50代以降の転職者の「実績」、「これまでの経験」を重点的に確認します。
若年層の転職者でしたら、企業は「意欲」や「ポテンシャル」といった要素も重視されるでしょうが、転職者の年齢が上がるにつれて、その重みづけは実績面や経験面へとシフトされるのです。
一方、だからといって「50代の転職者は実績・経験が豊富なら問題ない」ということではなく、それら実績・経験が、応募先の企業が求める「スキル(適性)」とマッチしているかが重要となります。
例えば、これまで営業会社で若手営業メンバーを束ねてきた50代の方(仮に「Aさん」とします)が転職することになり、かつその方の実績・経験としてのアピールポイントが「営業スキル、その業界内の人脈、マネジメントスキル、交渉力、調整力」であったとします。
一方で、Aさんが応募した企業が新興のベンチャー企業で、求めるスキルが「マネジメントスキル、マーケティングスキル、(Aさんの属していた業界とは異なる)業界の人脈、経営戦略の知識・経験」であった場合はどうでしょう。
この場合、Aさんの実績・経験とマッチするのは「マネジメントスキル」のみです。
他に応募者が多くいた場合、企業はより自社のニーズに多くマッチする求職者の方を優先的に採用しようとするでしょう。
つまり、ここでお伝えしたいのは以下の2点です。
- 自身がアピールできる「実績・経験」を明確にしておくこと
- その「実績・経験」と企業のニーズのマッチ度合を確認し、度合の高い企業を狙っていくこと
もちろん、これらが適っていなくとも転職成功となるケースもあるでしょう。
ですが、そもそも企業の求めるスキルを有していなければ、その後苦労することになるのは転職者の方です。
50代の方が転職活動を行う際は上記ポイントを意識して、自身の実績・経験の棚卸と、入念な企業研究を行うと良いでしょう。
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組織風土の理解と協調性
その他、企業は50代をはじめミドル世代の転職者に対して、「どれだけ自社の風土や文化を理解して、協調してくれるか」という点を気にするものです。
年功序列制も廃れて久しい現在ではありますが、それでも組織内の年長者の存在は多くの人が気に掛けるものです(特に若手社員の場合)し、与えられる役職・業務からして少なからずの影響があるでしょう。
企業の採用担当の方で、50代の転職者に対して「この人はうちの会社の文化・価値観に馴染んでくれるだろうか」と考えるのは至極当然といえます。
もちろん、50代の転職者の方々がそんな企業の懸念に対して全て迎合的に受け入れるのは良くありませんが、「この会社の風土や文化を、自分はしっかり受け入れることができるだろうか」といった点は事前に自答しておくと良いでしょう。
マネジメントスキルと新たな視野・視点
多くの企業は50代はじめミドル世代の転職者に対して、「マネジメントスキル」を有していることを期待します。
このことは、「50代の年齢では、現場業務のパフォーマンスは(若手社員と比較して)やや低減するだろう」という企業側の見立てがあること、そして企業側の方でも(高い割合で)「マネジメント業務を行える人員が不足している」状況にあることが背景にあるからです。
現状マネジメントスキルを有している50代転職者の方は、その点はしっかり伝えていかれると良いでしょう。
それとプラスして、または「これまでマネジメント業務をあまり経験してこなかった」という50代転職者の方は、(その企業にとっての)新たな視野・視点を提供できることをアピールすると効果的です。
例えば育成・人材開発の経験が豊富な方は、人事制度の構築が途上状態にあるスタートアップ企業やベンチャー企業に対しては確実に「その会社がまだ見えていない視野・視点」を提供できることでしょう。
その他、地方勤務や海外勤務の経験を有する方は、新規事業で地方展開・海外展開をまさに今始めようとしている企業からはその経験に興味を持ってくるかもしれません。
マネジメントスキルも新しい視野・視点も、企業がまだ仕組化や効率化ができていない領域を改善するうえで、大きく役立つはずです。
3)50代の転職者の方が転職成功を実するために意識したい、3つのポイント
ここまで「企業が50代転職者に求めるもの」についてお伝えしましたが、ここからは50代転職者のほうで意識・準備しておきたいポイントについてお伝えしていきます。
50代の転職が増えつつあるとはいえ、書籍やネットで情報を探してみると、やはり若い世代が転職する際に必要となる情報が圧倒的に多く出回っていますので、50代の転職希望者に必要な情報は不足しがちな状況にあります。
50代の転職は若い世代とはちがい、ベテランならではの独自の戦略が必要です。
50代で転職者しようと考えている方が、ご自身の戦略を練っていくうえで参考にできるポイントをまとめました。
これまで培った実績・経験と、「自分ができること」の整理
前章でも触れましたが、50代の転職を成功していくうえでは「これまで培った実績・経験を整理しておくこと」と、そのうえで「自分ができることは何かを明確にしておくこと」が重要です。 もちろん、「自分ができること」は、応募先の企業の事業内容や募集内容(求人情報)によっても変わります。
50代の方が転職をより有意義なものにしていく為には、ご自身の実績・経験から、「これからの自分が発揮していけること」を多く見出し、かつ、上記図にある「その企業で、自分ができること」のエリアが最大限広下られるような企業を、候補として見出していくと良いでしょう。
「レジリエンス(折れない心)」を養うこと。
50代ともなると、これまで勤めてきた会社での社歴が長い方が多く、経験を十分に積んで円熟期に入っている方がほとんどでしょう。ところが、会社の外へ一歩出てみると厳しい現実を目の当たりにすることが考えられます。 そのような場面に出くわしたとき重要になってくるのが「レジリエンス」、つまり「折れない心」です。
レジリエンスとは困難な状況を乗り越え、さらにその体験を成功や成長へと結びつけていく力のことを指します。 こうした力は、書類選考や面接で思うように結果が出ない状況が続いたとき落ち込まないように、という意味もありますが、実は転職を成功させるうえで重要なポイントともなるのです。
また、企業が50代以上の人材に求めているのは、明文化できるスキルや職務経験だけではありません。 ビジネスシーンにおいて困難な状況に直面しても粘り強く解決策を探し、打開策を見つけていく力は、経験を積んだベテランにこそ求められるものです。 こうした粘り強さや打たれ強さが言葉の端々に感じられるかどうかは、採用に至るかどうかの大きな分かれ目となる場合もあるのです。
常に「人とのネットワーク」を築いていくこと。
若い世代にはないベテランならではの人材価値の1つに、人とのネットワークが挙げられます。
人とのネットワークは人脈と言われることもありますが、人脈とは決して「持っている名刺の枚数」のことではありません。
仕事を進める上でお互いにとって有益な関係を築くことができており、たとえ会社を離れたとしても会社名ではなく個人名で付き合いを続けられる信頼関係のことを言います。
人とのネットワークを築いておくことで、思わぬところから声がかかり転職へと結びついたり、新しい職場で仕事をするにあたって心強い協力者になってもらったりすることができることがあります。
このような信頼関係は一朝一夕に築けるものではなく、コツコツと積み上げてきた結果ですので、企業が50代を採用するにあたっていかに「人とのネットワーク」を築いてきた人なのか、という点は重視しないはずがないのです。
一方で、「人とのネットワーク」「人脈」の量にあまり自信がない…という50代の方は
これまでの業務内容やご自身の仕事・生活スタイルの兼ね合いで、「ネットワークはあまり広くない」という50代転職者の方は、転職エージェントを利用されることをおすすめします。
転職エージェントは、転職活動を進めるにあたって企業とあなたを繋げる太いネットワークにもなります。
また、転職エージェントは「複数登録」して活動を進めるのが一般的です。
次章で50代の方におすすめの転職エージェントをいくつか紹介しますので、ご自身に合いそうなものを2~3つ登録して、ネットワークを強化されると良いでしょう。
4)50代の方におすすめの転職サービス
ここからは、50代の転職者の方が転職成功を叶えるうえでの「おすすめの転職エージェント」を紹介します。
紹介する転職エージェントは、「総合型」サービスと、「ハイクラス・エグゼクティブ」向けサービスそれぞれ3サービスの計6サービス、どれもこれまで多くの50代転職者を支援してきたサービスばかりです。
転職市場の「今」を熟知しているプロのアドバイザーからの情報や助言は、転職活動において大きな手助けとなります。
また、先にもお伝えしました通り、転職エージェントはどこか1つに登録するのではなく、複数を利用することでも、より豊富な求人を検討できたり、具体的なアドバイスをもらえる、といった機会に触れやすくなります。
サービスを見て、ご自身の志向とマッチしそうな転職エージェントがありましたら、複数登録しておくことをおすすめします。
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ここからは、実際に50代で転職に成功したという方々が、具体的にどのように転職活動を進め、どういった点に気をつけていたかについて見ていきたいと思います。
50代で転職するにあたっては、家族の理解を得たり生活基盤を維持したりする必要があり、若い世代の転職に比べて制約が多いことも事実です。
失敗した場合のリスクが大きいだけに、成功のイメージをしっかりと持って動き始めることが大切です。
まずはうまくいった事例をいくつか見ることで、自分がこれから転職活動を始めるにあたっての「成功のイメージ」を作っておきましょう。
【体験談】50代転職者の「転職成功のきっかけ」って?
塾の教室長を辞め、アルバイト→周囲のサポートを得て学校の先生に転職(マーシーさん/50歳/男性)
転職前 | 転職後 | |
---|---|---|
職業 | 学習塾 | 商社 |
職種 | 講師 | 営業 |
従業員規模 | 500人 | 3,000人 |
年収 | 600万円 | 650万円 |
正当に評価されない職場を辞め、アルバイトとして働いて
私が働いていた職場は、県内に10校以上を開校する学習塾でした。
生徒の前年対比伸び率1位、校舎売り上げ前年対比1位、生徒一人当たりの売り上げ単価1位と各部門で3年連続で1位を取りました。
ですが、私自身は正当に評価をされていませんでした。
個人的にそう思ったわけではなく、同期の仲間とある日給与の話になりお互いの給与明細を見せ合ったのです。なんと驚くことに各項目で私に劣る同僚の方が、基本給が高かったのです。
社長に「どうしてか?」と尋ねたところ「君はエリアマネージャーの相性が悪い。生徒や親の評判はいいみたいだけど、まだ頑張るところがあるってことだよ」
との返答で、思わず「やめさせていただきます」と口から出てしまいました。
——-
転職中に辛かったことは、転職することで私を慕う子供たちを「見捨ててしまう」ことでした。
だから、「2年間アルバイトとして働かせてください」とエリアマネージャーに頭を下げ、私がその時受け持っていた子供たちが卒業できるまでと、「アルバイト講師」という形で働きました。
その間は収入が安定せず、前年度の収入をベースに決められる社会保険の納付などが生計を圧迫しました。2年間のアルバイトを終え、私は転職をすることになりました。面接に行けば必ず、この期間何をしていたの?と聞かれます。
上記の話をすると笑顔で、
「君は先生が向いているんじゃない?戻った方がいいよ」
などと勧められることが多く、あからさまに面接中に不採用かよと感じることが多かったのも覚えています。
転職成功のきっかけは「前職で培った信頼と、周囲のサポート」
その後、わたしは「派遣社員」の道を選びました。一部上場企業の、倉庫での商品管理でした。
働いて数か月が過ぎると「あれ?見た顔だな?」と思う人物が社員食堂で雑談をしていました。
その方は会社の役員で、私が塾で受け持っていた教え子のお父さんだったのです。
私の置かれた状況を知ったその方は、「信頼できる方だから」と会社に私を推薦してくれました。
その役員さんからは
「先生は先生してるのが一番いいんだよ。早く先生に戻りなさい。それまで私の仕事を手伝うんだけど1年が限界と思ってね。」
と言われました。
つまり、「一時的に力を貸しただけだから、しっかり次のステップを進む準備をしなさい」というメッセージです。それでも、とても嬉しかったですね。
面白いもので、状況が好転すると話は早く、1年たたずに私は私立の学校の先生に正式に転職をすることとなりました。
詳しい体験談はこちら:私の転職体験談:塾講師から、アルバイト、派遣社員を経て、そして──。(マーシー さん 男性 50歳 神奈川県)
これまでの人間関係から、思わぬきっかけが与えられることも
マーシーさんは塾講師として長年勤めていましたが、自身の不当な待遇に耐え切れず転職を決意しました。
しかし、仕事自体は好きだったマーシーさんは、塾講師の仕事に未練を残しつつも「派遣社員」として勤めることになります。
50代での転職活動がなかなか芳しく進まなかったため、急場しのぎで就いた仕事でした。
しかしそこで、以前受け持っていた生徒の父親が役員として勤めていたという偶然に遭遇し、「役員付」の好待遇で正社員登用へと漕ぎつけたのです。
この体験談から得られる気づきは「これまでの人脈が、道を拓くきっかけとなる」ことです。
元生徒の父親が働いている会社に就職したのは偶然によるものでしたが、もしも塾講師という仕事にマーシーさんが全力で情熱を注いでいなかったら、正社員への推薦を得られていなかったかもしれません。
マーシーさんの仕事へかける熱意を知っていたからこそ、「この人は信頼に足る人物だ」と相手方も確信できたのでしょう。
このように50代での転職活動では、スキルや経験だけではなく、今まで培ってきた人間関係もフルに活用することで成功へと近づけるケースも多いのです。
年齢が原因で難航する転職活動→「口コミ」を頼りに良環境の職場に転職 (よっさん/51歳/男性)
転職前 | 転職後 | |
---|---|---|
職業 | 飲食店 | 印刷会社 |
職種 | 料理長 | 事務 |
従業員規模 | 2人 | 20人 |
年収 | 800万円 | 600万円 |
飲食店の運営がうまくいかず、転職エージェントからも年齢を理由に断られ続け…
元々、祖父の代から中華料理屋をやっていて、父もそれを継いでやっていました。そして、父親が病床に伏し入院生活を余儀されなくなってからは、私は店を継ぐ決断をして、会社を辞めました。
しばらくの間、母親と一緒に店をやっていたのですが、なかなかうまくいきませんでした。
料理はなんとか頑張っても、接客もぎこちなく、そのうち「あの店は味が落ちた」という評判が広まりました。
父に「悪かったな。お前の人生を変えてしまった。店のことは気にするな。たたんでもいいから、お前がやりたいようにやれ」と言われ、
「これからの人生を悔いなく生きなければ──」私はそう思いました。
店を閉じることにしたとはいえ、一度辞めた会社が拾ってくれるわけでもなく、転職活動は大変でした。
まず歳を言うとハネられました。転職エージェントもいろいろ試しましたが、なかなか大変でした。
転職成功のきっかけは「周囲の口コミと紹介」
エージェントよりもむしろ、役に立ったのはクチコミのほうでした。
店にくるお客さんたちはとても親切な人ばかりで、自分が「店を閉じて転職するつもりだ」というと、
「あそこの会社が、今求人出しているよ」
とか
「ここの会社受けようと思ってるの?──うーん、勢いはあるけど、ブラック企業よりだよ」
とか、色々な情報をくれました。
そして、ある人が紹介してくれたのが、今の会社でした。
その会社は印刷会社で、業種的には大変なのですが、そこの会社は若い感覚の経営者に変わって、すごく伸びているとのことでした。
そこの経理とかをやってくれる人が欲しいとのことで、それなら、店でやっていたことが活きるかもと応募したところ、即、採用されました。
転職後の会社の環境は、幸運なことにとても良かったです。
社長も、ほかの経営陣、働く人々も気さくで、家族のような雰囲気でした。
中年で転職してきたペーペーの私のことも皆さん、敬意を表して接してくれて、良くしてくれました。
接客が嫌いといいながらも、店で培ったコミュニケーション能力が知らず知らずのうちに活きたようで、経理を中心としながら、営業の真似ごとのようなことも任され重宝されました。
「嫌だな」「つらいな」と思ってやっていたことが、いつか活きることがあるんだなと思いました。
詳しい体験談はこちら:私の転職体験談:祖父の代からの中華料理店を継ぐか継がないか。「後悔しない選択」を目指して。(よっさん さん 男性 51歳 埼玉県)
50代を対象とした転職エージェントを活用しましょう
よっさんは、長年経営していた中華料理店を閉め、50代で転職活動を始めました。
年齢のこともあり、転職エージェントを活用しても、なかなかスムーズには進められず、最終的にお店の常連のお客から働き口を紹介され、転職を成功させたと言います。前述したマーシーさんの体験談も含め、50代の転職活動では人脈も大きな武器となることが分かります。
一方で、「現在、転職に役立つような人脈を持っていない」という方は、先に述べたように転職エージェントを活用すると良いでしょう。
また、よっさんの「店で培ったコミュニケーション能力が知らず知らずのうちに活きた」というコメントも注目に値します。
転職者が企業にアピールできる要素の一つにこういった、異なる環境でも活用可能な「ポータブルスキル」もあります。50代転職者の方々は、ご自身のスキル・経験について、応募する企業への汎用性についても意識されることをおすすめします。
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50代で転職に成功した方々が、「ここが成功のポイントだった」と思うポイント
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勤めてきた会社と競合関係にある企業のホームページをこまめにチェックした。経験者募集の告知を見てすぐに応募した。
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取引先の小規模な会社の経営者と顔見知りだった縁で、その会社の役員に就任しました。人脈が思わぬところで役立ちました。
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管理職などエグゼクティブを対象とした転職サイトに登録し、積極的に応募した。マネジメント経験が評価され、内定をもらえた。
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50代以上積極採用を明言している企業をひたすら探した。転職サイトで「50代以上歓迎」のチェックを入れて検索すると見つかる。
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ハローワークや転職情報誌、転職サイト、転職エージェントなど情報収集に使えるものは全て使い、とにかく求人情報を集めました。
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職務経歴書を妻に見せ、あえて辛口でコメントしてもらった。思っていた以上に有益なアドバイスをもらうことができた。
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ダメでもともとと思い何十社も応募したところ、年齢が若い社員が定着せず困っている会社が偶然見つかった。
まとめ やり方次第で50代の転職は可能
50代の転職が、若い世代に比べて簡単ではないことは事実です。
しかし、50代には50代なりの経験・スキルがあり、豊富な人脈があります。
使い方次第では、それらが大きな武器になることが今回の記事で分かっていただけたかと思います。
自身のこれまでのキャリアを振り返る、整理する、そうしてアピールできる点を客観的にまとめることがスタートラインです。その過程で転職エージェントの活用も、大きな助力となるでしょう。
やり方次第で50代の方が転職を成功させ、いっそう充実したキャリアを手にしていくことは十分に可能なのです。